イラスト:ファニー・ルオー
通知機能は、優先して取り組むべき内容を知らせてくれるものであれば、確かに効果的だと言えます。しかし、それによって不必要な中断が発生するようでは、むしろ逆効果です。仕事や生活の中で、ことあるごとにバイブレーションや通知音が鳴り、バッジが表示されるようであれば、通知機能を見直してみるとよいでしょう。今回は、そのためのヒントをいくつかご紹介します。
1. スマートフォンから物理的な距離を置く
通知機能は、予測不能という点でスロットマシンと同様の中毒性があります。だからこそ、貴重な時間や仕事、人間関係を犠牲にしてまで、スマートフォンをチェックしたくなるのです。このような場合は、どうしたらよいでしょうか?運転中は、スマートフォンをトランクに入れてしまう。寝るときには、スマートフォンをキッチンに置いておく。ロマンチックなディナーのときには、スマートフォンを家において出かける。こうした方法を試してみてください。
2. 緊急、重要、無関係の 3 つに分ける
通知が表示されていると、何やらせわしない気持ちになります。実際に、重要な通知や緊急の通知もあります。締め切り前にチームからのフィードバックを確認しなければならない緊急の通知もあれば、11 時 30 分ぴったりに相手に電話することを忘れないようにという重要な通知もあるでしょう。しかし、スポーツの試合速報のような通知は、それほど重要とは言えないでしょう。通知の重要度や緊急度を判断する上では、有名なアイゼンハウアー マトリックスを使ってみることをおすすめします。
3. 優先事項に合わせて通知をカスタマイズする
優先事項を洗い出すと、適切な通知音や通知の種類をアプリ上で設定できるようになります。たとえば、緊急の通知には通知音、バッジ、バイブレーションなどを使うようにします。重要な通知については音を出さず、視覚的なもので注意を促すようにします。重要でない通知はオフにしましょう。趣味や娯楽に関する通知は、仕事が終わるまで一時停止しておきましょう。
4. 目的と重要度に合わせてアプリをまとめる
普段なら重要なことでも、タイミングによってはあまり重要ではなくなるかもしれません。不要な通知から必要なものを選び取るため、アプリをテーマごとに分類してみてください。たとえば、仕事、通勤、家族、デート、エンターテイメント、旅行、健康などのテーマで分けるとよいでしょう。目的別に分ける方法もあります。たとえば、ダイエット、今月の営業目標、ベストセラーを書き上げる、といった具合です。適切に分類できれば、グループごとに通知設定を切り替えることで、そのときにすべきことや目標に関するもの以外の通知をなくすことができます。
5. 通知をオフにする時間帯を作る
難しい仕事に集中して取り組む時間を確保するには、通知をオフにする時間帯を作るのが効果的です。パソコンで Facebook や Instagram を使っている場合はいったん閉じて、SMS、メール、コラボレーション ツール、カレンダーの更新に設定していた通知音もすべてオフにします。スマートフォンを、おやすみモードや機内モードに設定します。こうして通知から解放された環境なら、重要な仕事が終わるまで集中して打ち込むことができます。
6. 仕事以外でメールをチェックしない
通知を管理する上で、大量のメールにどう対処するかという問題は、悩みのタネになりがちです。調査結果からも明らかなように、この問題は実害も生み出しています。24 時間いつでも対応しなければならないというプレッシャーを感じるだけでなく、仕事以外の状況や時間帯では対応できない情報を目にすることになり、すぐに対応できないというストレスも生まれてしまいます。準備の整っている業務時間内だけに、メールを確認する(つまりメール通知を有効にする)ようにしましょう。
7. 「通知休暇」を取る
丸 1 日あるいは丸 1 週間、通知を完全にオフにしたらどうなるか試してみましょう。「通知休暇」を終えた後、次の点について考えてみてください。通知をオンにしていれば防げていた、重大な見落としはありましたか?友達の近況や株価の様子が気になって仕方ありませんでしたか?それとも、リラックスした時間を過ごせたでしょうか?まったく気にとめなかったものはありましたか?通知がなくても忘れなかったものは何ですか?自分自身について発見したことを踏まえて、通知設定を見直しましょう。
8. 仕事とプライベートを明確に分ける
常にネットワークにつながっている現代では、どうしても公私混同になりがちです。これは、意識していても防ぐことが難しい問題です。仕事とプライベートを分けるための確固たる方法がなければ、仕事でも私生活でも不満が溜まることになるでしょう。逆に、家庭と仕事を切り分け、それぞれにしっかりと向き合うことができれば、仕事の生産性も上がり、プライベートでも有意義な時間を過ごすことができ、楽しさも増すでしょう。仕事と遊びの間に、明確な境界線を引くようにしてください。自主規制だけに頼らず、通知機能を活用しましょう。
9. あらかじめ周囲に自分の状況を伝えておく
自分自身の境界線を決めたら、周囲の人たちにも伝えてください。職場では状況に応じてメールの自動応答機能を使い、「メールは営業日の午前 10 時と午後 3 時に確認します。返信までしばらくお待ちください」といった返信を出す、という手もあります。また、24 時間いつでも対応したくなる気持ちを抑えるために、「夕方 7 時以降はデバイスは使わない」といった家庭でのルールを、同僚に伝えておくのもよいでしょう。
10. 通知の管理を習慣化する
通知の管理は、1 回済ませれば終わりというものではなく、継続的に行う必要があります。仕事で使うツールやアプリ、個人としての欲求、仕事で達成すべき目標などは、常に変化します。今回紹介したヒントを元に、通知機能を少なくとも半年に 1 回は見直して、あなたの目標に合わせて調整してください。
さいごに
プライベートと仕事の優先事項がはっきりしていれば、その目標を達成するために通知機能が大いに役立つはずです。これは結果的に、あなた自身だけでなく、同僚、クライアント、家族、友人も満足することになるでしょうし、冷静な判断力を生み出すことにもなるでしょう。
セイジ・コーエン氏は「Fierce on the Page」、「The Productive Writer」、「Writing the Life Poetic」の著者であり、「Heart」、「World」などの詩集も出版しています。1997 年に設立された Sage Cohen Global でチーフ ストーリーテリング オフィサーを務めながら、人々と企業の対話のあり方を変える、コミュニケーション、教育、エンパワーメントに関するソリューションを開発しています。