勤怠管理をもっと手軽にしたいと考えるあなたへ
タイムカードの管理に、給与計算……従業員の数が増えれば増えるほど手間も増えるもの。それが勤怠管理です。「スタッフの数が増えたのはいいけれど、もっと手早く、効率的に管理したい」と思いませんか?
今回は、手軽にかつ安全に管理できる勤怠管理の方法をご紹介します。より効率のいい勤怠管理のために、ご参考にしてください。
目次
1. 勤怠管理はなぜ必要?
2. さまざまな勤怠管理方法
3. パソコン・スマホを使った勤怠管理システム
4. オススメのクラウド型勤怠管理アプリ
5.給与振込までやってしまいたい人のためにオススメのサービス
6. 勤怠管理システムを選ぶポイント
7. まとめ
1. 勤怠管理はなぜ必要?
そもそもなぜ勤怠管理をする必要があるのか、あなたはすぐに答えることができるでしょうか。給与計算のため? それもあります。しかし、勤怠管理には、もっと大切な側面があるのです。
1-1. 勤怠管理でわかること
出社時間や退社時間、休日出勤や時間外労働を記録する勤怠管理。労働時間を正しく把握することによって、従業員にかかっている負荷を知ることができます。
これは、会社を健全に運営していく上で非常に重要なポイントです。労働基準法では、時間外・深夜・休日労働についての規定が定められています。 労働時間を管理することで、従業員は法的基準にのっとった労働ができるのです。
1-2. 正しい勤怠管理ができないと
逆に勤怠管理が正しく行われていない場合、会社は従業員に正しい給与を支払うことができません。それだけではなく、過剰な労働を従業員にさせ、その心身を損なう恐れがあります。あなたも過労死や残業代未払いのニュースを見聞きしたことがあるでしょう。
そのニュースにあなたの会社が載るかもしれないのです。
従業員を失い、賠償金を払い、世間の非難に晒される……考えただけで恐ろしいですね。そんなことにならないためにも、健全かつ正確な勤怠管理を行いましょう。
2. さまざまな勤怠管理方法
2-1. かつての勤怠管理と現代における選択肢
勤怠管理の手順は、「従業員の労働時間を集計し、計算する」ことです。しかし、勤怠管理と一口に言っても、多様な手法があります。
従来は労働時間の管理をタイムカード主流に行っていました。従業員が紙のカードに打刻し、総務が手動で労働時間を集計し、そして経理が給与を計算するという光景がどこのオフィスでも見られたものです。時が流れ、パソコンやスマートフォンが普及した現在、勤怠管理の形も大きく変わり、さまざまなバリエーションが生まれました。ここで近年の主な打刻方法を見てみましょう。
2-2. 多様な勤怠管理方法
2-2-1. タイムカード
出勤し、タイムカードを打刻するオーソドックスな手法です。打刻機を使用するため、オフィスや工場など、労働場所が固定されている職種に向いています。以前は紙が主流でしたが、現在ではデータ連動しているものも少なくありません。
2-2-1-1. タイムカード式を用いるメリット
置いてある打刻機にカードを入れるだけなので、従業員に手間をかけません。特に知識がなくともできるため、導入に時間がかかりません。
2-2-1-2. タイムカード式を用いるデメリット
打刻機の前に立たなければならないため、外出の多い職種には不向きです。常にコストとしてカード代とインク費がかかるほか、自社で計算する場合、総務の労働時間対費用も考慮する必要があります。
2-2-2. 指紋・静脈認証
紙を用いず、本人の生体反応を元に記録を取る方法です。必ず本人でなければならないため、正確な労働時間が把握できます。またセキュリティ性も高く、機密性のある職場に向いています。
2-2-2-1. 指紋・静脈認証を導入するメリット
正しい労働時間の把握ができます。また、セキュリティ性の向上が望めます。
2-2-2-2. 指紋・静脈認証を導入するデメリット
タイムカードと同じく、打刻機の前にいる必要があります。また、初期導入の費用およびランニングコストが他と比べてやや高めです。指紋認証の場合、指先に怪我をすると認識しない場合があります。
2-2-3. パソコン・スマートフォンで
画面をタッチするだけで、時間を記録するシステムもあります。場所や職種を選ばずに管理ができるのが特徴です。さまざまなアプリが開発され、自社独自のシステムを用いている企業もあります。
2-2-3-1. パソコン・スマートフォンを導入するメリット
システムをインストールするだけなので、初期費用が安めです。オフィスの自分のデスクや外出先で打刻できるので、場所にとらわれず勤怠管理することができます。
