iPhone 内にあるデータのバックアップは必ずやっておくべきです。いつ何時 iPhone が故障するか予測できませんし、誤ってデータを削除してしまうこともなくはないでしょう。
数年前と違って今やバックアップすべきは電話帳のデータに限りません。普段よく使う LINE や有料でダウンロードしたゲームなどの iPhone アプリが急に消えてしまった……、と考えるとゾッとしませんか?
本記事では、すばやく手軽に iPhone のバックアップをとる方法と、バックアップデータの復元方法を紹介します。
具体的には、以下の 3 つのツールを利用したバックアップ & 復元方法に加えて、その他のやり方としてクラウドストレージや各キャリアのバックアップサービスを紹介。あなたの生活環境に適したバックアップ方法を探してみてください。
いずれのやり方も画像付きで詳しく解説しています。この記事を読みながら、いま、早速バックアップしてみましょう!
画像: Gil C / Shutterstock.com
目次
1. iPhone のデータを iCloud にバックアップ & 復元する方法
2. iPhone のデータを iTunes でバックアップ & 復元する方法
3. iPhone のデータを JS バックアップアプリで保存する & 復元する方法
4. バックアップ & 復元できないときの対処法
5. Dropbox などのクラウドストレージの活用
6. まとめ
1. iPhone のデータを iCloud にバックアップ & 復元する方法
iCloud での方法は iPhone 上の作業だけで完了するので、手間はかかりません。iCloudでのバックアップは他社アプリやサービスではバックアップできない iPhone アプリを保存できる点が大きなメリットです。しかし、iCloud は無料で使用できる容量が 5 GB までなので、すべてのデータを保存するとなると、無料プランではちょっと物足りなさを感じるかもしれません。
<バックアップできるデータ>
■ 音楽や映画、テレビ番組、アプリケーション、ブックの購入履歴
■ 写真とビデオのデータ
■ デバイスの設定
■ iPhone アプリ
■ ホーム画面と iPhone アプリの配置
■ iMessage 、SMS 、および MMS メッセージ(バックアップ中に使用した SIM カードが必要)
■ 着信音
■ Visual Voicemail のパスワード (バックアップ中に使用した SIM カードが必要)
■ バックアップのため iCloud を開いていた時の iPhone の状態
■ HomeKit 構成データ
<用意・確認するもの>
■ 自分のiPhoneが iOS 5 以降になっていること(iCloud の必須使用環境)
■ Apple ID(作成・確認はこちらから)
■ Wi-Fi 環境
<こんな人におすすめ>
■ とりあえず連絡先などの大切なデータだけでもバックアップをとりたい
■ iPhone だけで完結させたい(パソコンを持っていない)
■ バックアップ用のアプリをダウンロードするのが面倒
1-1. バックアップ手順
1.「設定」の中から「iCloud」を選び、iCloud にログインします。また、バックアップには Wi-Fi 接続が必須となりますので、事前に接続しておいてください。
2. Apple ID とパスワードを入力し、iCloud にログインしたら、項目の中の「バックアップ」を押します。
3.「iCloud バックアップ」のツマミを右に移動させ、「今すぐバックアップを作成」をタップすれば、バックアップはスタートします。
1-2. データ復元手順
iCloud のバックアップデータを復元できるのは、
- 「設定」からすべてのデータをリセットしたとき
- 新しい iPhone を購入し、最初の設定をするとき
です。誤って消してしまった連絡先や写真のデータを復元する、という簡単な作業を行いたい場合でも、すべての iPhone アプリをダウンロードし直すなど、30 分以上時間がかかるので、サクッとデータを復元したい場合は他の方法を使用した方がいいでしょう。
ここでは「設定」からすべてのデータをリセットする方法で紹介します(途中から新しい iPhone 購入時の最初の設定画面も出てきます)。
1.「設定」の中から「一般」を選び、一番下の方にある「リセット」を押してください。
2.「すべてのコンテンツと設定を消去」をタップします。
3. パスコードを入力したら、データの削除に関して同意が求められるので、すべて同意すると、データの削除が行われ、再起動します。
4.「iPhone 購入時」の画面が出てきたら、復元の設定を始めます。スライドして次に進んでください。
5.「言語の設定」や「国または地域を選択」が完了したら、Wi-Fi の接続をします。
6.「iPhone を設定」の画面では、「iCloud バックアップから復元」を選びます。
7. Apple ID とパスワードを入力し、iCloud にサインインすると、「いつのバックアップデータを復元するか」が選べるので、復元したいときのバックアップデータを選択。そのまま進んでいけば、データの復元が行われます。
2. iPhone のデータを iTunes でバックアップ & 復元する方法
iTunes でのバックアップが他の方法と大きく異なるのは、パソコンにデータを保存することです。データがパソコン上に保存されるので、パソコンの容量が足りるなら、50 GB だろうが、100 GB だろうが、iPhone のデータほぼすべてをバックアップできます。パソコンの不具合でバックアップデータが消失してしまっては、元も子もないので、バックアップデータの管理はしっかり行ってください。
<バックアップできるデータ>
iTunes ではiCloud で保存できるiPhone アプリや写真、動画などのデータに加えて、
■ ネットワーク設定(保存していた Wi-Fi パスワードなど)
■ アプリの設定(「通知」など)
■ 文字変換候補
といった iPhone に保存されている細かいデータ・設定までバックアップできます。iCloud と iTunes のバックアップの違いの詳細については、こちらの Apple サポートページをご覧ください。
<用意・確認するもの>
