テレワークという言葉を最近よく見聞きするものの、テレワークって何?そんなに仕事の進め方が変わるの?という疑問をお持ちですか?
ICT (情報通信技術) の進化、普及によって今や在宅勤務や遠隔地での勤務などのハードルが下がり、そのメリットに着目した国や企業がテレワークを官民挙げて推進中です。
企業にとってはコストダウンや人材確保、リスク管理などのメリットがある一方、働く人にとっても、ライフスタイルに合わせた多様な働き方が可能になるため、そのメリットに注目している人はたくさんいます。
今回の記事ではテレワークの概念や仕組みを解説、その上で今すぐテレワークを始めたい方のために必要な情報、そして豊富な事例紹介によってテレワークの導入イメージを描いていただけるような情報をまとめましたので、ぜひご一読ください。
目次
1. テレワークの基本
2. テレワークを始めよう
3. テレワークの成功事例集
4. まとめ
1. テレワークの基本
1-1. テレワークとは
テレワークとは、直訳すると「離れた場所で働く」という意味です。実際の働き方に当てはめると在宅勤務やノマドワークに代表されるように働く場所にとらわれないワークスタイルを指します。離れたところに映像を届けて視聴する機械はテレビと呼ばれますが、このテレ(Tele)というのは「離れた場所」という意味なので、テレ+ワーク(Work)で「テレワーク」という造語が生まれました。
1-2. テレワークの仕組み
テレワークは、ICT (情報通信技術) が生み出した働き方です。ICT の発達、普及によってインターネットに接続できる環境があればどこにいてもオフィスにいるのと同等の仕事環境が得られるようになったことが、テレワークが注目され、普及する原動力となりました。
仕事をする人はノートパソコンや遠隔地にあるデスクトップパソコンなどの端末を使って仕事をして、仕事で使用するファイルを遠隔地同士で共有したり、各種のコミュニケーション手段を使って緊密にやり取りをすることでテレワークが実現します。
画像:http://www.japan-telework.or.jp/intro/tw_about.html
1-3. テレワークのメリット
テレワークの導入には、さまざまなメリットがあります。真っ先に浮かぶものから潜在的なものまで順に挙げてみると、以下のようになります。
1-3-1. 直接的なメリット
- 時間、距離、金銭的な制約から解放され多様な働き方が実現する。
- 育児、介護などと仕事を両立しやすくなる。
- オフィススペースを縮小できるため企業のコストダウンにつながる。
- SOHO や個人事業者などの独立開業が容易になる。
- 時間的行動的制約が生じた優秀な人材の流出を防止できる。
1-3-2. 潜在的(間接的)なメリット
- 営業マンがより自由に活動できるようになり、営業力強化につながる。
- 同じ時間帯に通勤する人が減るため満員電車、交通渋滞の問題が改善する。
- 人の移動が減ることで環境保護につながる。
- 都市部への人口集中に歯止めがかかり、地方が活性化する。
- 大規模災害やパンデミック(爆発的な感染拡大)などにおいても事業の継続が可能になる。こうしたリスク管理は BCP (事業継続計画) と呼ばれ、企業の存亡に関わる問題として重視されつつある。
- 家庭と仕事のバランスを働く人が決められるような社会が到来する。
1-4. テレワークが注目されている理由
前項のようにとてもメリットの大きなテレワークなので、国も本腰を入れて推進しています。総務省が情報通信技術政策の一環としてテレワークの普及を推進しており、「世界最先端 IT 国家創造宣言」という閣議決定を受けてテレワーク導入企業の数を 2012 年度と比べて 3 倍に引き上げるという目標が掲げられています。
国が掲げている「一億総活躍社会」を実現するには多様な働き方を提示することで労働人口を増やす必要があるため、物理的な障壁を低くすることでこれまで確保できなかったマンパワーを積極的に活用していこうという動きが始まっています。
参考:http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/telework/18028_02.html
2. テレワークを始めよう
2-1. テレワークに必要なもの
テレワークを始めるのにあたって必要なものは、主に以下の通りです。ほとんどがすでにあるもの、もしくは簡単に入手できるものばかりです。つまり、インフラ面ではすでにテレワークを始めやすい環境ができあがっているということです。
【テレワークに必要なもの】
- パソコンやスマホなどの端末
- インターネット回線
- 業務上必要なソフトやコミュニケーション用の各種ツール など
おおむね以上のものが揃っていれば、今すぐテレワークを始めることができます。
2-1-1. インフラ的に必要なもの
テレワークに必要なもののうち、インフラ的に必要なのは端末とネット回線です。ここでいう端末とは、作業に使用するのと同時に本部やオフィスなどと業務連絡で使用する通信用の端末のことです。この両方を同じ端末で行っている場合はそれひとつで構いませんが、作業はパソコン、連絡はスマホといった具合に使い分けている場合は両方が必要となります。
2-1-2. ソフト、ツール的に必要なもの
テレワークで行う仕事の内容によって、必要になるソフトやツールは変わってきます。Word や Excel などのオフィス系ソフトや、ウェブ制作作業をする人であればそのためのソフト群、デザイン作業をする人であればイラスト作成やページレイアウトソフトなどのことです。
