いつ、どこで仕事をするかを自分で決める権限をチームに与えることが、生産的で協力的な社員を育てる秘訣であり、優秀な人材を確保するためのカギであることは確かです。しかし、それに対応するハイブリッド型ワーク モデルを作るにはどうすればいいのでしょうか。世界のビジネス リーダー 2,000 人を対象とした最新のアンケート調査が、その答えを示しています。
チームを率いるマネージャーにとって、コロナ禍は、働く場所の変化への対応に苦慮する日々でした。
大半の場合は、パンデミックを乗り切るための一時的な解決策ということで目をつぶってもらい、理解を得ることができましたが、リモートワークが一般化した今、特に社員に最適な職場環境を構築することに関して、ビジネス リーダーは失敗をあまり許されなくなりました。
では、小規模企業が、パンデミックに対応するための生き残り戦術であったリモート ワークを、将来の成功へとつながる競争上の強みへと変えるには、どうすればよいでしょうか。
Dropbox は答えを探るべく、小規模企業のリーダーと社員 2,000 人以上を対象に 8 か国で調査を行い、結果を「チョイス エコノミー レポート」としてまとめました。調査の狙いは、1 年半にわたって柔軟な働き方を導入してきた結果、働き方、働く場所、働く時間に関する社員の考え方に、基本的にどのような変化が生じたかを見ることです。調査の結果、回答した企業の 3 分の 2 近くが、ビジネスの構造、ツール、手法に、それとわかる大幅な改善を加えることで、パンデミック中もコラボレーションを実現していたことがわかりました。スタートとしては上出来と言えるでしょう。
最新テクノロジーによってチームがリモートでも仕事をこなせることは証明されましたが、人々がオフィスに戻った今、柔軟性をそのまま維持するにはどうすればよいでしょうか。結論を先に言うと、今後の数年を生き抜く企業になるためには、どこにいても高いパフォーマンスを発揮できるチームを作ることが一番の優先事項ということになります。そこで、先ほどの調査を基に、リモート ワークの先達たちの意見から、その方法を探ってみましょう。ここからは、フレキシブルな働き方の実現に役立つ 4 つのヒントを紹介します。
1. 社員の要望を聞く
以前はリモート ワークの促進が急務でしたが、状況が落ち着き、すべてが整備された今、必要なのは、チームの本当の希望を知ることです。それは、ソリューションや働き方を一律にするのではなく、「選択肢」を与えることを意味します。
実は社員は、その時々に応じて最適な環境を選ぶことがとても上手です。
「集中したいときは自宅で、ブレインストーミングやコラボレーションに参加するときはオフィスで、といった具合に、社員は自分で自由に考えて決めることができます。こうした選択の自由を与えることは、結果として生産性の向上につながります」と語るのは、Global Workplace Analytics の社長、ケイト・リスター氏です。
つまり、社員に代わって性急に判断を下すのではなく、本当は何が望みかを尋ね、意外な返事が返ってきても、それに応えようとするのが正解だということです。「先日社員を対象にしたアンケート調査で、在宅勤務からオフィス勤務に戻ったとき、ミーティングの相手が同じ構内の同じ建物にいたら、バーチャル ミーティングと直接会ってのミーティングのどちらを希望するかを尋ねました。すると、相手が同じ建物にいたとしても、すべてバーチャル ミーティングにしたいとの回答が約 7 割を占めました」とリスター氏は述べています。
2. 離れていても、企業文化の構築を忘れない
パンデミックは、私たちの多くを事実上 2 年間の非常事態に陥らせました。多くの場面で、企業文化が脇に追いやられています。
7th Mind Inc の最高経営責任者であるブリット・アンドレアッタ博士は、次のように述べています。
「(ここ 2 年間)誰も『本物の』企業文化に触れることができませんでした。『本物の』文化は、リーダーが本気で社員の幸福を大切にするところから生まれてくるものです。」
世界が再び解放へと向かい始め、多くの社員が享受していた企業文化の象徴を取り戻そうとする、新たな機会が訪れています。しかし、基本的に在宅勤務を続ける人が多くいることを考えると、文化が完全にオフィス ベースにならないよう気を付けなければなりません。難しく考える必要はありませんが、少し計画的に行うことが必要です。考えてみれば、仕事帰りに偶然居合わせた人同士でコーヒーやお酒を飲みに行っていたときも、誰もが自由に、気軽に参加できていたわけではありません。
