マーケティングの4Pとは?狙ったお客を集める最初のフレームワーク

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マーケティングの 4P についてリサーチ中ですか?マーケティングの 4P は現在のマーケティングの現場でもしっかり役立つ理論です。

マーケティングはさまざまな手法が確立されていますが、いかに見込み顧客へアプローチするか、という根源的な理論を充分理解したうえで取り組まなければ、期待した効果は得られないでしょう。

本記事ではマーケティングの基礎理論とも言える 4P について詳しく解説。4P の具体的な意味ついてはもちろんのこと、実践に応用できる知識を紹介します。4P は現在進化し続ける Web マーケティングにも通ずる理論なので、ぜひ本記事を読み、仕事に活かしていただければ幸いです。

4P をはじめとして、その他マーケティング理論を学べる書籍もあわせて紹介するので、こちらも参考にしてください。

目次

1. マーケティングの 4P とは
2. 4P の Product(製品)
3. 4P の Price(価格)
4. 4P の Promotion(プロモーション)
5. 4P の Place(流通)
6. 4P の理解を深めるための書籍 3 選
7. まとめ

1. マーケティングの 4P とは

マーケティングにおける 4P は、Product(製品)、Price(価格)、Promotion(プロモーション)、Place(流通)といった 4 つの要素をもとに、商品やサービスを作る手法です。見込み顧客へ複数の要素を組み合わせ、アプローチすることから「マーケティングミックス」とも呼ばれています。

1-1. 4P が提唱された時代背景

4P は 1960 年にマーケティング学者であるエドモンド・ジェローム・マッカーシーが提唱したマーケティング理論です。20 世紀の大半を占める大量生産時代では、現在よりモノが少ない時代だったため、ひとつの商品を多くの見込み顧客に売る、という考えが一般的でした。

その中で、商品を販売する側が「商品を消費する側(見込み顧客)」を想定し、どうすれば彼らに効率的に商品を買ってもらえるか、を考えたのが 4P の始まりです。

見込み顧客を考えた上での戦略、という意味では現在のマーケティングの源流とも言えます。

1-2. 4P と 4C の違い

4P と合わせて紹介されるのが 4C。4C はさらに見込み顧客の視点に立って考えるマーケティング理論で、1990 年代にロバート・ローターボーンによって提唱されました。

4C は Customer Value(顧客価値)、Customer cost(顧客コスト)、Convenience(利便性)、Communication(顧客との対話)を指します。4P と比べてみると、その違いがわかりやすいです。

  • Product(製品):Customer Value(顧客価値)
  • Price(価格):Customer cost(顧客コスト)
  • Promotion(プロモーション):Communication(顧客との対話)
  • Place(流通):Convenience(利便性)

製品と顧客価値、価格と顧客コストにおいては「商品を販売する側」と「消費する側」の視点の違いがわかりやすくでていますね。

プロモーションとコミュニケーションの違いは、一方的に商品を広告などで宣伝するのではなく、見込み顧客と対話することで商品を伝える、という差。現在でも同様に、SNS を使ったコミュニケーションが有効か、TVCM が有効かで、マーケティング方法が比較されることはよくあります。

流通とは見込み顧客が商品を手に取るまでの経緯です。たとえばジュースを自動販売機で買うのか、スーパーで買うのかではかかる時間も手間も異なるため、利便性という視点は顧客目線での考えとなります。

4C が提唱され始めた 1990 年ごろは日本を例に考えてみてもあてはまります。1990 年初めのバブル崩壊以降は画一的な商品の販売が難しくなり、今まで以上に顧客目線に即した商品づくりが叫ばれ始めたころでした。いわゆる「デパート」が軒並み経営不振に陥っていったこともその象徴のように思えます。

4C と比べ 4P の理論が現在に比べ古いかと言われればそうではありません。見込み顧客を想定し商品やサービスを作る、という考えは現在のマーケティングおいても必須です。

1-3. 4Pの成功事例

4P の成功事例を 1 つ簡単にご紹介しましょう。花王のヘルシア緑茶は 4P 戦略の成功例として有名です。

ヘルシア緑茶は中高年男性向けに販売されたお茶で、脂肪の燃焼を助けるトクホ(特定保健用食品)です。運動をなかなか継続してできない中高年男性向けに、「お茶+健康成分」という新たなカテゴリーで製品(Production)を打ち出しました。