2-2. テレワークで仕事を進める方法
テレワークを始めるにあたってもうひとつ必要なのは、実際に作業をする「仕事」です。すでにオフィス内で行っている仕事をテレワーク化する場合は、どの業務を在宅や遠隔地でもできるかを洗い出し、可能なものからファイルを持ち出して順次テレワーク化していきます。
独立自営の事業者であれば、仕事を取って来ることも仕事のうちです。クラウドソーシングサイトや SOHO サイトなどで募集されている仕事を探して、自分のスキルに合致する仕事を受注することから始めるのが早道でしょう。
クラウドソーシングについて詳しく知りたい方は、「5 分で知る [クラウドソーシングとは]発注者・受注者の活用事例も紹介」の記事をご覧ください。クラウドソーシングの定義から発注者と受注者それぞれのメリットデメリット、代表的なクラウドソーシングサービスなどを解説しています。
2-3. 打ち合わせや情報共有に便利なツール
2-3-1. コミュニケーションツール
在宅や遠隔地での作業環境を整えたら、次に必要なのが連絡手段です。すでにテレワークに役立つ各種サービスが整備されているので、それらを積極的に活用しましょう。ここでご紹介するものは全て無料なので、今すぐ簡単に導入することができます。
・業務連絡に最適なチャットワーク
名前の通り文字によるチャット形式で連絡を取ることができるサービスです。文字ベースで履歴が残るので「言った、言わない」という行き違いを防ぎ、チャット上でファイルのやり取りもできるので作業の進捗管理にも役立ちます。
同じプロジェクトに参加しているメンバー全員でチャットグループを組むこともできるので、メンバー間での情報共有も簡単かつ確実です。
⇒ チャットワーク
・無料通話の元祖、スカイプ
無料通話を世界に先駆けて始めたサービスなので、個人的に利用しているユーザーも相当数に上ります。電話と同様の通話が無料で利用できることに加えて、カメラを使ってテレビ電話のようなやり取りも可能なので遠隔地同士の業務連絡に威力を発揮します。
チャット機能もあるので、通話をしながらファイルを送ってその場で確認してもらうといった使い方も可能です。
⇒ スカイプ
・メッセージアプリの定番、LINE
個人的な連絡手段として多くの人が利用している LINE も、テレワークの連絡手段としてとても役立つツールです。無料通話やファイルの送受信、グループ LINE など、ビジネス用途でも十分使える機能が満載です。
すでに利用している人が多いのも強みで、パソコン版の LINE をインストールすればパソコン上での連絡にも役立ちます。
2-3-2. ファイルの共有ツール
作業ファイルの送受信や共有には、オンラインストレージサービスがとても便利です。共有フォルダを作っておいて遠隔地のメンバー同士がそこにあるファイルで作業をすれば、常に最新版のファイルを閲覧・編集できます。
主要なオンラインストレージサービスの概要やメリット、使い方については「おすすめ 3 大オンラインストレージサービスを徹底比較!」に分かりやすい解説があります。
その中でも高いシェアを持つ Dropbox を使ったファイルの共有については、「Dropbox でデータを共有する方法に関して知っておきたい 7 つのこと」でそのメリットや使い方が詳しく解説されているので、テレワークでの情報共有に役立つ情報も多いと思います。
テレワーク化が進めば進むほど、情報共有の重要性が高まってきます。テレワークの準備においては、そのツールとしてオンラインストレージサービスも加えておくことをおすすめします。
3. テレワークの成功事例集
3-1. 生産性向上、業務改善(総務省まとめ)
情報技術の普及促進という観点からテレワークを推進している総務省がまとめた、優良導入モデルです。「生産性・効率性の向上」「有能・多様な人材の確保」「企業運営コストの削減」という 3 つのカテゴリーに分類されたメリットがどれだけ現実のものとなるかという視点でまとめられています。
かなり長いですが、実名を交えた読み応えのある事例集です。
3-2. 育児・介護など生活との両立(厚生労働省まとめ)
厚生労働省がまとめた、テレワークの事例集です。厚生労働省がまとめたということもあって、「仕事と育児・介護の両立」に主眼が置かれています。実際にテレワークを導入している企業においてどんなメリットが得られたのかが、働く人の生活改善という目線で紹介されています。
3-3. 中小企業の人材不足の解消編(クラウドソーシング活用推進コンソーシアムまとめ)
一般社団法人クラウドソーシング協会と、同じく一般社団法人日本テレワーク協会が調査をした上で、クラウドソーシング活用推進コンソーシアムという団体がまとめた事例集です。
テレワークとクラウドソーシングを一体として捉え、中小企業の労働力不足解消や付加価値向上という目線でまとめられているので、テレワーク導入を業務改善に役立てたいという中小事業者の方々にはとても参考になります。
4. まとめ
企業活動だけでなく働き方や社会全体を大きく可能性を持つテレワークについて、その概要と実際に始めるための方法を解説しました。最後には国や関連機関がまとめた事例集を紹介して、より具体的な導入イメージをお伝えしました。
テレワークという言葉を使っていなくても、すでにそれに近い働き方をしている人はたくさんいます。そしてこれからも、多様な働き方の中のひとつとして広がりを見せていくでしょう。
国がここまで本腰を入れて推進をするほどメリットも大きいので、関心のある方はこの記事にある情報をもとにまずは今できることから始めてみてはいかがでしょうか。