ハイブリッドワーク環境の整備に必要なセキュリティとルール策定

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コロナ禍でのテレワークや、ワークライフバランスの見直しを背景に、昨今ではオフィス勤務とテレワークを併用する「ハイブリッドワーク」が注目を集めています。ハイブリッドワークは、従業員の生産性向上だけでなく、従業員エンゲージメントの向上や人材雇用などさまざまな面でメリットを享受できます。本稿ではハイブリッドワーク導入に向けた環境の整備や社内ルールについて解説します。

オフィス勤務とテレワークを両立させる「ハイブリッドワーク」

ハイブリッドワークとは、オフィス勤務とテレワークを組み合わせた働き方です。これまでのようなフルタイムのオフィス勤務ではなく、例えば「週2~3日を自宅やシェアオフィスから勤務する」という手段を選べます。企業によっては「週1日以上はオフィス勤務」「毎週月曜日は全員出社」といった社内ルールを設けている場合もあるでしょう。

ハイブリッドワークが広まった背景には、新型コロナウイルスや働き方改革による影響があります。コロナ禍で企業にも外出自粛を求められ、急激にテレワークが広まりました。オフィスでしかできない業務や、密集を避ける目的で、テレワークとオフィス勤務を併用するようになったのです。さらに、働き方改革の一つとしてワークライフバランスを見直すようになり、フルタイムのオフィス勤務以外でも働ける手段として注目を集めるようになりました。

国土交通省の調査によると、新型コロナウイルス収束後もテレワークを継続したいとテレワーカーの84.0%が回答しているなど、オフィス以外で働きたいというニーズが高まっています。

新型コロナウイルス感染収束後のテレワーク継続意向参照:国土交通省「令和3年度 テレワーク人口実態調査」を基に作成

ハイブリッドワークのメリット・デメリット

ハイブリッドワークはオフィス勤務とテレワークの良いとこ取りを実現し、企業・従業員それぞれにメリットをもたらします。

従業員側のメリットとしては、テレワークによって通勤時間を減らせる点が挙げられます。通勤時は満員電車や渋滞に巻き込まれることも多く、そこで感じていたストレスを軽減できるでしょう。また企業側も交通費などのコスト削減のメリットを受けられます。

生産性という面でも、データ分析・資料作成など一人で集中したほうが効率の良い業務はテレワークが適しています。一方、打ち合わせ・交渉といった綿密なコミュニケーションが必要となる業務はオフィス勤務が適したりすることもあります。業務内容に応じて、生産性が高まる環境を選べる点もハイブリッドワークの魅力です。

生産性という面でも、データ分析・資料作成など一人で集中したほうが効率の良い業務はテレワークが適しています。一方、打ち合わせ・交渉といった綿密なコミュニケーションが必要となる業務はオフィス勤務が適したりすることもあります。業務内容に応じて、生産性が高まる環境を選べる点もハイブリッドワークの魅力です。

人材採用の拡大にも役立ちます。柔軟なワークスタイルを取り入れている企業は求職者にとって魅力的で、遠方に住んでいる人材でも採用できるようになります。また、フルタイムのオフィス勤務を前提としないことで子育てや介護による離職を防ぎ、定着率を高められるでしょう。このような従業員エンゲージメントを高めるという観点でもハイブリッドワークは効果的です。

ハイブリッドワークを定着させる4つのポイント

ハイブリッドワークの導入は、次のポイントを押さえることで定着が進みます。

① オフィス環境の整備

常に全社員が出社するタイミングは少なくなるため、固定席ではなく自由に席を選べる「フリーアドレス」を導入するのが効果的です。また、テレワークでのコミュニケーション不足を解消するため、気軽に話ができる「コミュニケーションスペース」もあると便利です。

② 社外利用を前提としたセキュリティ対策

自宅・シェアオフィスといった選択肢がある中で、セキュリティに配慮した環境を選ぶ必要があります。まずは、必要なファイルをオンラインで共有する際に情報漏えいしないよう対策しなければなりません。

例えば、カフェや公共Wi-Fiといったセキュリティの弱いインターネット環境を避けたり、高セキュアなオンラインストレージを選んだりといった対応です。シェアオフィスでWeb会議を行う際も、オープンなスペースではなく個別ブースを使用するのが望ましいといえます。

③ テレワークに合わせた評価制度

ハイブリッドワークに配慮した「人事考課」にしておく必要もあります。テレワーク中は従業員の働きぶりを確認しにくく、適切に評価できないケースもあります。テレワークを中心とする従業員が人事考課で不利になれば、モチベーションに悪影響を与えかねません。目標管理ツールやプロジェクト管理ツールなどのITツールを用いて、進捗や成果を見える化し、公平な人事考課を整えておきましょう。