多くはコンビニで流通(Place)させることで、中高年サラリーマンの昼食時や休憩時でも買われやすくし、価格(Price)は他に陳列されているお茶より数十円高めでしたが、少々高級なほうがヘルシアの効果の信頼性も高めることにもなり、売り上げ数は好調でした。

プロモーション(Promotion)では神保悟志氏や香川照之氏など、ターゲットと同年代の俳優を起用した CM を多く TV に流すことで、商品の認知度をあげます。ターゲットの世代が TV をよく見る世代でもあり、プロモーションの効果は大きかったようです。

このように、4 つの P をもとに戦略を組み立てることで、効率的に商品やサービスを消費者に購入してもらうことが可能となります。

4P の事例でイメージが湧いたところで、次の章から 4P について詳しく解説していきます。

2. 4P の Product(製品)

4P の Product は見込み顧客にどのような商品やサービスを作るか、を考えます。商品やサービスを作るうえでメインに考えるべきことは以下の 3 つです。

  • その商品は見込み顧客のニーズに即しているか
  • 商品の名前
  • 商品の見た目

2-1. 商品は見込み顧客のニーズに即しているか

商品やサービスを作るうえで、必ず考えなくてはいけないことです。見込み顧客のニーズ、つまり欲求や需要を満たせるかどうかはマーケティングの根幹ともいえます。

マーケティングにおいて、ニーズは細かく分けると、ニーズとウォンツ(wants)の 2 種類あります。たとえば、肌寒くなってきて「上着が欲しい」という人と「セーターが欲しい」という人ではその欲求の度合いが異なります。ここでニーズにあたるのが上着を欲する人で、上着よりも具体的なセーターが欲しいという欲求がウォンツにあたります。

見込み顧客のニーズを考えるうえで、あわせて考える必要があるのがベネフィットです。

マーケティングの世界では「ドリルを買う人が欲しいのは穴である」という格言があります。見込み顧客は穴をあけたいというニーズを満たしてくれれば、どんなドリルでもいいということです。

見込み顧客のウォンツまで想定できれば、作るべき商品像は見えやすくなりますが、自社や自分が提供できる顧客への価値(ベネフィット)をまずは考えて、見込み顧客の欲することを特定するようにしましょう。

2-2. 商品の名前

商品の名前も見込み顧客に商品を買ってもらう上で大変重要な要素です。商品の特徴を端的に伝える名前、記憶に残る力強い商品名など、商品名で見込み顧客が手に取るかどうかは大きく異なります。

商品名は見込み顧客のペルソナ(イメージ像)で考えるのがいいでしょう。年齢や性別、どんな悩みを解消したいのか、など詳しく見込み顧客を想定することがカギになります。

2-3. 商品の見た目

商品の見た目やパッケージも売り上げを左右する要素です。商品の機能性ではなく、梱包されている箱に惹かれて、その商品を手に取った、という経験は誰にでもあると思います。

見込み顧客の視覚にどのように訴えかけるかが肝です。色や形、高級感、希少性などを使い、見込み顧客のニーズを満たせれば、商品を手に取ってくれる確率はあがります。

たとえば通常の中身とは変わらないのに、期間限定やご当地限定のパッケージで販売されている商品もよく目にします。普段販売されている価格より高くなっていたとしても買う人がいるというのは、商品の見た目の効果で見込み顧客の願望を叶えていると言えるでしょう。

同様に見た目を定期的に変えることで、あたかも内容を追加しているかのような書籍もありますね。

3. 4P の Price(価格)

商品の価格は安い、高いで安易に決められるものではありません。商品やサービスをどんな見込み顧客に販売するのか、どれくらいの売り上げを確保できるのか、で判断します。

3-1. 商品価格の基準

商品の価格は大まかに「利益(粗利)+経費(コスト)」で構成されています。自社や自身の利益やコストだけで価格は決められず、商品が販売される市場の状況と照らし合わせて考えます。

1 万円の T シャツは高く感じる一方、1 万円の車は安い、と感じるように販売商品の市場ごとに高価、安価の感覚は異なるため、市場との関係性から価格の基準は決まってきます。

