基礎から学ぶ進捗管理と定番アプリ 3 選

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進捗管理を任されたものの、何から手をつければよいのかお困りですか?進捗管理、プロジェクト管理という技術が確立されつつあり、それを実践するためのツールも充実してきている昨今ですが、それゆえにツールの選び方や使い方で迷ってしまう方も多いと思います。

そこで、まず進捗管理とは何かという基本を押さえた上で、それを無料で始められる進捗管理ツールをご紹介します。そして進捗管理のスタンダードとして普及しつつある科学的な管理手法である EVM についても解説し、この記事一本で進捗管理の基本をマスターできるようにまとめていますので、ぜひ最後までお読みください。

目次

1. 進捗管理がここまで重視される理由
2. 無料で始められるおすすめ進捗管理ツール 3 選と Excel による進捗管理
3. さらに奥の深いプロジェクト管理の世界へ
4. まとめ

1. 進捗管理がここまで重視される理由

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1-1. 進捗管理とは

進捗とは目的、目標に対してどれだけ達成できているかという成果を測るもので、進捗管理は仕事の進行度合いを正確に知ることで適切な手を打っていくという管理的な作業のことです。

製造業には QCD という概念があります。Q とは Quality (品質)、C とは Cost (費用)、そして D は Delivery (納期)というそれぞれ頭文字を取ったもので、生産管理の重要な三本柱とされています。それぞれQ を管理する品質管理、C を管理するコスト管理(原価管理)という概念が確立されており、納期までに生産を完了するために行われる時間軸の管理が進捗管理というわけです。

1-2. 進捗管理の目的

さまざまなノウハウが確立されている進捗管理には、2 つの大きな目的があります。それぞれプロジェクトの進行にはとても重要な意味を持つものばかりなので、それを管理する作業がどれだけ重要であるかが分かります。

  • 納期までにプロジェクトを完了するため
  • 途中段階で進捗の遅れをいち早く察知して適切な手を打つため

どちらも「納期までに納品する」という最終的な目的は同じで、時間の管理こそが進捗管理の大きな目的ということになります。

出前がなかなか届かない蕎麦屋さんに電話で催促をすると「いま出ました」という常套句が返って来るという有名な話があります。これだけだと本当に出前がすでに出発したのか、もしかしたらまだ料理すら出来上がっていないのかが判然としません。この話のように、いつ問い合わせても同じ返答が帰って来るような形骸化した進捗管理では意味がなく、「いつ終わるのか」「それまでにどれだけ作業が残っているのか」を明確にするのが進捗管理のあるべき姿です。

1-3. 進捗管理に威力を発揮するガントチャート

進捗管理をより分かりやすくするための手法に、ガントチャートがあります。ガントチャートとは縦軸にタスクが並び、横軸にそのタスクに着手する時期から完了予定の時期が棒グラフのようになるので、いつからいつまでそのタスクを進めているのか、いつ終わるのかという情報を全タスクにまたがって視覚化することができます。

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このようにそれぞれのタスクが並ぶため、プロジェクトの全体像をつかみやすいメリットがあります。

進捗管理ツールの多くには、このガントチャートを作成する機能があります。個々のツールについては「2. 無料で始められるおすすめ進捗管理アプリ 3 選」でご紹介します。

1-4. 進捗管理を成功させる 4 原則

1-4-1. 曖昧さは大敵

管理的な立場であるプロジェクトマネージャーと、個々のメンバーというのは同じプロジェクトに関与しているものの見えている景色は異なります。

マネージャーがメンバーに対してタスクの進捗を尋ねたところ、「まもなく終了します」という回答があったとします。これだと曖昧で、メンバーにとっては「こんなに進んでいる」というアピールと、マネージャーにとっての「まもなく終わりそうだ」という相反する意味合いが同居してしまいます。先ほどの例にあったように、いつ終わるのか、どこまで進んでいるのかが明確になっておらず出前の「今出ました」と大きな差はありません。

漠然とした雰囲気や感覚ではなく、「いつ終わるのか」という明確な回答と、それを裏付けるための「どこまで進んでいるのか」という情報が必要です。

1-4-2. 目的が明確かつ共有できている

進捗管理は、管理者であるプロジェクトマネージャーがメンバーに対して行うものです。もちろんメンバーも人間なのでモチベーションの維持という意味においても押しつけがましい管理手法は好ましくありません。

進捗管理の目的やプロジェクトが目指すゴールを明確にした上で、そのために進捗管理が必要であるという意識がプロジェクトマネージャーとメンバーとの間で共有できることが望ましいでしょう。

