ガントチャートがプロジェクト管理に役立つという記述を目にすることが多くなりました。そんなに便利なのであれば、「ぜひ始めてみたい!」という方も多いと思います。しかし、初めてなのでできればフリーのガントチャートツールで手軽に始めてみたいとお考えの方も多いでしょう。
そこで、フリーで利用できるガントチャートツールをクラウド、ローカルそれぞれの環境で利用できるもの、そして依然として多くの現場で利用されているエクセル向けのものまでを幅広くご紹介します。
まずはガントチャートとは何かという概要を理解していただき、その上で使いやすいガントチャートツールを探してみてください。
目次
1. ガントチャートを理解しよう
2. おすすめフリーガントチャートツール 4 選
3. エクセルでガントチャートを作成してみよう
4. まとめ
1. ガントチャートを理解しよう
1-1. ガントチャートとは
ガントチャートは、プロジェクトの進行管理を視覚化するために考案された手法です。一般的なガントチャートは縦軸に個別のタスクが並び、横軸にはそれぞれのタスクの開始から終了までが帯状に描画されます。
ガントチャートはアメリカで生まれたプロジェクト管理手法で、ヘンリー・ガントという経営コンサルタントが考案したことからこう呼ばれるようになりました。
個々のタスクとプロジェクト全体の進捗を管理するのに有効で、すでに多くの業種で導入されています。それを受けて近年ではフリーで利用できるガントチャートツールがたくさん登場しています。
1-2. ガントチャートがあると何が変わるのか
ガントチャートを利用するメリットは、主に 4 つです。
【ガントチャートを利用する 4 つのメリット】
- 視覚化されることで進捗状況が一目瞭然
- 仕事の割り振りや伝達事項などの漏れを防げる
- 進捗の遅れが生じた場合、どのタスクに遅れが出ているのかすぐに分かる
- タスクごとの管理ができるため負荷が偏っているタスクが判明する
(以後の割り振りが最適化される)
どれも従来からプロジェクト管理では必須の要素ですが、ガントチャートツールを利用することによってその作業が大幅に省力化されました。また、フリーで利用できるものもあるので誰でも簡単に導入できるようになっています。
1-3. フリーのガントチャートツール
ガントチャートを利用できるツールはすでにたくさん登場していますが、この記事ではその中でもフリー(無料)で利用できるものに絞ってご紹介します。まずはフリーのガントチャートツールで始めてみて、本格的に利用する段階になってから有料のものを検討しても良いですし、フリーツールの中でも実力十分なものもあるので、そのまま利用しても良いと思います。
ガントチャートツールにはローカル環境で利用するもの、クラウドで利用できるものがあります。ローカル環境で利用するものは単体で動作するので管理者向き、またクラウドツールとして提供されているものはネット環境があればメンバー間で情報共有ができるなどの特徴があります。
2. おすすめフリーガントチャートツール 4 選
2-1. フリーでも実力十分のガントチャートツール
フリー(無料)でガントチャート機能が利用できるプロジェクト管理ツールを 4 つご紹介します。クラウドサービスとして提供されている一部無料のもの、オープンソースで配布されているもの、完全無料のクラウドサービス、完全無料のローカルソフトといった具合にそれぞれ利用方法や取り扱いが異なるものを選びました。
利用を検討している方は、ガントチャートを利用する目的、用途に合わせて選択してください。
2-2. Jooto
画像:https://www.jooto.com/ganttchart/
無料アカウントを作成すれば、すぐに利用開始できるクラウドサービスです。1 つ 1 つのタスクを付箋のような単位で管理し、ブラウザ上のドラッグ&ドロップ操作で簡単に移動できる操作性がユニークです。
ToDo リストとしての利用は無料ですが、そこからガントチャートを作成する機能は有料版のみとなります。1 ヶ月間の無料期間があるので、これを利用して試してみるのも良いでしょう。
2-3. Redmine
画像:http://www.redmine.org/plugins/easy-gantt
オープンソースとして公開されているプロジェクト管理ツールです。とても高性能で、システム開発現場などで広く普及しています。チケットという単位でタスクを管理し、それぞれの進捗を視覚的に把握しながらプロジェクトを進行させることができます。
オープンソースなので入手は無料ですが、自前でサーバーを立ててインストール、設定をする必要があります。元々がシステム開発者向けのツールだったこともあって導入のハードルが高く、それゆえに導入が難しいとお感じの場合は「My Redmine」というホスティング型のサービスもあります。
2-4. みんなでガント.com
会員登録不要で今すぐ使えるクラウド版のガントチャートサービスです。一部の機能は有料ですが、ガントチャート作成に関わる機能はフリー版で十分利用可能です。
