データ移行ベストプラクティス

Dropbox へデータを移行する際のベストプラクティスをご紹介します。
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オンプレミスのファイルサーバーや NAS ストレージから Dropbox へ、データストレージ環境を移行するためには、今まで利用しているデータを Dropbox に安全かつ速やかに移行する必要がでてきます。
本稿では Dropbox へのデータ移行を計画する際の Tips をご紹介します。

移行方法の策定

Dropbox へデータを移行していただくために、まずはデータ移行の計画を立てる必要があります。
データ移行を行う際に初めに確認することは、移行元のデータを詳しく確認することです。
移行元のデータの総容量、ファイルの数、フォルダ構造や権限の割り当て状況について調査を行います

データボリュームを目安にしてデータ移行方法を計画します。調査したデータの規模に応じてどの移行方法を選択するかを決定します。
Dropbox へのデータ移行方法は大きく3つの方法があります

  • Web ブラウザを経由したファイルやフォルダの手動アップロード
  • Dropbox デスクトップアプリを利用したデータアップロード
  • 有償ツールを利用したデータアップロード

データボリュームに応じた移行方法の選定基準として、下記の表を参考にしてみてください。

Web ブラウザを経由したファイルやフォルダの手動アップロード

小規模のデータ移行向けの移行方法です。データサイズが 100GB程度でファイル数やファイルサイズが小さい場合は Dropbox の Web ブラウザへ直接ファイルやフォルダをアップロードしていただくことでデータを簡単に移行していただくことが可能です。

Dropbox デスクトップアプリを利用したデータアップロード

小規模から中規模までのデータボリュームのお客様が一番よく活用される手法が Dropbox デスクトップアプリを活用したデータ移行方法です。Dropbox デスクトップアプリは、無償のデータ同期ツールでクライアント PC にインストールをして利用します。クライアント PC にこのツールを導入しておけば、移行元のデータをクライアント PC にコピーするだけで、簡単に移行先の Dropbox にアップロードすることができます。

有償ツールを利用したデータ移行

データサイズが 1TB を超えるような大規模な環境でのデータ移行を計画していただく際は有償ツールをご利用いただくことをお勧めしています。有償ツールを利用すると、移行対象データの参照やデータ移行のスケジュール設定や移行時のログ、移行結果、移行中のステータスやパフォーマンスをデータ移行専用のユーザインターフェースで確認することができるようになります。

Web ブラウザ経由および Dropbox デスクトップアプリを利用した場合のファイル・フォルダのアップロードに関する注意点や大規模な環境をご利用いただいているお客様にDropboxを効率よく使っていただくためのガイドがあります。データ移行の計画に合わせて下記ヘルプページをご参照ください。
https://help.dropbox.com/ja-jp/plans/large-deployments

Dropboxデスクトップアプリと有償ツールの使い分け方

有償ツールを使う大きなメリットは移行中や移行前後のデータ状況を細かく確認することができ、データ移行作業が簡易になることです。反面、ツールのライセンス費用がかかります。
大規模環境ではデータを利用するメンバーも多く、データボリュームも多くなるため、効率よくデータ移行を行うためには有償ツールをご利用いただくことをお勧めします。
小規模、中規模環境であってもファイルの数やフォルダ構造の複雑さなど、移行作業が複雑化する可能性がある場合があります。この場合も有償ツールのご利用を検討いただき、データ移行の作業コストの削減を計画してください。
Dropbox デスクトップアプリを活用した移行方法は小規模から中規模のお客様まで幅広くご利用いただくことが可能です。Dropbox デスクトップアプリを活用した移行方法を詳しくご紹介します。

Dropboxデスクトップアプリを活用した移行方法

Dropbox デスクトップアプリを活用することでデータ移行をスムーズに行うことができます。下記ステップでデータ移行の環境をセットアップします。

  1. まずは移行用クライアント PC を準備します。

  2. 移行用クライアント PC に Dropbox デスクトップアプリを導入し、移行用クライアント PC の Dropbox デスクトップアプリで Dropbox との同期ができるように対象アカウントでログインします。

  3. 移行先となるフォルダをデスクトップアプリの選択型同期の対象フォルダとしてください。移行用クライアント PC で Dropbox の対象フォルダをエクスプローラー(Windowsの場合)または Finder(Mac OSの場合)から参照可能となります。

上記セットアップが完了した後、移行用クライアント PC からは Dropbox のフォルダをエクスプローラーまたは Finderで 参照することができますので、同様に移行用クライアント PC からネットワークドライブなどで参照可能としている移行元のファイルサーバーやストレージのデータをDropbox 同期対象フォルダにコピーしていただくと、Dropbox デスクトップアプリは対象フォルダ内のデータを自動的に同期します。

Dropbox デスクトップアプリを活用したデータ移行のメリットは、無償でデータ移行を行っていただけることに加えて、Dropbox デスクトップアプリの特徴であるデータ同期機能が挙げられます。一度同期処理が行われれば、移行元のファイルが更新されても、変更された差分のみを同期できるためです。

Dropbox デスクトップアプリを活用した移行時の注意点

Dropbox デスクトップアプリを活用したデータ移行を計画していただく際の注意点として、Dropbox デスクトップアプリは、クライアント PC からデータ同期を行う1回のデータボリュームについて、「同期するファイル数を30万ファイル以下にしていただく」という推奨値があります。

そのため、Dropbox デスクトップアプリを活用したデータ移行を計画する場合はクライアントごとの同期ファイル数を30万ファイル以下になるよう、移行用クライアント PC の数を計画する必要があります。特にファイル数も多くなってくる 300GB 以上のデータを移行することを計画されるお客様は移行用クライアント PC を複数台ご用意いただき、負荷分散をご計画ください。

逆に移行用クライアント PC の数を増やすことでデータ同期の並列処理数を増やすことが可能となります。並列処理数が増えればデータ移行にかかる時間も短縮することができます。

このように 30万 ファイル以上のデータボリュームのデータを移行する際は、移行用クライアントPCの数を増やす=複数台での Dropbox デスクトップアプリによる移行を計画していただき、小規模〜中規模のデータ移行を効率よく実施していただけるかと思います。

データ移行ではネットワークトラフィックが大量に発生します。特に Dropbox デスクトップアプリを複数台利用するケースでは、複数の移行用クライアント PC から Dropbox への同期処理が同時に実行されるため、大量のネットワークトラフィックによりお客様のネットワーク環境が枯渇してしまう可能性があります。移行作業の実施スケジュール策定の際にはネットワーク負荷も考慮していただければと思います。

まとめ

データ移行にかかる時間についてはファイルサイズやファイル数に大きく依存します。ファイルサイズやファイル数に加えて、移行に向けた準備の中で転送速度を測っていただき、想定されるデータ移行時間をあらかじめご確認いただくことをお勧めしています。

例えば、2TB のファイルを 400Mbit/sec で転送する場合、ネットワーク伝送効率が60%であれば、転送に約20時間かかる、という形で、ファイルサイズやファイル数とネットワークの転送速度を組み合わせて、データ移行時間の机上計算の結果を得ることができます。

注意点としては、総容量が同じ場合でもファイルタイプやファイルの数によって転送時間は変わってきますので、お客様の環境で計測していただく必要があるということです。

「データ移行時にネットワークが遅くなって処理が進まない」といったデータ移行プロセスの遅延などのデータ移行時のトラブルが起きないよう、転送するデータのボリュームやデータ移行時間の計測といった移行前検証や移行リハーサルを確実に行っていただき、データ移行に臨んでいただければと思います。