1-4-3. 目的と手段の正しいすみ分け

管理を追求するあまりに陥りがちなのが、目的と手段の混同です。進捗管理はあくまでも納期までのタスク進捗と時間の経過を管理するためのものであり、管理そのものが目的ではありません。

進捗管理に役立つツールを導入し、そこでの管理が適切に行われていることは好ましいですが、その結果として納期までにプロジェクトを完了できているかという最終的なゴールを検証した結果、合格点であることが最も重要です。

1-4-4. 可能な限りタスクを細分化して管理する

曖昧さが進捗管理の大敵であると述べましたが、そのための対策として有効なのがタスクの細分化です。単体のタスクがざっくりとした大きなものだと、「タスクが半分ほど進捗している」という曖昧さを残す原因になります。そのタスクを 10 の細かいタスクに分解して、「現在 5 つ目までのタスクが完了している」ということであれば、それは本当に半分まで進捗していることが分かります。

課題を洗い出す際にも、タスクを細分化しておくとピンポイントで問題点をあぶり出すことができるので有効です。

2. 無料で始められるおすすめ進捗管理ツール 3 選と Excel による進捗管理

2-1. Jooto

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ドラッグ & ドロップという感覚的な操作でタスク管理が可能なサービスです。無料版でも多機能なので人気が高く、Facebook など既存のアカウントからでもすぐに利用を開始できます。

最大の特徴はタスクを付箋のような単位で管理、「進行中」や「先方確認中」などそれぞれのフェーズに移動させることで、ぞれぞれのタスクが現在どの程度進捗しているのかが視覚的にも分かりやすくなっていることです。

iOS には専用アプリが用意されていますが、ブラウザからでも直感的な操作が可能なので Android 端末でもアプリに近い感覚で操作可能です。

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Jooto 公式サイト
iOS 版アプリ

2-2. Wunderlist

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感覚的な操作性で使いこなしやすいこと、パソコンとスマホの両方でマルチデバイスに対応していることなどメリットの多さから人気を集めているアプリです。個々のToDo を共有することでグループ全体の進捗管理やプロジェクト管理のツールとしても利用可能ですが、あくまでも ToDo 管理に主眼が置かれているため小規模なグループ、プロジェクトに適していると言えるでしょう。ただし、2015 年にはマイクロソフトによって買収されたため、今後大きな変化が起きるかも知れません。

ちなみに、「Wunderlist」と書いて「ワンダーリスト」と読みます。

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出典:https://www.wunderlist.com/ja/

Wunderlist 公式サイト
Android 版アプリ
iOS 版アプリ

2-3. Asana

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無料でありながらガントチャートが作成できることやシンプルな操作性で人気を集めているアプリです。英語で提供されているアプリですが、日本語でのスケジュールやタスクの入力も可能です。

ユーザー間でお互いのタスクを閲覧できるため、進捗の管理に活用することももちろんできます。パソコン向けにはブラウザベースで、スマホ向けには Android と iOS それぞれに専用アプリが配布されています。

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出典:https://blog.asana.com/2014/01/calendars/

asana 公式サイト
Android 版アプリ
iOS 版アプリ

2-4. 番外編:Excel を用いた進捗管理

本来は表計算ソフトである Microsoft Excel ですが、表の作成に長けていることやグラフ作成機能も充実していることから、それを利用して進捗管理に利用されている例はたくさんあります。

特にガントチャートで進捗を管理する使い方が多く見られ、そのために便利なツールも無料で配布されています。「ガントチャートをフリーで作成できるツールとエクセルによる作成方法」では、プロジェクト管理(進捗管理)を支援するためのガントチャートを Excel で作成するためのツール群を紹介していますので、そちらもご参考にしてください。

3. さらに奥の深いプロジェクト管理の世界へ

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3-1. 大規模プロジェクト管理における有名な理論、EVM とは

さまざまな手法が考案されている進捗管理の中で、普遍的な手法として導入例も多いのが科学的進捗管理とも呼ばれる EVM です。Earned Value Management の略で、1960 年代のアメリカで確立された歴史ある管理手法です。

EVM の大きな特徴は、経験や感覚という属人的な基準での進捗管理ではなく科学的な根拠に基づく客観的な物差しによる管理であることです。プロジェクトマネージャーの個性や趣向などによって左右されがちな管理業務から、誰がやっても同じ結果になる進捗管理を目指すことが目的です。

3-2. EVM のメリット

先述のように、EVM のメリットは誰がやっても同じ結果になるのが最大のメリットです。個々の能力に依存しすぎると有能なプロジェクトマネージャーが退職した途端にプロジェクト管理がボロボロになってしまう事態も考えられますが、EVM を導入していれば後任のプロジェクトマネージャーでも同じ結果を出すことができます。

