バーチャル ファースト 2023:「分散化した仕事環境」の実験場として私たちが学んだこと

最新の調査により、適切なツールと指針が「分散化した仕事環境」の生産性を高める鍵であることが判明。Dropbox が今後もバーチャル ファーストの強化に取り組むべき理由も明らかに。

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2020 年 10 月、Dropbox がバーチャル ファーストという働き方を導入したとき、ビジネスの世界には混乱と動揺が広がっていました。雇用主は突然、リモート ワークを導入する必要に迫られ、社員たちは、新しい働き方について何の指針もベスト プラクティスもないまま放り出されてしまったのです。

このとき私たちは、一歩離れて自分たちのアプローチを見直すよい機会だと考えました。この混乱状態は新しい働き方のモデルを作り出す好機のように思えたのです。バーチャル ファーストは、柔軟なリモート ワークと対面ならではの深いつながりを組み合わせた働き方です。私たちはこのモデルに基づいて、Dropbox という会社を「分散化した仕事環境」の実験場、つまりリモートでの共同作業に伴う大きな課題の解決法を身をもって体得するための場に変えることにしました。

それから 3 年、私たちは多くのことを学びました。さまざまなアンケート調査を通じて、社員からバーチャル ファーストでの体験について貴重な意見を得て、うまくいっている点、改善の余地がある点を把握しようと務めてきました。ここでは、バーチャル ファーストの 3 年目を締めくくるにあたり、2024 年の働き方モデルに反映する予定の主な教訓をいくつかご紹介しようと思います。皆さんの同様の取り組みの参考になれば幸いです。

約70%:バーチャル ファーストのおかげでオフィス勤務よりも生産性が上がったと答えたアンケート回答者の割合

最良の成果を得るためにオフィスで働く必要はない

このところ、企業各社の間ではオフィス回帰が声高に叫ばれ、実際にそうした動きが広まっています。しかし私たちは、この議論は重要な点を見落としていると考えています。すなわち、「働く場所」よりも「働き方」のほうが重要という点です。これは当社のデータでも示されています。社員は、柔軟性と自主性を与えられたときに最良の成果を上げることができるのです。

「Dropbox を『分散化した仕事環境』の実験場にするというのは大変な決断でした。その後数年を費やし、いくつもの問題に直面して、ようやくこの働き方の全体像を確立できました。」— Dropbox 設立者 & CEO ドリュー・ハウストン(2023 年 10 月 Fortune 紙でのインタビュー)

最近の社内アンケートからは、社員がバーチャル ファーストに手応えを感じ続けている理由の一端が見て取れます。

  • 70 % 近くはバーチャル ファーストのおかげでオフィス勤務よりも生産性が上がったと回答し、73 % は自宅のワークスペースで快適に仕事ができていると回答
  • 76 % は仕事を終わらせるために邪魔の入らない時間を設けることができていると回答し、70 % は流動的なスケジュールに対応するため勤務時間を柔軟に設定していると回答

個人的な意見では、バーチャル ファーストは全般的にとてもうまくいっていると思います。チーム メンバーは、世界各地にいながらにして、お客様に有益なサービスや体験を提供できています。バーチャル ファーストのおかげで、以前よりも集中して、意欲的、生産的にエンジニアとしての仕事ができるようになりました。
– バーチャル ファーストのメリットについて語る Dropbox アンケート回答者

分散したチームが成果を上げるには適切なツールと枠組みが必要

バーチャル ファーストに移行した時点で、ツールからポリシー、習慣に至るまで、働き方の全面的な見直しが必要であることはわかっていました。

行動面で特に影響が大きかった変化は、「基本は非同期」という考え方を取り入れたことです。Dropbox はグローバル企業であり、社員の 92 % はタイム ゾーンの異なる同僚と共同作業をしています。そして社員の 73 % は、明確なコミュニケーションとドキュメントこそが非同期での共同作業を促進する最も効果的な手段であると考えています。

しかしこの変化を取り入れたことで、いくつかの課題に直面することとなりました。画面越しの作業が増えるということは、対処すべきメッセージやミーティング、通知が増えることを意味します。このため社員は「ノイズ」、つまり仕事のためのツールが次々発する通知のために大切な作業に集中できなくなってしまいました。

そこで昨年は、この問題の解決に本腰を入れることに決めました。社員たちは、仕事で成果を上げるには非同期での共同作業が欠かせないと認識する一方、非同期でのコミュニケーションについてもっと明確な指針がほしいと望んでいます。そのため Dropbox では今、コミュニケーションを簡素化するためにコミュニケーション チャネルの削減とシステムの改善に取り組んでいるところです。最近では、「バーチャル ファースト クイック ヒント」という社内向けのガイドを策定しました。ここには、具体的でわかりやすいガイドラインと、バーチャル ファースト ツールキットRemotely Curious ポッドキャスト、社内向けのプレイブック、技術的なヒントといった既存のリソースへのリンクがまとめられています。

