2 年前に Dropbox がバーチャル ファースト(リモート ワーク中心の環境)をスタートさせたとき、成長の心構えを維持し、その過程で得た知見を共有することをお約束しました。その趣旨に基づき、昨年夏に Dropbox の全社員を対象としたアンケートを実施し、バーチャル ファーストでの経験や成功の秘訣について尋ねました。この「バーチャル ファーストの実践」に関するアンケートでは、新しい働き方における Dropbox 社員の仕事に対する姿勢、流儀、実践方法についても知ることができました。各方面からのさまざまな知見が、ハイブリッド ワークやリモート ワークの最適化を目指す個人や企業にとって新たな指針となることを願いつつ、この結果をご報告できることを嬉しく思います。
ほぼすべての社員が効率的な在宅勤務を実現
これはバーチャル ファーストでの大きな成果です。社員からは集中できる時間が増え、柔軟性が高まったと好評を得ました。Dropbox のバーチャル ファースト ツールキットで、より適切な目標設定からチームの満足感向上まで、バーチャル環境に対応した実践的な演習を用意したことが分散化した仕事環境での成功を後押ししました。
強固な基盤を築き上げた一方で、20 % の回答者が在宅勤務の段取りやバーチャル ファーストの一般的な心得について、もう少し踏み込んだアドバイスを求めていることもわかりました。
最も多く寄せられた意見は、在宅勤務の段取りについてアドバイスを増やすことでした。ある社員からは次のような要望が寄せられました。
「バーチャル ファーストで成果を上げている人たちの成功談を、具体的な方法やうまくいくコツ、装備、ツール、参考になる読み物などの情報も含めて頻繁に発信、公開してほしいと思います。そうすれば自分たちの働き方を最適化するさまざまな新しい方法を常に把握できます。」
その次に多かったのは、人間工学に基づいたサポートをもっと充実させてほしいという要望でした。ある社員は次のような提案をしました。
「ホーム オフィスにおすすめの機器や家具を紹介するオンラインショップやリンク集を作るのはどうでしょうか。専門のスタッフに機器類の正しい設定の仕方を 1 対 1 で相談できるオプションもあると良いですね。」
バーチャル ファーストについて詳しいアドバイスが欲しいというフィードバックからは、社員が従来の職場環境で体験していた「見て同じようにする」機会を求めていることがわかります。たとえば、自分の向かい側にいる整理整とんの上手な同僚や集中力が高い同僚を見て、自分のワークスペースでもそのやり方を真似してみようと思うことです。このフィードバックからは、それぞれに適したタイミングでのアドバイスが求められていることもわかります。つまり、社員たちが非同期が前提の考え方を取り入れ、新しい働き方を学ぶことに前向きであることを示しています。
このようなフィードバックを受けて、Dropbox では人間工学に基づいたサポートに関して新しいリソースを導入しました。これは、社員がデザインの専門家との面談で自宅のワークスペースを最適化する方法を学べるというものです。非同期のアプローチを希望する社員には、デザインのヒントになるような事例集を提供しました。
在宅での仕事を効率的にこなす力を高めたい方のために、健康的な在宅勤務環境をつくるためのベストプラクティスをいくつかご紹介します。
新しい働き方に伴って変化した仕事への取り組み方と選択傾向
今回の調査では、こうした新しい働き方における仕事への取り組み方、選択肢、与えられた課題についても理解を深めるため、対面勤務とリモート勤務のリズムの違い、それぞれに適した職場活動の種類、キャリアのステージに応じた仕事の選択傾向や取り組み方の違い、コラボレーションの変化などを検証しています。
Dropbox のバーチャル ファースト モデルで重視されるのは、対面でのつながりと協力関係を保つことであり、チームは四半期に一度、対面でのミーティングを行っています。対面で集まるようになって 1 年後、四半期に一度のペースで顔を合わせることが Dropbox によい結果をもたらしたことがアンケートで明らかになりました。これを望ましいペースと考える社員は最も多く、対面で集まる頻度をそれよりも増やしたい、または減らしたいという意見は半々に分かれました。この適切な頻度、より柔軟な対面ミーティングのあり方については、今後もモデルの改良を進めながら検討していく予定です。