2-2-3-2. パソコン・スマートフォンを導入するデメリット
自社内でシステムを管理する場合、サポートを受ければシステムを動かせる程度の知識を持つスタッフが最低でも 1 人は必要です。また、スマートフォンで勤怠管理をする場合、外出先での打刻地点が人によってまちまちになる恐れがあります。(取引先を出た直後、最寄駅、地元の駅など)どのタイミングで打刻するか、共通認識を育てることが大切です。
2-2-4. 勤務スタイル別オススメの打刻方法
2-2-4-1.オフィス・工場・店舗など…1 か所でお仕事をする方にオススメの打刻方法
- タイムカード
- 指紋、静脈認証
- パソコン
- スマホ
出勤場所が固定であれば、さまざまな選択肢から業務形態にあったものを選ぶことができます。正社員だけでなくアルバイトやパートの有無、会社の人数に適した打刻方法を選びましょう。
2-2-4-2. 直行直帰・複数事業所でお仕事をする方にオススメの打刻方法
- パソコン
- スマホ
移動が多く、オフィスでの勤怠管理が難しいスタッフが多い企業様には、スマホやパソコンを使った勤怠管理がオススメです。どこにいても正確な勤怠管理ができるのは素晴らしいことですね。
2-3. 計算に用いられるツール
従業員から 1 か月の労働時間の申請を集めたら、いよいよ総労働時間の計算です。打刻方法にあわせた計算方法を見てみましょう。
2-3-1. タイムカードの場合
紙のタイムカードに打刻した場合、集計は手計算もしくはデータで行います。手計算の場合は、エクセルのテンプレートを用いるなどして、労働力の縮小に努めているところが多いようです。
2-3-2. エクセルを使った勤怠管理
ネットで「勤怠管理」と検索すると、エクセルを使ったテンプレートも出てきます。こちらは、紙のタイムカードの時間集計に利用するものがほとんどです。担当者がカードに記された出勤・退勤・休憩時間を入力し、エクセル関数を使って計算します。手計算より早く給与を算出することができます。
2-4. データ連動の場合
パソコンやスマホを使った打刻の場合、データは自動で集計されることがほとんどです。本人が打刻した数字がすでにデータ化されているため、ミスが起きにくく、勤怠管理担当者の手間も激減します。次の章では、パソコン・スマホを使った勤怠管理システムを紹介いたします。
3. パソコン・スマホを使った勤怠管理システム
パソコンやスマートフォン上で使用できる勤怠管理アプリでは、数字がデータ化されているため集計の手間がなく、給与ソフトと連動もできるため、タイムカードから切り替える企業が増えています。ここでは、勤怠管理システムの種類や機能を見てみましょう。
3-1. クラウド型とパッケージ型
勤怠管理システムには、クラウド型とパッケージ型があります。クラウド型は、クラウドサービスを提供している企業からシステムを借りて利用します。サーバーの用意や保全の手間がなく、手軽に勤怠管理をできるのがメリットです。デメリットとして、利用人数に限りがあったり、回線が落ちている時に自社では対応ができないという面があります。料金は無料のものや有料のものなどさまざまな形がありますが、無料版では使える機能が制限されているケースが多々あります。有料版の場合、1人につき月額 30~300 円という形で利用する人数によって料金が変わります。
パッケージ型の場合、最初にシステムを購入する形になります。購入後は自社で使うだけなので、自社の労働環境にあわせてカスタマイズできます。自由度が高く、購入後は費用がかからないのが特徴です。セキュリティは自社で行う必要があるため、ある程度の知識があるスタッフが必要となります。購入費用は、数万円~数十万円。初回にかかる費用は大きいですが、ランニングコストがかかりません。
3-2. 勤怠管理システムにある機能
勤怠管理システムには、さまざまな機能がついています。ここでは、ごく基本的な機能について紹介します。システムによっては、有料となっている機能もありますので、注意しましょう。
3-2-1.タイムカード機能
出勤、退勤、欠勤などの管理ができます。
3-2-2.給与計算
タイムカードだと手動計算だった給与が、自動で行われる給与計算は、大きな魅力のひとつ。アプリによっては、有料となります。
3-2-3.有給管理
従業員一人ひとりで違う面倒な有給を一括管理できます。
中には、36 協定超過のチェック機能やシフト管理、残業申請機能があるアプリもあります。自社の勤務形態や給与体系、労働スタイルにあった機能を選びましょう。