④ ツールの活用

テレワーク対応で導入済みのケースもあるかもしれませんが、Web会議システム、ビジネスチャットといったコミュニケーションツールに加え、リモートデスクトップやVPNといったシステムも用意する必要があります。

「コミュニケーション」と「セキュリティ」が課題に

ハイブリッドワークの運用には2つの注意点があります。

1つ目は「コミュニケーションの齟齬」です。ハイブリッドワークでは、本人の業務内容に応じてオフィス勤務中心、テレワーク中心と二極化する可能性があり、オフィス勤務者に比べてテレワーク勤務者は情報不足に陥るケースもあるでしょう。

またテレワーク中心となるメンバーは、他のメンバーと対面で会う機会や、リアルのオフィス空間に訪れる機会も減るため、組織への帰属意識が薄まるかもしれません。その対策として、「週◯日以上はオフィス勤務に」と社内ルールを設定する方法があります。

2つ目は先ほども触れましたが、「セキュリティリスク」の問題です。特に、近年増加しているマルウェアやハッキング攻撃といった被害から従業員を守るには、例えば、外部から社内PCを操作できる「リモートデスクトップ」や「VPN」が有効です。

リモートデスクトップとは、インターネット経由で手元の端末から遠隔のPCを操作できる仕組みであり、端末にデータを残さずに作業できます。データを社外に持ち出す、社外の端末にデータを保存するといった情報漏えいリスクを防ぐことができます。

「VPN」とは、簡単にいえば、公衆回線を用いた仮想専用線です。通信を暗号化することで、社内サーバーやシステムに安全にアクセスすることが可能になります。ただし、VPNは初期コストも高くなりやすく、アクセスするユーザーの数が多くなると帯域圧迫のおそれが出てきます。

ハイブリッドワークで整備すべき社内ルール

ここまでの内容を踏まえ、ハイブリッドワークを導入する際に整理したい社内ルールについて、以下にまとめました。

① 勤怠・健康管理

ハイブリッドワークでは勤怠時間もバラバラになりやすいため、適切に勤怠を管理する必要があります。健康面もチャットのみでは把握しにくく、従業員が体調を崩してしまうかもしれません。勤怠管理ツールや健康チェックツールといったITツール活用で社員の健康を管理するほか、朝礼などの従業員が一堂に集まる場で健康状態を確認するのもよいでしょう。

② セキュリティ対策

「公共インターネットの接続はNG」「データ共有はセキュリティの高いクラウドを利用する」といったルールを設けるといいでしょう。また、従業員に指定の
Wi-Fiモバイルルーターを配布するなど、接続するネットワークを限定することで、セキュリティと利便性を両立できます。

加えて、上述した「リモートデスクトップ」や「VPN」をはじめ、企業や組織内のネットワークに接続された端末(エンドポイント)を監視する「EDR」、端末自体の機能を一元的に制限・管理する「MDM」、クラウドセキュリティの「CASB」、Webトラフィック全般を監視する「SWG」といったセキュリティソリューションを導入するのも重要です。

③ 人事考課

成果だけでなくプロセスも評価項目に組み込むことで、オフィス勤務、テレワークに関係なく、平等に評価できます。テレワークで上司がすべてを把握しきれない場合は、「360度評価」で部下・同僚・他部署の社員などから多面的に評価する仕組みも効果的です。

④ 経費の範囲

テレワーク中に発生する光熱費や通信費などを、会社側がどこまで負担するかもルール化しておくべきです。このような電気代やインターネット代はプライベートとの区分が難しいため、あらかじめ計算方法を明示すると従業員も安心して利用できます。

まとめ

ハイブリッドワークはオフィス勤務とテレワークにより、生産性向上やコミュニケーション改善、人材採用の拡大とメリットを享受できます。一方で、テレワーク環境ではマルウェア攻撃などのリスクにさらされるため、機密データの扱いには注意しなければなりません。そこで、手軽かつ安全にデータ共有する方法として、クラウドストレージを導入するのが有効です。

Dropboxでは、高セキュアな環境で簡単にデータ共有を行えます。サーバー上で編集・保存したファイルは、リアルタイムに更新されるため最新のファイルをメンバー間で扱えます。

セキュリティ対策として、「二段階認証」や「通信データの暗号化」といった方法で情報漏えいや不正アクセスから保護しています。テレワーク中にパソコンやスマホを紛失・盗難した場合は、遠隔操作でファイルを削除することも可能です。

もし、データを失った場合にも簡単な操作で復元できます。「バックアップ機能」は、保存したいファイル・フォルダを選択するだけで、365日間、自動的にバックアップしてくれます。

業務上、データのやり取りは必ずといっていいほど発生するため、安全かつ迅速なファイル共有方法として、クラウドストレージの活躍が見込まれます。ハイブリッドワーク定着化の第一歩としてクラウドストレージの導入を検討してみてください。

さよならファイルサーバー