「他社のサービスより優れている部分があるため」や「市場の流通量が少ない」など、現在流通している他の商品をもとに価格を設定するのが一般的です。安価、高価の感覚はすでに見込み顧客の中で持っている可能性が高くなるので、その市場に対して彼らの想定する価格がベースになります。

例外とも言えますが、電気やガスなどの競合が少なく需要の高い業界では市場価格よりも自社のコストと利益を見ながら価格を決定することも可能です。

3-2. 商品価格を決める方法のひとつ「PSM 分析」

商品価格を決定する方法のひとつとして「PSM 分析」があります。PSM とは Price Sensitivity Measurement(価格感度測定)の略で、見込み顧客が持つ「その市場の商品の価格基準」を調査し、価格を決める方法です。

何段階かの価格を決め、下記 4 つの項目をもとに調査します。

(1)その商品がいくらから高いと感じるか

(2)その商品がいくらから安いと感じるか

(3)その商品がいくらから高いため買うことができないと感じるか

(4)その商品がいくらから安すぎるため買いたくないと感じるか

この調査により、見込み顧客の「商品を買ってもいいと思える最低価格」と「商品を買ってもいいと思える最高価格」、「最適な価格」が見えてきます。

4. 4P の Promotion(プロモーション)

Promotion は商品を見込み顧客に知ってもらうための手段。大きく分けて 5 つの手段があります。自社や自身の見込み顧客に対して、最適な手段を選びアプローチしましょう。

  • 広告
  • 販売促進活動
  • 人的販売
  • パブリシティ(例:プレスリリース)
  • 口コミ

4-1. 広告

昔から利用されている TV や雑誌の広告、最近ではウェブの広告が主流になりつつあります。TV や雑誌、新聞などのマスメディアは多くの接触者がいる一方、利用価格は高めです。その点、ウェブ広告は従来のマスメディアに比べると、価格の柔軟性に富んでいます。

4-2. 販売促進活動

広告よりは見込み顧客への接触が少なくなりますが、商品購買への活性化は広告以上の効果を発揮することもあります。

見込み顧客に対して、無料の試供品を渡すことで購買へつなげようとする、キャッシュバックキャンペーンを展開するなど、商品販売を活性化する施策です。商品を販売する小売店がある場合は、特別に奨励金を与えることで、商品販売の協力を得ることもあります。

4-3. 人的販売

見込み顧客に対して、直接アプローチする販売手段。見込み顧客へ訪問し販売したり、店頭で商品を実演して販売したりする方法です。大型スーパーの食品売り場で美味しそうな音と共にお肉が焼かれていたら、その匂いにつられて買ってしまうという経験が筆者にはあります。

4-4. パブリシティ

広告とは異なり、メディアに自発的に商品に関して取り上げてもらうことです。iPhone は新しいシリーズが発売されるたびに、Apple Store 店頭に前夜から並ぶ人たちが取材されています。Apple が頼んでいなくても、メディアが取り上げてくれるため、広告費 0 円で宣伝をしていることとなります。

メディアに取り上げてもらうための特徴があれば、メディア側に依頼して取材してもらうことも可能です。映画や書籍においては、出演者や著者がさまざまな番組や雑誌取材を受けることで、作品を宣伝するのはよく見かけますね。

4-5. 口コミ

口コミは現代のネット社会では重要なプロモーション手段になっています。TV やウェブサイトなどの広告に比べ、知人や友人から教えてもらった商品はなぜか信頼性が高いです。バズマーケティング、バイラルマーケティングといった口コミを活用するマーケティング手法も確立されるほど、現代マーケティングでは欠かせない手法です。

5. 4P の Place(流通)

4P の Place とは商品が見込み顧客の手元までに至る経路のこと。流通チャネルとも呼ばれます。

小売店や代理店、訪問販売、自動販売機、ウェブサイトなどのさまざまな流通チャネルは見込み顧客との接点です。流通チャネルは各商品によって使える販売網なども変わってきます。流通チャネルを決める際には以下の点に注意しましょう。