3-3. 勤怠管理システムを選ぶときに気をつけたいこと
従業員の数も、システム選びの基準になります。特に忘れてはいけないのは、「今現在の人数ではなく、5 年後 10 年後にどんな規模になっているのか」です。勤怠管理システムは全ての従業員に関わるものなので、一度導入したものを変更するとなると大きな手間と時間がかかります。今は 10 人に満たない従業員数でも、5 年後、10 年後となれば、30 人、50 人と規模を拡大させているかもしれません。最初に検討を重ね、自社の成長にあわせた勤怠管理システムを選びましょう。
4. オススメのクラウド型勤怠管理アプリ
こちらでは、オススメの勤怠管理アプリをご紹介しています。従業員の数や会社の規模、出勤・労働スタイルによって勤怠管理に求められる機能も変わります。また、使い勝手やデザインも大事なところ。最初はお試しの無料版でいくつか試してみましょう。
以下では、もっともオススメな「シュッキーン」を中心にご紹介していきます。
4-1. 忙しい社長の味方。一目で従業員の時間管理ができる「シュッキーン」
使わなくなった Android、iPhone、iPad を端末として利用できるため、初期コストを抑えることができます。アプリを起動する必要はなく、通るだけ、かざすだけで記録されます。20 人以下は無料、有料版は 100 名まで対応しています。チーム別の労働時間もグラフとして算出されるため、タイムマネジメントにも活用できます。
シュッキーンにはパソコンから打刻する「WEB でシュッキーン」、端末を親機にかざすだけの「かざしてシュッキーン」、アプリをインストールしたスマホを持って出勤するだけでいい「とおってシュッキーン」があります。こちらでは、もっともカンタンな「WEB でシュッキーン」の導入方法をご紹介いたします。
4-1-1. 管理者を登録する
新規登録画面にて管理者を登録します。利用規約の読み落としがないよう、注意しましょう。
4-1-2. 従業員を登録する
管理者のアカウントを作ったら、次は従業員を登録します。管理者は従業員に含まれませんので、自分自身の勤怠管理もしたい場合、まずは自分を登録する必要があります。
4-1-3. 打刻する
ホーム画面の出勤・退勤ボタンを押すだけでデータが保存されます。
これだけです。タイムカードの集計をしていた時間はなんだったのかと思うほどカンタンに勤怠管理ができるようになります。
4-2. 従業員が増えても大丈夫!人数無制限が最大の魅力「コーパス」
http://s2corpus.ps-corpus.com/view/login/login.html
人数無制限なのが最大の魅力。給与明細の作成まで無料で行えます。労働三帳票(出勤簿、労働者名簿、資金台帳)の作成機能もあります。iPad や Android にも対応しているため、移動の多い勤務スタイルでも大丈夫です。これから事業の拡大を目指している企業様に向いています。
4-3. 全ての機能が完全に無料で使えるベンチャー企業のためのアプリ「IEYASU」
https://www.ieyasu.co/
人事実務の専門家がベンチャー企業に必要な勤怠管理項目を設定したシンプルなアプリ。
すべての機能が完全に無料で使えるのが魅力。休日申請や勤務時間・所定時間・みなし時間などの設定が可能です。すべての機能が完全に無料で使えるため、コストを抑えたいベンチャー企業様に向いています。
4-4. 秘密を守りたい中小企業に! カスタマイズ可能な使い勝手が魅力「オープンソース」
https://mosp.jp/
100 名まで無料の中小企業向けアプリ。オープンソースなので、「パッケージのまま利用する」「カスタマイズして利用する」「クラウド/ASP で利用する」など、選択肢が豊富です。自社内で勤労管理を行いたい中小企業様にオススメです。
4-5. 外出が多い仕事なら、GPS 連動で位置もバッチリ把握「cyzen」
https://www.cyzen.cloud/
スマホで勤怠管理を行う際、従業員が勤務を終える場所がどこか、気になる管理者も多いでしょう。その不安を払拭してくれるのがこちらのアプリです。GPS 連動なので、出勤・退勤を打刻した時にどこにいるかも一目瞭然。営業スタッフなどが多い企業様に適しています。
4-6. 勤務パターンが複数作成できる「勤務ろぐ Free」
https://play.google.com/store/apps/details?id=info.androidx.workcalenf&hl=ja