では、代わりにどうすればよいでしょうか。
文化を正しくカタチにすることは、手の込んだ最新ツールに多額を投じることではありません。誰にとっても身近となったビデオ通話を、仕事以外にも使えることを思い出しましょう。リモート ワーカーに、業務時間中に同僚や仕事仲間とビデオ通話して情報を共有する時間をとるよう奨励すれば、コーヒー ブレイクの文化を存続させることができます。
とはいえ、単に一緒に飲み会参加やカフェに行くことだけが文化なわけではありません。パンデミック中、多くの人が本当に大切にしていた、より個人的な文化的要素に楽しみを組み合わせる必要があります。これを方向付けるのが上層部だと、アンドレアッタ氏は言います。
「管理職は、企業文化を 90 % の社員が経験できるものにしなければなりません。ところが、管理者層のトレーニングに本気で投資したことのない企業が、いまだに多く見られます。」
管理職のトレーニングが重要なのは、つまるところ文化の多くは、助けを求める、休みを取る、抱えている問題について話し合うといった基本的なことが簡単に、正しく行えるかどうかに他ならないからです。柔軟な働き方で成功したいのなら、基本と楽しみというコインの両面を正しく提供できる企業にならなければなりません。
3. 適切なコラボレーション ツールを共有する
コミュニケーションとコラボレーションは、あらゆるプロジェクト、ワークフロー、ビジネスの基本です。どちらか一方だけでは、すべてがダメになってしまいます。
このことは、私たちの調査でも裏付けられています。調査に参加した企業の 3 分の 1 以上(36 %)が、適切なコラボレーション ツールを使わなかったことがリモート ワークの大きな妨げになったと捉え、48 % が、コラボレーションの失敗が社員の生産性に悪影響を及ぼしたと回答しています。また、チームのコラボレーションを円滑にすることが組織の将来にとって重要だと答えた企業は、87 % に上ります。
企業にとって、これらの問題を解決するプラットフォームを見つけることが急務なのは明らかです。チームによる共同作業を容易にし、以前から使っているツールを組み込むことができ、プロジェクト管理を根本的にシンプルにする効果的なプラットフォームが必要です。これは、表面に手を加えればよいということではありません。働き方のプロセスを、長期にわたって大幅に変化させるテクノロジーを導入し、そのメリットを最大限に活かす必要があるということです。
アンドレアッタ氏は次のように語っています。
- 「ミーティングでは多くの情報が共有されますが、これは非同期ツールでもできることです。本当に必要なのは、仕事の定義の仕方、評価の仕方、仕事の進め方、仕事をする場所を変えられるツールです。」
Dropbox はそうしたツールの 1 つです。Dropbox には、シームレスなコラボレーション、簡単なプロジェクト管理、妨げのない共有、情報の同期など、さまざまなことを可能にするツールが一式揃っています。
4. 一にも二にもイノベーション
最後になりましたが、重要なのは、イノベーションを一度きりのプロセスと捉えないことです。柔軟な仕事環境を作るために何をするにしても、改善の手を止めてはなりません。
方法は簡単です。定期的にフィードバックを集めるのはもちろん、ビジネス プロセスを継続的に監査し、不明な点があるときは外部の専門家に監査を依頼するのです。新しいテクノロジーに投資する場合は、サプライヤーと協力して投資効果を最大限に高め、部門の枠を超えたチームを立ち上げて、テクノロジーの導入状況と組織全体への浸透状況を監視します。
最後に、イノベーションを実現するための取り組みでは、すべての段階に「関係者全員」が必ず関わるようにします。ビジネス変革の推進で重要な役目を担うのが中間管理職ですが、社員全員の間にイノベーションが浸透するようにするのも、中間管理職の大切な役目です。新しいツールやプロセスの価値を社員が理解できずにいたり、どのようなときに、どのように使うかを社員に説明していなかったりすると、ツールやプロセスはおそらく見向きもされず、フレキシブルな働き方戦略が成功することはないでしょう。
チョイス エコノミーに関する詳細や専門家の意見、それがビジネスに与える影響については、以下からレポートの全文をお読みください。
「チョイス エコノミー レポート (PDF)」