使い始めてよかったと思うのは、データ紛失のリスクを大きく軽減できたことです。物理的なハードディスクに比べて Dropbox の安全性を実感しています。

成瀬 延康 氏
(北海道大学 高等教育推進機構 客員准教授 滋賀医科大学 准教授)

導入の目的

全国から選抜された未来の科学者たちに共同研究の場を

北海道大学 高等教育推進機構 高等教育研究部門は、高等教育における将来的な諸問題に関する研究と具体的な問題解決を目的に設立された部門です。高等学校と大学が連携し、高校生に研究の場を提供したり、高校で出張授業を実施したりしています。

「高等学校と大学では活動内容に大きなギャップがあると感じています。頭の柔らかい高校生の段階からできることがあると考え、その可能性を探ることを目的として高大連携による活動をはじめました」と語るのは成瀬延康氏 (北海道大学 高等教育推進機構 客員准教授 兼滋賀医科大学准教授)です。

北海道大学 高等教育推進機構では、国立研究開発法人 科学技術振興機構 (JST) の次世代人材育成事業グローバル サイエンス キャンパスに参画。SSP という名称で科学者を志す高校 1 年生および 2 年生が最先端の研究に参加できる機会を作っています。

「他のグローバル サイエンス キャンパス開催校と異なるのは、北海道大学の立地です。道内といっても、釧路や函館の学生は通学に 4~5 時間かかります。札幌キャンパスに通学できることを条件とせず、全国の高校生に門を開くプログラムにする必要がありました」と川俣大志氏 (北海道大学 高等教育推進機構特任助教)は振り返ります。

SSP には全国から募集があり、毎年 30 人を選抜。東北、関東、遠くは島根県の高校生も研究に参加しています。年 4~5 回のスクーリング以外は情報通信技術 (ICT) を活用することで、全国の選抜者が研究活動を行える環境を検討しました。

ソリューション

クラウド ストレージとコミュニケーション ツールを研究活動に活用

SSP では日々の研究活動の支援ツールとして、クラウド ソリューションを採用。コミュニケーション ツールに Google ハングアウト、情報共有基盤として Dropbox Business を活用しています。

「現代の高校生はスマートフォンとクラウドのリテラシーが高く、簡単に使いこなしています。その反面、パソコンを持っていない人や使い慣れていない人がいるのも特徴です。研究活動にはパソコンを活用していますが、OS を問わずに、誰もがフォルダと同じ感覚で簡単に使用できるストレージとして、Dropbox が最適なソリューションでした。」(川俣氏)

SSP 1 期卒業生の稲島七海さん (北海道大学 総合教育部 1 年) によれば、プログラムの開始初期から Dropbox を採用。しかし、容量 2 GB の無料版を使用していたため、位置情報が書き込まれた衛星画像ファイル (GeoTIFF) を共有するには不十分でした。

「解析作業ではたくさんの衛星画像を使用します。ファイル サイズも大きく、1 セットが約 1.8 GB。1 年分なら数十 GB、10 年分なら数百 GB に及びます。これらのデータを 1 か所にまとめ、いつでも、だれでも活用できるようにするには、大容量のクラウド ストレージが必要になることがわかりました。」(川俣氏)

予算化できた 2 期目は Dropbox Business を採用。SSP 選抜者をはじめ、教員と TA (Teaching Assistant) も含めた全員がDropbox フォルダを日々の研究活動に活用しています。

導入の効果

データ紛失のリスクとバックアップの作業負荷を大幅に軽減

SSP では、年 4~5 回のスクーリングのほか、週 1 回のオンライン ミーティングを実施。大学から貸与しているノート パソコンに加え、Mac やタブレットなどの個人所有デバイスの使用もあるため、多様な OS で Dropbox フォルダを活用しています。

「グループごとに研究内容の共有フォルダを作成しています。解析用の衛星画像だけでなく、レポートや論文なども保存していますが、ファイルの上書きや削除などのトラブルが発生することもあります。Dropbox では、ファイルを以前の状態に簡単に復元できるのも大きなメリットでした。」(成瀬氏)

管理者は教員が担当。誤操作による上書きや削除が起こってしまった場合には、その都度、バージョン履歴を確認し、適切な時期のファイルに復元しています。

「使い始めてよかったと思うのは、データ紛失のリスクを大きく軽減できたことです。物理的なハードディスクに比べて Dropbox の安全性を実感しています。個々のディスクをバックアップする必要もなくなりました。決められたフォルダと同期することで、必要なデータはすべて揃っており、クラウドにバックアップと履歴も保管されているため、とても効率的です。」(成瀬氏)

北海道大学 高等教育推進機構 高等教育研究部門で、今後利用したいと検討している機能は、複数の人からドキュメントや写真、動画を集められるファイル リクエスト機能。アンケートやレポートの提出用フォルダとして、活用していく予定です。

Dropbox Business の活用した機能と利点

Advantages

Dropbox アプリとマルチ OS
同期が速く、フォルダのように活用できる Dropbox アプリを活用。OS やバージョンの違いを意識することなく、全国の選抜者がグループ単位で同じフォルダを活用しています。
必要に応じて追加できるストレージ
1 セットで数 GB、1 年分なら数十 GB、10 年分なら数百 GB に及ぶ、位置情報が書き込まれた衛星画像ファイル (GeoTIFF) を容量に制限のないストレージに共有しています。
バージョン履歴機能
履歴機能を活用することで、データ消失のリスクを回避。問題発生時には、教員が本来のバージョンへの復元を行っています。物理ディスクのように定期的なバックアップも作成する必要がなくなりました。

OS を問わずに、誰もがフォルダと同じ感覚で簡単に使用できるストレージとして、Dropbox が最適なソリューションでした。

川俣 大志 氏
(北海道大学 高等教育推進機構 特任助教)

稲島 七海 さん
(北海道大学 総合教育部 1 年 - SSP 1 期卒業生 -)

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