また、チームが実際に集まる場合に、影響力のある特別な経験となるように、どのような種類の職場活動を行うかを計画的に考える必要があることもわかりました。アンケートでは、ある種の活動はリモートよりも対面で行うほうが良いという結果も出ており、チームが対面での集まりを計画したときの方法にも、その結果が反映されました。その結果、社員はブレインストーミングや戦略会議を対面で行うことが望ましいと考える一方で、制作活動、レビュー、読み書き、コーディングといった多くのタスクはリモートでの作業時に実行するのが最適ということがわかりました。
私たちが気付いたのは、キャリア ステージや役割タイプによって仕事の選択傾向や取り組み方に違いがあるということです。たとえば、リモート ワークやリモート ファーストの企業で活躍するデジタル ノマドの話題はメディアでもよく取り上げられますが、Dropbox ではノマド的な働き方に関心のある社員は全体の 10 % に過ぎず、そうした社員はまだキャリアの浅い層です。
また、一般社員は集中して仕事をしているときが最も生産的であると回答する傾向にあり、管理職は人と接しているときが最も生産的であると回答する傾向にあることがわかりました。これは、より自律的な仕事をする一般社員と、より協力的で戦略的な仕事をする管理職との違いを考えれば、理にかなった区別と言えます。
実際に、最も一般的なコラボレーション形式であるメッセージのやりとりに費やす時間は、一般社員よりも管理職のほうが多いのです。新しい働き方において、会議などの「現場主義的な」コラボレーション形式は一般的でなくなりつつあります。アンケート結果によると、これは社員が非同期前提の考え方をうまく取り入れていることを示しています。実際、ほとんどのチーム(事業開発や営業など外部や顧客と接するチーム以外)は、コラボレーションの形態として最も頻度が少ないのは会議であると回答しています。
Dropbox のバーチャル ファースト ツールキットは、より効果的なコラボレーションの手法から非同期前提の考え方の採用まで、分散環境での仕事を成功に導く方法について数多くのリソースを提供しています。また、Remotely Curious ポッドキャストでは、新しい働き方の現実についてためになるヒントや関連性の高い話題を紹介しています。
自然なつながりを築く方法をさらに追求
Dropbox の社員は、より自然なつながりを求めていると回答しています。これはオフィス内で顔を合わせる機会が少なくなると、確かに難しいかもしれません。
人とのつながりに関する社員の声を紹介します。
- 「仲間とのつながりは、これからも大切にしていきたいことです。現状では、普段オフィスでするようなちょっとした会話に匹敵するものはありません。」
- 「初対面の人と関係を築くのが難しいです。無理にカメラの前に座らされている感じで、あまり効果的とは思えません。」
さらに掘り下げてみると、Dropbox の社員はリクエストや対話を単なる取引と感じさせないために、真のつながりを大切にしていることがわかりました。その点で世間話は欠かせないものであり、インタビューに応じた人たちは、世間話によって共感が生まれ、信頼関係が深まると認めています。そうすることで、困難な状況でもポジティブな意図を信じられる基盤が築かれます。最終的に、相手を知ることが最適なコミュニケーション方法を理解することにつながります。
バーチャル ファーストは、パンデミック以降のリモート ワークについて、多くの企業が明確な姿勢を示す前に発表された大胆な試みでした。私たちは今回の結果を非常に心強く思っていますが、まだまだやるべきことがあるのも事実です。今後もバーチャル ファースト モデルの改良を続け、より開かれた働き方を追求する過程で得られた知識を共有していきたいと考えています。
バーチャル ファーストで自然なつながりを育むベストな方法については、まだ学びの途中ですが、一部の Dropbox チームがバーチャルの仕事環境で井戸端会議の場面を再現するために使用したリソースをぜひご覧ください。
※本記事は Dropbox のハンナ マーケル-ゴールドスタインが執筆した記事を和訳したものです。