Dropbox の使用中に問題が起きたら、まずは、Dropbox の熱心なユーザーが集まる Dropbox コミュニティを活用しましょう。
以前は「フォーラム」と呼ばれていたこのコミュニティでは、製品関連の質問への回答をすぐに見つけることができます。
ここで得られるのは、ユーザー同士の助け合いやカスタマー サポートだけではありません。実は、コミュニティで交わされる会話には、Dropbox のデイリー ユーザーが何に関心を持っているかがわかるヒントが詰まっています。
コミュニティの良い点は、誰もが参加者全員のコメントを読めることです。つながりが生まれやすく、機能に関する判断にすぐ影響を及ぼすことができます。ロードマップの決定者とユーザーが直接つながれる場なのです。
– Dropbox のコミュニティ/ソーシャル ケア責任者 ローレライン・ボイン
実際、ここで話し合われた問題が製品開発に直接影響することもあります。
今回は、こうしたストーリーに注目する新シリーズのパート 1 です。同期完了までの時間を表示する機能をプログレス バーに変更したのちユーザーから寄せられたフィードバックに対し、カスタマー エクスペリエンス チームがどのように対応したかを詳しく紹介します。
この問題はどのように持ち上がり、プロダクト チームにどのようにエスカレーションされ、エンジニアはどのように対応して解決したのでしょうか。
Dropbox のエマ・フェイ、ローレライン・ボイン、クララ・ウー、ケイティ・グロアークに話を聞きました。
多くの Dropbox コミュニティのスレッド同様、今回のトピックも、ある質問からはじまりました。
ウィンドウの下にある Dropbox メニューバー アプリに同期時間が表示されなくなりました。進捗バーは表示されるようですが、ここにマウスオーバーしても同期の残り時間が表示されません。いつもこの機能を使ってクライアントにファイルが見えるようになる目安をお知らせしています。マウスオーバーしても同期の一時停止オプションしか出てきません。この機能は削除されたのでしょうか、それとも最新版でのバグでしょうか?
Dropbox のコミュニティ マネージャー、エマ・フェイは次のように言います。
見慣れない動作を確認すると、Dropbox コミュニティで他のユーザーにも同じ症状が起きているか尋ねるのは、よくあることです。今回の件も起点は同じです。『動作がいつもと違うのですが、これはバグですか?』とか、『機能が変わったのですか?』といった質問から始まりました。その後、モデレーター チームから私のところに問題がエスカレーションされました。
プロダクト マネージャーのクララ・ウーは、あるスーパー ユーザーから、バグなのか、機能が削除されたのかを尋ねられたときのことを語ってくれました。
モデレーターのジェイにもよくわかりませんでした。そこで調べたところ、同期完了までの残り時間を示す機能がプログレス バーに変更されていたことがわかりました。プロダクト チーム側は、残り時間の予測機能はオフにされることが多いため、プログレス バーの方が正確で良いと考えたのです。この機能の削除は、いつでも元に戻せることから即座に決定されましたが、ベータ版として展開すると多くのユーザーから苦情が寄せられました。
この決定は、プログレス バーの方がスマートで同期の進み具合も一目でわかるという発想に基づくものでしたが、ユーザーが本当に必要としていたのは、同期が完了するまであと何分かがわかる機能だったのです。
クララはソフトウェア エンジニアのニキル・マラセイから、投稿に回答してほしいと依頼を受けました。そのときの様子を次のように振り返ります。
最初は、『残り時間の予測機能は、しばらく使用を見合わせることにしました。同期の進捗状況は他の機能でもご確認いただけます』と回答しました。すると、Dropbox コミュニティのコメントに苦情が殺到しました。
クララは、残り時間の予測機能ひとつが、多くのお客様の日常にどれほど役立っていたかがわかったことが、自分にとって一番の収穫だったと語ります。
残り時間の予測機能には、さまざまな使い道がありました。私もチームも、時間の表示がユーザーにとって欠かせない機能だということに、ようやく気付きました。この機能があれば、たとえば、座ったまま待つべきか、しばらく席を外しても大丈夫なのかどうかがわかります。プログレス バーだけでは、残り半分が数分なのか数秒なのか、数十分なのか数十秒なのかがわかりません。
残り時間の予測機能の削除は、取り消し可能な即時決定であったことから、機能の復活も即時決定しました。
私はチームにメールして、今回の削除の判断は誤りだったと伝えました。
お客様から苦情が来ているというのがその理由です。そして次の日には機能を復活させました。
クララのチームは現在、問題の優先順位付けに Dropbox コミュニティを役立てています。
あれ以来、1 週間おきにスレッドをチェックしては、何か騒ぎになっていることはないかどうかを確認し、最新状況を把握するよう心掛けています。何かと不透明なことが多い世の中なので、Dropbox が製品に関して判断を下すときは、お客様に自分にも発言権があると感じてもらうことが重要です。
コミュニティを利用しているユーザーは、Dropbox に興味があって熱心に関わってくれています。プロダクトへの愛着からコミュニティが生み出され、そこで有益な回答を得ようとしているのです。だからこそ私たちも、コミュニティで透明性を保ち、責任を持って決定を下し、それをユーザーに説明していきたいと考えています。
ー こう語るのはエマです
エマは次のようにも語っています。
たとえ、『Dropbox で決定済み』と伝えるにしても、形だけの回答は避け、正直に包み隠さず話せば、ユーザーは透明性を高く評価してくれるでしょう。今回の件で、私はプロダクト マネージャーのエドガー・アギロンに協力を仰いだのですが、彼はこのことをとてもよく理解していました。エドガーは私の相談をプロダクト チームに持ちかけ、コミュニティとユーザーの側に立って、機能を削除したことをそのまま正直に認めて、次のように回答するというすばらしい結論を引き出しました。『この度、残り時間の予測機能を削除しましたが、この件で皆様からたくさんのコメントをいただきました。Dropbox ではお客様のご意見を重く受け止め、社内で広く検討した結果、今回の変更を取り消すことにしました。お客様の熱い思いに深く感謝いたします。』そして、実際このとおりになったのです。
コミュニティは実に貴重な情報源です。製品に関する決定に対して、本気で考えてくれた熱い反応が得られます。それを社内の関係者にフィードバックして改善できることがコミュニティの価値です。今後は、製品についての決定に対する影響力を測る際に、コミュニティをより広く活用したいと思っています。現在、ユーザーの考えを明確かつ正確にすくいあげられるよう、コミュニティの声に耳を傾けるためのプロセスを開発中です。
Dropbox コミュニティ シリーズのパート 2 では、製品に関する専門知識で、コミュニティ メンバーのみならず Dropbox スタッフまでもが日常的に頼るスーパー ユーザーの存在にスポットライトを当てます。Dropbox の使い方に関して不明な点がある場合、新しい使い方を知りたい場合は、Dropbox コミュニティにご参加ください。