「ガントチャートを作成」ボタンをクリックしてパスワードを入力、そこで発行された URL をメンバー間で共有するだけで本格的なガントチャートを利用できます。
ちなみに上の画像のサンプルは、「ガントチャートを作成」ボタンをクリックしてからわずか 5 分程度で作成できました。
2-5. OpenProj
画像:https://osdn.jp/projects/sfnet_openproj/
フリーソフトをダウンロードしてインストールすると、ローカル環境でガントチャートが利用可能になります。マイクロソフト社が販売している有償のプロジェクト管理ツールである「Microsoft Project」と名称が似ているのは、互換ソフトだからです。
「Microsoft Project」と同様の機能を持ち、同ソフトで作成したファイルの読み込み可能で、こちらは完全フリーソフトです。すでに「Microsoft Project」のユーザーであれば操作性に馴染みやすいというメリットもありますが、フリーソフトゆえに使用方法などの解説が少なく、「Microsoft Project」に慣れていない方にとっては慣れるのに時間がかかるかも知れません。
3. エクセルでガントチャートを作成してみよう
3-1. エクセルの棒グラフ機能でガントチャートは作成可能
表計算ソフトのエクセルにはグラフ作成などに利用できる描画機能があります。この機能を利用すると表の作成に合わせてガントチャートを作ることができます。
ただし、あくまでもエクセルは表計算ソフトであってガントチャート作成ソフトではありません。ガントチャートの作成は可能ですが本来の機能ではないので、関数やエクセルの描画機能を熟知していないと難しいという現実があります。
依然としてエクセルをプロジェクト管理に利用している企業は多いので、そのニーズに応える形でエクセル用のガントチャートツールがフリーで配布されています。
どれも自分でゼロから作成するよりもはるかに簡単なので、エクセル向けガントチャートツールを 4 つご紹介します。
3-2. エクセル用フリーのガントチャートツール 2 + 2 選
エクセルで使えるフリーのガントチャートツールを 2 種類、それぞれ 2 つずつご紹介します。必要事項を入力するとガントチャートが自動生成されるものと、必要な箇所を書き換えるとオリジナルのガントチャートになるエクセル用テンプレートです。
どれも完全フリーなので、用途や使いやすさに応じて使い分けてください。
3-2-1. スケジュール管理表(簡易ガントチャートでの工程管理)
画像:http://redwarriorhacks.blog41.fc2.com/blog-entry-1.html
タスクの名称と開始予定と終了予定、優先順位などを入力するだけのシンプルなガントチャートツールです。多機能ツールの対極的な存在として、手軽に使いたい人向けにシンプルさを追求した設計になっています。
⇒ EXCEL スケジュール管理表(簡易ガントチャートでの工程管理)
3-2-2. Excel 版ガントチャート
画像:http://www.vector.co.jp/soft/winnt/personal/se480577.html
エクセル上で動作するフリーのガントチャート作成マクロです。無料で利用できるのは 30 タスクまでですが、多くのプロジェクトはそれで事足りると思いますので実質フリーです。
3-2-3. 各種ガントチャートテンプレート
エクセル形式の各種ガントチャートテンプレートです。日程管理表、プロジェクトガントチャート、進捗管理という具合に用途別に配布されているので目的に応じて利用可能です。
3-2-4. やまガントチャート
画像:http://www.vector.co.jp/soft/screen/win95/business/se457527.html
フリーのエクセル用ガントチャートテンプレートです。マクロを使用していないので行を増やす場合などの可変性に優れており、またエクセルのバージョンが古くても互換性が高く利用しやすいのも嬉しいところです。
開始予定日を過ぎても開始されていないタスクや進行中、完了したタスクなどが自動的に色分けされるので、進捗状況を把握しやすく設計されています。
4. まとめ
ここまで、可能な限りフリーのサービスやフリーソフトを使ってガントチャートを作成する手段を解説してきました。フリーだからと言って使い物にならないということは全くなく、まずはガントチャートを始めてみたいという方に適したものばかりです。それぞれのサービスやソフトには特徴があるので、できれば複数のツールでガントチャートを始めてみて、その上で本格的に利用するツールを選ぶのか、フリーのツールをそのまま使うのかを決めるのが良いと思います。
ガントチャートの目的は、プロジェクト管理をスマートにすることです。最適なガントチャートツールを活用して、管理者にとってもメンバーにとっても快適なプロジェクト進行にお役立てください。