  • チャネル数
  • 見込み顧客に商品が届くまでの時間
  • 競合他社

5-1. チャネル数

流通チャネルが多くなれば、販売チャンスは増えますが、その分コストがかかります。

コンビニエンスストアに置かれるチョコの売り上げと銀座に出店する高級チョコレート店の売り上げは異なるように、チャネル数は各商品の売り上げ目標やコスト、人員、ブランド等を考慮したうえで決めるといいでしょう。

今の時代、ウェブサイトひとつで流通チャネルは十分、という会社も多いと思いますので、昔ほど流通チャネル数にこだわらなくても良いのかもしれません。

5-2. 見込み顧客に商品が届くまでの時間

見込み顧客の手元に商品が渡るまでの時間は、自動販売機とスーパーの比較がわかりやすいでしょう。家の目の前にある自動販売機でジュースを買う方が、少し距離のあるスーパーにわざわざ買いに行くより利便性に優れています。

一方、六本木にあるブランド服の店なら、たとえ時間がかかっても行く人はいるでしょう。逆に時間がかかることが商品のブランド力に通じているとも考えられます。

見込み顧客のニーズに対して、ちょうどよく商品が手元に届くまでの時間を考えることが重要です。

5-3. 競合他社

競合他社がどのような流通チャネルを使っているかも重要な点です。同じ流通チャネル内で、同様の商品を販売すると、見込み顧客が自社の商品を目にする時間は少なくなります。あえて競合他社がいない流通チャネルで商品を置くのもひとつの手です。

缶コーヒーを例にすると、ローソンにしか置いていない缶コーヒーがあった場合、その他コンビニで販売しない分、一見売れるチャンスは少ないように思えますが、今や何十種類もの缶コーヒーが販売される中、ローソンにしかない缶コーヒーとなると、競合他社の缶コーヒーとは異なる魅力が生まれ、販売増に繋がる可能性はあります。

ウェブサイトで商品やサービスを販売する場合も同様のことが言えます。たとえばトマト農家の人が検索エンジンに「トマト」と入力する人を対象に、SEO(検索エンジン最適化)を行うよりも、「美容 野菜」と検索する人向けに SEO を対策した方がいい結果は生まれるかもしれません。

競合他社と被らないように流通チャネルを整備することは、利用チャネル数を節約でき、時間やコスト削減にもつながります。

6. 4P の理解を深めるための書籍 3 選

4P についてさらに理解を深めるために役立つ書籍を 3 冊紹介します。4P 以外のマーケティング理論に関しても知識を得られるので、ぜひ参考までに読んでみてください。

6-1. 図解 & 事例で学ぶマーケティングの教科書

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4P と 4C について図解で説明されており、その他のマーケティング理論についても概要がわかりやすく説明されているため、現在までのマーケティング理論を体系的に理解するためにはおススメ。片ページは文章で、片ページが図解というレイアウトは大変読みやすいです。

6-2. この 1 冊ですべてわかる マーケティングの基本

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マーケティングの概要から手法のプロセスまで、基本をしっかり理解できる 1 冊。なぜマーケティングが必要なのか、どんな目的意識で取り組むべきか、などのマーケティングを行う前の準備から解説されているので、4P を実践する上で役に立つ情報が満載です。

6-3. コトラーのマーケティング 3.0 ソーシャル・メディア時代の新法則

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著者のコトラーは 4P の時代から現在のマーケティング理論まで独自の視点で、体系的にマーケティングを分析しています。4P の理論から現在の最新理論に至るまでの推移を具体的な事例と共に解説。昨今の Web マーケティングにも役立つ知識が満載なのでおススメです。

7. まとめ

マーケティング理論の 4P について解説してきましたが、いかがでしたか。実際に知識を現場で役立たせるためには、本記事で書いてある内容を自身の仕事とリンクさせ、咀嚼してもらえればと思います。

マーケティング理論は見込み顧客の情報をもとに、彼らへ効率的にアプローチする手段のため、まずは自身が携わる業界の見込み顧客をしっかり把握することが重要となります。

4P 以外のマーケティング理論も基本的には「消費者」を中心に考えを進めるので、マーケティング手法の知識を蓄えるとともに、見込み顧客の想定や調査もあわせて進めると、目的達成への近道になるはずです。

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