また Dropbox では、社員や、同じような課題を抱えるお客様からのフィードバックに基づき、分断されたワークフローを効率化し、非同期での共同作業を強化する新たな手段の開発にも積極的に取り組んでいます。たとえば、コミュニケーションの壁を取り払い、時差があっても非同期で簡単に意思疎通を図れるツールとして Dropbox Capture を開発。画面録画やナレーション、スクリーンショットを利用してフィードバックをやり取りできるようにしました。また Dropbox Sign では、署名のようにこれまで紙とペンで行われていた作業をデジタル化し、シームレスな契約ワークフローを実現できるようにしています。

76%:バーチャル ファーストで、集中して仕事に取り組む時間をしっかり確保できていると答えた Dropbox 社員の割合

「集中へのフォーカス」で生産性が向上

新たに浮上した「集中力の途切れ問題」への対処に取り組んでいるのは私たちだけではありません。Dropbox が依頼した Economist Impact による先ごろの調査で、世界 10 か国のナレッジワーカー 1,000 名以上にアンケート調査を実施したところ、集中力の途切れは米国企業において年間約 4,680 億ドルもの損失を生み出していることが判明しました。一方、柔軟な業務体制と意識的な工夫で問題を緩和できることも明らかになっており、Dropbox はその 2 つによって集中力の問題を解決しようとしています。

Dropbox は今年、社員が集中力を発揮できるよう支援する取り組みによって、社員の生産性を高めることに成功しました。取り組みを通じてわかったのは、1 人で集中する時間と共同作業する時間を意識的に区切ることが重要だという点です。実際 76 % の社員は、バーチャル ファースト モデルに従うことで、邪魔をされず重要な作業に集中する時間を確保できていると述べています。また柔軟な業務体制により、リアルタイムの共同作業のための時間も確保できており、それ以外の時間は、社員それぞれが自身の必要に応じて使うことができています。

多くの Dropbox 社員は、もっと効果的に、焦点を絞ってミーティングを行うため、検討(Discussion)、討議(Debate)、意思決定(Decision-Making)という「3 つの D」をミーティングの開催基準にしています。それでも社員からは、ミーティングのあり方を改善する余地はまだあるとの声が上がっていました。そこで、行動研究の専門家と協力してさらに詳しい調査を進めたところ、議題の設定、議事録の作成、タスクの特定をもっと一貫した方法で行うことが必要だと判明しました。また、タイム ゾーンをまたぐミーティングの生産性を上げる方法についても、まだまだ検討の余地が残っています。

集中力についての調査で判明した点を踏まえ、私たちは、ミーティングのあり方に関する社内向けのプレイブックを前述の「クイック ヒント」で公開することにしました。集中力に関する最近のヒントとしては、デバイスで集中モードを有効にする方法やスケジュールを設定する方法、集中の阻害要因を把握して集中を継続する方法、1 日のピーク エネルギー レベルを把握して最大限の成果を上げる方法などがあります。

Economist Impact の調査でもう 1 つ興味深いのは、作業単位が短く休憩回数が多いからといって、必ずしも集中力が下がるわけではないという点です。むしろ、集中力、仕事の質、幸福度が高まる場合もあります。Dropbox の社内アンケートでは、休憩時間を確保している社員は 56 % のみ、自身の身体活動レベルに満足しているのは 47 % のみという結果が出ており、休憩については改善の余地があるといえそうです。今後の試行錯誤としては、ミーティング開始時に各チームで異なるルーティンを試し、ミーティング前の交流に効果があるか、ミーティング後にはどのような基準でフォローアップすればよいかを確認したり、Zoom でのビデオ会議が不要なときに休憩と運動を兼ねて 1 対 1 で「ウォーキング ミーティング」を行ったりすることを計画しています。

このような実践に加え、最新の作業ツールを活用すれば、日々の業務で生じる負担はさらに小さくなるはずです。そのため Dropbox では、AI 活用ツールの開発を進め、社員やお客様が集中して作業し、非同期でのワークフローを改善できるように努めています。たとえばユニバーサル検索ツールの Dropbox Dash では、1 つの場所からすべてのアプリやデバイスを対象に必要な情報を探し出せるので、Slack やメールで同僚に質問して仕事の邪魔をせずに済むようになります。また Dropbox AI を使えば、わずか数回のクリックで Dropbox のすべてのコンテンツをすばやく確認、要約し、適切な情報を引き出せるので、時間と労力を節約できます。

ベスト プラクティスにも常に改善の余地がある

バーチャル ファーストは Dropbox 社内ではうまく機能していますが、私たちが成長し、適応し、進化していく余地は常に残っています。知識の共有、効果的なミーティングの実施、対面での有意義な活動、リソースの有効活用、非同期での共同作業は、来年のバーチャル ファーストの実践でも引き続き重要なテーマとなります。Dropbox は 2024 年も、社員のフィードバックに基づく新たな実験に取り組み、貪欲に学び続けるつもりです。その成果は皆さんにも共有しますので、どうぞお楽しみに!