工事写真について、どのぐらいご存知でしょうか。
もしかすると、「工事写真の担当になったばかりで、あまりよくわかっていない」という方もいらっしゃるかもしれません。
先にお伝えしておきたいのは、工事写真を撮影・管理するためには、一定の知識が必要であるということです。
実際にやりながら覚えるというアプローチもなくはないですが、日々進む工事のなかで、撮影のタイミングが限られる、場合によっては撮り直しができないことを考えれば、やはり前もって一定の知識を得ておく方が賢明でしょう。
そこで、この記事では、工事写真の担当者ならまず頭に入れておくべき情報をまとめてご紹介します。
「工事写真の撮影~管理等の流れ」をはじめ、「工事写真の撮影に失敗しないために知っておきたいこと」「工事写真の管理を楽にする方法」などを、順にお伝えしてまいります。
ぜひ、参考にしてください。
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1.はじめに頭に入れておくべし!工事写真の撮影~管理等の流れ
まずは、“工事写真にまつわる業務の流れ”を把握するところからはじめるのがオススメです。業務の全容がつかめれば、工事写真の担当として何をしなければならないのかもおおよそ把握できるはずです。
[工事写真にまつわる業務の流れ]
▼撮影計画を立てる|撮影対象(何を撮影するか)・撮影タイミングの決定
仕様書や(公共工事の場合は)提出内容等によって、撮影対象(何を撮影するか)を洗い出す。また、工程表をもとに撮影のタイミングも予め決めておく。
このとき、撮影対象や撮影タイミング等をまとめた撮影計画書を作成しておくと、撮影の抜け漏れ防止に役立つ。撮影計画書は、監督者へ提出しなければならないケースも。
▼撮影機材の準備
撮影機器(スマートフォンorタブレットorデジカメ等)や三脚、黒板など、撮影に使用する機材や道具を準備する。
▼撮影
撮影計画にそって撮影を実施。
▼写真チェック
撮影後、すぐにその場で写真に不備がないかチェック。必要があれば撮りなおす。
▼写真管理(整理・保存)
撮影した写真をルールにそって仕訳し、整理する。また、整理した写真は必要に応じて、バックアップ等をとっておくと安心。
▼写真提出
提出先が求める方法にしたがって、写真をまとめ、提出。
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2.工事写真の撮影に失敗しないために、知っておきたい5つのこと
この章では、工事写真を撮影するにあたり、知っておきたい5つのことをまとめてご紹介いたします。
2-1.工事写真の目的と見せる相手を把握しておくと、撮るべき写真の検討がつきやすくなる
工事写真の目的「何のために撮るのか」、そして工事写真を見せる相手「誰に見せるための写真なのか」を把握しておくと、どういった写真が必要なのかがイメージしやすくなります。
たとえば、使用材料の写真と工事状況の写真とでは、写すべき内容は異なるでしょう。また、工事写真を見せる相手が監督者なのか、施主なのか等によっても、撮るべき内容が異なるはずです。
工事写真を撮影するとなると、ついつい「どんな写真を撮るのか」ばかりに意識が向きがちですが、撮るべき写真をきっちり押さえるためには、何のために撮るのか、そして誰に見せる写真なのかも併せて意識することが重要です。
2-2.撮影計画を事前に作成して撮り忘れを未然に防ぐ
1章でもお伝えしましたが、必要な写真の撮り忘れを防ぐツールとして、撮影対象(何を撮影するか)や撮影タイミング等をまとめた撮影計画書は非常に有効です。
記憶だけを頼りに撮影していると、バタバタした工事現場ではうっかり撮影し忘れてしまうこともあるでしょう。しかし、撮影計画書があれば、何を・いつ撮影すべきかが明確にわかるため、“うっかり忘れる”といったケアレスミスは未然に防ぐことができます。
ぜひ工事が始まる前に、工程表と併せて写真撮影時期と撮影対象をまとめた資料を作成しておきましょう。
また、撮影計画書は提出が必須でない場合も、工事前に工事の全体を把握する監督者にチェックしてもらうのがオススメです。実際、監督者のチェックを受けてはじめて“自身は認識できていなかったけれども、本来は必要な写真”が発覚することも少なくありません。
2-3.工事写真に入れるべき情報は、5W1Hでチェック!