勤務パターンを複数作成できるので、シフト勤務や早出・残業がある場合には管理しやすいアプリ。有料版もありますが、無料版でも十分に使えるほどに機能が充実しています。
三交代制など、複数の勤務パターンがある企業様にオススメです。
※ Androidのみ対応
5.給与振込までやってしまいたい人のためにオススメのサービス
「計算だけではなく、振込まで一括でできれば便利なのに」と思うのが人心というもの。こちらでは、勤怠管理から給与計算、振込までを行ってくれるサービスを集めました。
5-1. ワンクリックで給与振り込みができるクラウドサービス「MF クラウド給与」
https://biz.moneyforward.com/payroll
クラウドサービスの中でも珍しく給与振り込みにまで対応しています。会計や確定申告などのサービスとも連携できるのもメリットのひとつです。
5-2. 特許取得の「my 給」で従業員が振り込み日を決められる「勤怠管理システム Daim」
http://www.kizuna.co.jp
従業員が自分の操作でそれまでの給与を受け取れる「my 給」をはじめ、有給賃金自動計算など細かな機能が満載。シフト表にも対応しているので、店舗でも使えます。
5-3. セコム「あんしん給与サービス」
http://www.secomtrust.net/service/ekakusin/kyuyo.html
外注となると、給与計算から振り込みまで扱ってくれるところが多いです。こちらのサービスもそのひとつ。会社により料金が違うので、自社の規模にあわせていくつか見積りを取るといいでしょう。
6. 勤怠管理システムを選ぶポイント
さまざまな方法がある勤怠管理システムですが、選ぶ時の基準があります。いかに優れた勤怠管理システムでも、社員が使えなければ意味がありません。しかも、勤怠管理は個人情報の宝庫とも言える部分なので、信用できるシステムを選びたいですよね。では、何を基準にすればいいのでしょうか。
導入会社数? 使いやすさ? コスト?
「低コストで」「低労力で」「効果が高い」ものを求めるのは当然ですが、何より外してはいけないポイントがあります。
自社の就業スタイルとあっているか
です。
例えば、商社で社員が取引先に立ち寄ってから出勤あるいは退勤する場合、会社に固定するタイプの勤怠管理システムでは使いにくいですよね。逆に、全員が会社に出社する工場で、移動先からも入力できる勤怠管理システムはあまり使い道がない、ということになってしまいます。社員の数が少人数であるなら、エクセルのテンプレートを活用してもいいでしょう。このように、仕事のスタイルや場所、会社の規模によって、勤怠管理の仕方は違います。自社に適した管理システムを選択する必要があるのです。
6-1. 自社に合っているか見極めるためのチェックポイント 5 つ
- □ 従業員の数は?
- □ 勤怠管理を把握する必要がある事業所は何か所あるのか
- □ 勤務スタイルは?(固定制、シフト制、フレックス制)
- □ ワークスタイルは?(事務所のみ、外回り多め、他店舗へのヘルプありなど)
- □ 給与スタイルは?(月給、時給、インセンティブの有無など)
まずは自社のスタイルを的確に把握しましょう。すると自然に、「どのようなシステムを求めているのか」が導き出されるはずです。そして、「せっかく導入したのに社員が使い方を覚えられない」などということがないよう、使いやすさも考慮に入れておくとよいでしょう。
6-2. 勤怠システムをうまく活用するコツは視点を切り替えること
勤怠管理システムを導入し、事務の手間をカット。給与計算も楽になり、これで万々歳! で終わってしまっていては、勤怠アプリを使いこなしたとは言えません。勤怠管理アプリには、別の使い道があるのです。
例えば、チーム管理。アプリによっては、チームごとの残業時間を比較できるものがあります。その機能を使うことで、どのチームが一番労働時間が長いのか、誰かに過剰に負担がかかっていないのかを確認することができます。ワークバランスを知るとともに、新たな人材を投入すべきチームはどこか、一目瞭然で把握できるのです。人材配置はもちろん、経営戦略にも活用できるのです。
7. まとめ
健全な勤怠管理を行うことは、従業員を守り、成長させることにつながります。疲れ切った環境では誰もが 100 % の実力を出すことができないでしょう。適度な休みをとらせることで、最高のパフォーマンスを発揮できれば、それは会社の成長にも繋がります。的確な勤怠管理で、より良い成果を得てください。