もうひとつ、とかく主観に左右されがちな進捗の報告についても客観的な数値によって基準が統一されるので、より正確な報告が得られるというのもメリットです。

3-3. EVM 的な進捗管理のポイント

3-3-1. 計画と出来高の比較

EVM による進捗管理には、計画と出来高という概念があります。「この日まで、これだけ進んでいる」という計画に対して、実際にその日になった段階でどこまで進んでいるという出来高を比較します。

現実問題として、多くの場合は計画を出来高が下回る(つまり計画に対して遅れが生じている)ので、その差がどれだけあるのかに注目します。計画と出来高の差が生じた原因を特定すれば、次の計画を立てる際に考慮をすることで理論上はその差が縮んでいくことになります。

最終的に計画と出来高が一致するようになれば、そのメンバーにとって適切なタスクが割り当てられていることになるので、正確な納期を見積もることが可能になります。

3-3-2. 指標の統一

EVM のメリットとして、客観的な物差しによる進捗の管理を挙げました。メンバーからの「もうすぐ完了します」「少し遅れが出ています」といった主観による報告ではなく、数値などによって進捗を報告することで正確な管理を目指します。

工数計算で用いられる人日(1 人が 1 日にこなせる業務量)で計算すれば、例えば 5 人日で完了するタスクが 6 日で完了した結果を 1 人日の遅れ(計画と出来高の差)として計測することができます。

この物差しをすべてのメンバー、タスクで統一することで正確な進捗の把握が可能になり、何人日遅れているのかを知ることでメンバーの割り振りを変更することもできます。

3-3-3. タスクの完了判断を共有する

個々のタスクが完了したかどうかの判断にも、主観に依存する余地があります。特に 1 つ 1 つのタスクが大きいと曖昧になりがちなので、「1-4-4. 可能な限りタスクを細分化して管理する」で述べたようにタスクを細分化して完了判断を明確にするのが有効です。

どのタスクが完了しているのかを見るだけで進捗率を計測できる上に、それぞれのタスクで得られた成果を管理者が早く確認できるため、メンバーと管理者の双方で個々のタスクが完了したことを共有できます。

3-4. プロジェクト管理をさらに知りたくなった方のための学会情報とおすすめ書籍 3 選

ここでご紹介した EVM については、大規模プロジェクトなど経験則や目分量といった属人的な進捗管理では難しい時に用いられる手法のひとつです。プロジェクトの進捗や個々のタスクを管理する手法にはさまざまなアプローチがあり、それぞれの価値観で理論体系が確立されている興味深い世界です。

プロジェクト管理(プロジェクトマネジメント)を学術的に発展させる目的で活動をしている社団法人「プロジェクトマネジメント学会」では最新の研究成果が報告されています。また、プロジェクト管理における定番となっている書籍や、ユニークなアプローチによって名著となっている書籍もあるので、そちらも併せてご紹介しましょう。

3-4-1. プロジェクトマネジメント知識体系ガイド第 3 版

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PMBOK ( Project Management Body Of Knowledge ) と呼ばれる、プロジェクト管理の常識とされている書籍の改訂版です。「プロジェクト管理のバイブル」とも言われている、定番中の定番書籍です。

3-4-2. プロジェクトマネジメント プリンシプル – 変革の時代を生き抜くための人と組織の挑戦

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PMP というプロジェクト管理に関する国際資格を設定し、スキルの標準化を図っているプロジェクトマネジメント協会による書籍です。国際的な団体によって監修されていることもあって、あらゆる業種に使える汎用性の高い情報が得られます。

3-4-3. ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か

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イスラエルの物理学者、エリヤフ・ゴールドラットによる世界的なベストセラー。進捗管理やプロジェクト管理などに関連する書籍のほとんどはビジネス書であるのに対して、この「ザ・ゴール」はより伝わりやすくするために小説の形をとっている点がユニークです。

4. まとめ

以前はあまり重視されていなかった一面もある進捗管理に対して、近年ではそれを重視し、標準化する動きが顕著になっています。それを支援するツールも整ってきているので、いかにそのツールを使いこなすかというプロジェクトマネージャーの技術も問われるようになっています。

そのニーズに応えるため、この記事では進捗管理の基本と実践するのに役立つツール、そして科学的なアプローチとして導入が進んでいる EVM の基本を解説してきました。

まずはできることから始めてみて、感覚的に理解しながら進捗管理のエキスパートを目指してください!

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