工事写真は、見ただけで5W1Hの情報が汲み取れる写真である必要があります。
5W1Hとは、具体的に下記の通りです。
・When(いつ):撮影日
・Where(どこで):工事場所、部位
・Who(誰が):請負業者、立会者
・What(何を):工事名、工事種目、分類
・Why(何のために):工事の目的、規格、表示マーク、寸法
・How(どのように):施工状況、施工方法
もちろん、このすべての情報を、写真を撮るだけで網羅するのは不可能でしょう。
そこで、登場するのが黒板や添尺です。写真を撮影するだけでは補えない情報は、添尺や必要事項を書いた黒板をいっしょに写すことで補います。
一つ注意しておきたいのは、添尺や黒板を入れて写真を撮る際、添尺の目盛りや黒板に記載した文字が読めなければ意味がないということです。
撮影した後は、撮影すべき対象物がきちんと入っているかといった基本事項とあわせて、添尺の目盛りや黒板に記載した文字が読めるかなども、併せて細かく確認しましょう。
2-4.全景の定点写真は、完成後をイメージして撮影位置を決めるべし
全景の定点写真のよくある失敗例は、“完成後の想定せずに施工前写真を撮ってしまった。その結果、施工前写真と同じアングルでは、完成後の全景が入り切らない”というものです。
あらかじめ黒板を設置する場所も想定しておきましょう。
全景の定点写真は、言わずもがな、完成後の想定をしてから施工前写真のアングルを決めることが重要です。特に、高い建物等の工事の場合は注意しましょう。
2-5.公共工事の提出用写真は、画像編集NG
公共工事の提出用写真には、画像編集を加えてことができません。たとえば、明るく補正する、必要のない箇所を切り取る(トリミング)といった簡単な編集もすべてNGです。
そのため、公共工事の提出用写真を撮影する場合には、撮影した写真をそのまま使用することを念頭に置いて、不要なものが入り込んでいないか、黒板に書いた情報に間違いはないかなどをよくよく確認して、注意して撮影をする必要があります。
※国土交通省の『デジタル写真管理情報基準』には、上記にてご紹介した「写真の信憑性を考慮し、写真編集は認めない。」といった内容をはじめ、その他、様々な規定が明記されています。詳しくは、国土交通省のHPのデジタル写真管理情報基準をご確認ください。
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3.工事写真の管理をグッと楽にする3つの方法
工事写真を撮影したら、次は、工事写真の管理(仕訳・整理等)となります。
撮った写真一つひとつの仕訳・整理をするのは、なかなか大変な作業。もしかすると、工事写真の担当者が最も大変に感じているのは、この工事写真の管理作業かもしれません。
そこでここでは、工事写真の管理をグッと楽にする方法を3つご紹介いたします。ぜひ、参考にしてみてください。
3-1.スマートフォンorタブレットで撮影する
業務効率を考えれば、実はデジタルカメラより、スマートフォンやタブレットがオススメです。
なぜならば、スマートフォンやタブレットを使えば、現場にいながらにして工事写真をメールで送信したり、オンラインストレージへ保存したりできるため、データ移行が簡単に済むためです。
“デジタルカメラからデータを抜き出し、PCへ保存する”という何でもない作業も、日々発生するとなると、塵も積もって業務負担となりがちです。また、会社に置いてあるPCに撮影写真を保存しなければならない場合は、工事写真のデータ移行だけのために会社へ戻る必要が生じていることもあるかもしれません。スマートフォンやタブレットを使用すれば、こういった負担は一気に解消できるはずです。
どうしてもデジタルカメラを使用したい場合は、インターネットに接続できるタイプのデジタルカメラを選ぶのが良いでしょう。
操作性や機能性、様々なサービス(オンラインストレージや専用アプリ等)との汎用性は、やはりスマートフォンやタブレットが上ではあるものの、従来のインターネットに接続のできないタイプのデジタルカメラよりは、業務効率化が図れるはずです。
3-2.オンラインストレージで撮影データを受け渡す
データ移行の効率化に有効なのが、DropboxやGoogle Driveなどの“オンラインストレージ”を活用する方法です。
オンラインストレージとは、“インターネット上にデータの保存ができるサービス”のこと。
このオンラインストレージを活用すれば、ネット環境下であれば、いつでも・どこでも撮影写真をインターネット上に保存できます。また、インターネット上に保存した撮影写真は、本人はもちろん、他メンバー(閲覧権限は別途設定できます)がいつでもパソコンにダウンロード可能となります。
オンラインストレージの魅力は、なんといってもデータ移行の手軽さにあります。メール等の場合、一度に送受信できるデータ量に制限があることもありますが、オンラインストレージであれば、現場で撮影した写真データを一気にインターネット上に保存できます。そのため、時間のない現場の合間に、ささっと撮影写真をオンラインストレージに入れることも、十分に可能です。
オンラインストレージは、自身の撮影機器からPCへのデータ移行の効率化にも、他メンバーへの撮影データ受け渡しの効率化にも、非常に有効です。
▼オンラインストレージについて詳しくは、こちらの記事も参照ください。
初めてならココ!オンラインストレージ 17 サービスを徹底比較
おすすめ 3 大オンラインストレージサービスを徹底比較!
中でもDropboxは、電波の弱い場所でも容量の大きい工事写真のアップロード・ダウンロードができることが強みです。
「建設現場によっては電波の弱い場所もあるため、オンラインストレージの導入は難しい」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、Dropboxなら電波の弱い場所でも十分に使用できます。
例えば、ファイルを更新した際、従来のクラウドストレージであれば再度ファイルそのものを送信するので負荷がかかりますが、Dropboxは更新した差分データのみを同期するので高速でファイルを送信できます。
その他にも差分同期、LAN同期、ストリーミング同期といったあらゆる場面を想定した3つの同期技術があり、このような技術を提供するクラウドストレージはDropboxだけです。
この同期技術によって、高速でファイルのやりとりができるということもわかっており、ダウンロードスピードが最大6倍、アップロードは7倍、同期編集スピードは11倍と大きな差が出ています。
現場と事務所を往復する建築関係の方など、複数箇所で作業がある方は特にDropboxが便利です。
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3-3.工事写真の専用アプリを活用する
専用アプリなら、工事写真にまつわる様々な業務を効率化できる可能性があります。
一口に専用アプリといっても、その機能は様々。撮影~写真整理までの一連の作業に対応したアプリや、工事台帳の作成機能がついたアプリなど、様々なアプリが販売されています。
機能や価格は各アプリによって異なるため、専用アプリを検討する場合、まずはいろいろなアプリをチェックしてみるのがオススメです。上手く活用すれば、写真撮影後の一連の管理業務負担が大きく削減できるかもしれません。
▼専用アプリについて詳しくは、こちらの記事も参照ください。
工事写真アプリ徹底比較!絶対に間違えないベストな料金や機能の選び方
4.まとめ
工事写真を撮影・管理には、一定の知識が必要となります。
今回お伝えした「工事写真の撮影~管理等の流れ」「工事写真の撮影に失敗しないために知っておきたいこと」「工事写真の管理を楽にする方法」等は、工事写真の基本として頭に入れておくとよいでしょう。
この記事が参考になれば幸いです。