作家のセイジ・コーエン氏が1週間の中で働く場所を毎日変えて見ました。そして、どのようにことが分かったのかを共有します。楽しんでいただければ幸いです。
イノベーションは、私たちが作り出すもの。でも、それをどうやって作り出すかも重要です。どのような肩書きでも、計画からコンセプト立案、共同作業からプレゼンテーションまで、誰もがいくつもの役割を持ち、自分の仕事の成果物に貢献する活動を何件も抱えているものです。仕事内容に適した場所で働くと、やる気が出て創造力も増します。これは、その場の状況やさまざまな制約の両方から影響を受けるからです。ここでは、今週私が実際に試してみて感じたことをご紹介します。
歩きながら、話しながら:大きなアイデアを練る
ゼロから何かを生み出す最高の方法は、体を動かし、声を出すことだと思います。体を動かしているときは、デスクに座っているときよりも創造力が 60 % も高まることが、最近のスタンフォード大学によるウォーキングのメリットに関する研究から明らかになっています。そこで、今週は毎朝の犬の散歩の間に TEDx のスピーチを準備することにしました。
自分の決めたテーマについて、何が一番重要だと思うか私自身に問いかけました。そして残りの時間は、想像上の聴衆を相手に大きな声でスピーチしながらウォーキングをしました(イヤフォンを着けていたので、電話で話しているように見えたと思うので大丈夫です)。言葉を口に出すほど、主張はクリアになっていきました。押さえるべきポイントもこの時にひらめきました。一番のアイデアはボイス レコーダーに記録しました。散歩の合間に発想のヒントが浮かんできたら、すぐに入力してメールで送信。これまで、クライアント向けプレゼンテーションの作成、ライブでのスピーチ パフォーマンスの練り上げ、4 冊の書籍のコンセプト立案にこの戦略を活用してきました。
ホーム オフィス:指令塔になる
自宅のオフィスは計画と実行のための指令本部であり、大切な道具や技術はすべて手の届く場所に置いてあります。今週はその指令本部の模様替えをしました。自分のデスクを風水で仕事運がアップすると言われている「コマンド ポジション」に移動したのです。入り口のドアを背に壁を向いて座るのを止め、ドアに向かってデスクを置き、部屋全体を見渡せるようにしました。すぐに「隅っこに追いやられている」感覚が消え、「自分の運命をコントロールしている」という意識に変わる効果がありました。
これに加えて、プライベートな場所である利点を活かして、他にもいくつか実験をしてみました。大切なミーティングの前に、ランチ後のコーヒーの代わりにパワー ナップ(短い仮眠)をして、その後にパワー ポーズを取って気分を高めました。こうすることでエネルギーと自信が高まり、新しい見込み客との交渉を成功に導くことができました。
自宅の周囲:柔軟に
在宅勤務では、周りの環境を簡単に変えることができます。自宅のデスクトップ パソコンでマーケティング コンサルタントの仕事をするときは、それにふさわしい格好をしています。ビデオ会議のときに映る背景をきれいに飾り付けたり、いくつものドキュメントやプロジェクトを簡単に行き来できる大型スクリーンを使ったりしています。今週は、テクノロジー ホワイトペーパーのリサーチと要点の作成という仕事がありました。
文章や詩、エッセイを書くようなクリエイティブな仕事のときは、ヨガ パンツを着てノート パソコンを手にソファーに座り、足を投げ出します。大抵は夕方です。環境を少し変えてみると、それぞれの作業に特別感が生まれ、新鮮な気持ちで取り組めます。
現場でクライアントと同席する:内部関係者になる
MIT のリサーチャーも私も、場を共有してのやり取りがチームのパフォーマンスにとって最高のメリットとなることに同意しています。クライアントとはできる限り直接会うようにしているのもこれが理由です。今週は、私が今執筆している、ある会社の商品宣伝動画の脚本についてキックオフ ミーティングがあり、1 日現場で働きました。
クリエイティブ チームと一緒にデザイン スタジオのテーブルを囲んで話していると、クライアントの文化やブランドの中に入り込むことができます。クリエイティブ ブリーフでは到底得られない感覚です。商品のバリュー プロポジションやストーリー ラインについて議論していると、その会社の目標、企業姿勢、製品についてすぐに理解を深めることができました。新しいチームに私の考えや解決策を示すと、私を信頼してくれ、仕事を任せてくれました。彼らの製品の良い点をストーリーで表現する準備ができたところで、自分のオフィスに戻りました。
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カフェ:スリップストリームに乗る
カフェではよく、戦略的に行動します。誰も私のことを知らない場所で、耳障りでない程度のノイズを背景に、コンテンツ、コンセプト、キャンペーンの制作に没頭します。今週のカフェ時間では、自宅のオフィスで数日前にリサーチをしたテクノロジー ホワイトペーパーを完成させることに専念しました。ノート パソコン、参考資料、大きなマグに注がれたカフェラテのおかげで、短時間で要点から初稿に移ることができました。コワーキング スペース、公共交通機関、ホテルのロビー。このような場所も、適度な喧騒を求めたいときには手っ取り早く満足できる職場になります。
停車中の車の中:すきま時間を最大限に活用
移動時間は予測できないので、息子の迎えの時間より 15 分以上前に到着してしまうことがよくあります。この 15 分が私にとっては絶好の作業時間になるのです。助手席にノート パソコンを抱えて座ります。Wi-Fi もないので邪魔も入りません。夕方の、クリエイティブな仕事に最適だと言われている眠気によって少しだけぼんやりした頭で、執筆に集中します。今週集中したのは、新しいクライアントのための動画の脚本でした。
この戦略は、病院の待合室、息子のスポーツ教室、美容室の椅子に座ってパーマをかけている間などのすきま時間に活用しています。1 分も無駄にしないように、自分自身と競争するつもりでいたら、このようなすきま時間を使って 6 か月で本を半分書き上げたこともあります。
スイート スポットを探す
この 1 週間いろいろな場所で働いてみましたが、そこで得られた効果は、それぞれの場所に特有の制約のおかげだったことがわかりました。こうした制約が創造力の出発点になることを発見したのは私だけではありません。コンサートで、図書館で、あるいは親友の自宅の玄関ポーチで画期的なアイデアが浮かんだり、計画を実行に移したりすることもあるかもしれません。自分自身にヒントを与え、創造力を発揮する環境を探し、臆することなく試してみましょう。最初はそう思えなくても、意外なメリットが隠れている場合があることをお忘れなく。仕事と環境をシンクロさせると、大きな成果を生むことができます。
セイジ・コーエン氏は「Fierce on the Page」、「The Productive Writer」、「Writing the Life Poetic」の著者であり、「Heart」、「World」などの詩集も出版しています。1997 年に Sage Cohen Global を設立して以来、人々と企業の対話のあり方を変える、コミュニケーション、教育、エンパワーメントに関するソリューションを開発してきました。