■ iTunes(ダウンロードはこちら)
■ iPhone 購入時に付属されていた USB ケーブル
<こんな人におすすめ>
■ とにかく iPhone にあるすべての写真や動画、アプリなどのデータをバックアップしたい
■ 再設定が面倒な Wi-Fi などのネットワーク設定なども保存しておきたい
2-1. バックアップ手順
1. まず左上のメニューアイコンから「設定」をクリックしてください。
2.「iPod、iPhone、および iPad を自動的に同期しない」にチェックを入れます。ここにチェックを入れておかないと、iPhone をパソコンに繋いだ際、自動的に iTunes へデータの保存が始まり、データが二重に保存されることや、最悪の場合データが消えてしまうこともありますので、注意してください。
3. iPhone を付属の USB ケーブルでパソコンに繋ぎます。iTunes の画面左上の方に iPhone のアイコンがあるので、クリックしてください。
※iTunes に iPhone が認識されない場合は、下記の Apple サポートページをご覧ください。
⇒ iTunes で iPhone 、iPad 、または iPod が認識されない場合
4.「バックアップ」欄の中にある「今すぐバックアップ」をクリックすれば、データの保存が始まります。「最新のバックアップ」欄にバックアップ日付が表示されれば、作業は完了です。
2-2. データ復元手順
「2-1. バックアップ手順」で説明した手順の1.~3. を実行し、「バックアップを復元」をクリックしてください。
2. バックアップ日時を確認し、「復元」を押すと、データの復元が始まります。iPhone の方でも再起動が行われ、作業が進行しますので、USB ケーブルを抜いたりしないようにしてください。iCloud のデータを復元するときほど、時間がかかりませんでした。
3. iPhone のデータを JS バックアップアプリで保存する & 復元する方法
iPhoneのバックアップを「JS バックアップ」というアプリを使って行う方法を紹介します。JS バックアップアプリは 400 万以上ダウンロードされている有名なアプリ。docomo とも連携してサービスを提供しており、docomo では iPhone のバックアップ方法のひとつとして紹介されています。
iTunes のようにパソコン上にバックアップデータを残す方法もありますが、今回紹介するのは、iPhone だけで完結できる方法を紹介します。パソコンを使わずクラウド上(本記事では Dropbox)に保存する方法なので、iCloud 同様手間はかかりません。
<バックアップできるデータ>
■ 連絡先
■ カレンダー
■ 写真
■ 動画
<用意・確認するもの>
■ JSバックアップアプリ
■ Wi-Fi環境
■ Dropbox か Google Drive のアカウント
※データのバックアップ先として使います。
※Dropbox のアカウントを持っていない方はこちらのページに必要事項を入力し、アカウントを作成してください。最大約 20 GB まで無料で使える Dropbox は、バックアップ用としてアカウントを取得しても損はないでしょう。
【参考】Dropbox の容量と容量を 10 倍以上に増やすとっておきの裏技 10 選
<こんな人におすすめ>
■ バックアップするデータは連絡先程度で十分
■ iCloud 以外でも iPhone だけで完結できるバックアップ先がほしい
3-1. バックアップ手順
1. まず App store から「JS バックアップ」のアプリをインストールします。
2. バックアップ作業ではデータ通信量を大きく使う可能性もあるので、事前に Wi-Fi 接続しておくことをおススメします。アプリを開くと、「連絡先」や「写真」などからアクセスを求められるので、すべて「許可」を押し、進んでください。アプリのメインメニューから「バックアップ」を選びます。
3. バックアップの設定をします。「バックアップデータ」では「連絡先」や「カレンダー」など、どのデータを保存するか選びます。「復元用パスワード」でパスワードを設定すれば、データを復元の際にパスワードが必要となるので、バックアップデータの安全性が増します。最後に一番下のバックアップ先では「Dropbox」を選んでください。
4. バックアップ先の設定では Dropbox のアカウントのメールアドレスとパスワードを入力し、アプリと Dropbox の連携をします。設定が完了したら、スタートを押してバックアップを始めます。
5. バックアップが完了したのち、「自動でバックアップする」を押せば、定期的にバックアップがされるようになります。
3-2. データ復元手順
- メインメニューから「復元」を押すと、下記設定画面に移行します。バックアップ先はさきほど使用した Dropbox が自動的に入力されるので、復元ファイルを押してください。
- いつ保存したバックアップデータを復元するのか、選びます。復元するファイルが決まれば、あとは「スタート」を押して完了です。
4. バックアップ & 復元できないときの対処法
データのバックアップや復元ができないときのよくあるトラブルとその対処法も紹介します。困ったときは下記を参照してください。
4-1. iCloud の場合
■ iCloud の空きストレージが足りない
iCloud の空き容量が足りないため、「ストレージ不足」というメッセージが表示された場合、iCloud のストレージ量を増やす(有料)か、iCloud にバックアップする画像や動画、アプリのデータを減らしてください。iCloudのバックアップデータの管理は「設定」⇒「iCloud」⇒「容量」⇒「ストレージを管理」から操作します。
■「バックアップを作成するには Wi-Fi 接続が必要」というメッセージの表示
iCloud へのバックアップには Wi-Fi 接続をする必要があります。「iCloud バックアップ」をオンにしている場合、自動的にバックアップをするような設定となっているため、このメッセージが表示されてしまう可能性があります。ちなみに自動バックアップは下記条件を満たしているときに、実行されます。
- iPhone デバイスが充電器に接続されている
- iPhone デバイスが Wi-Fi 接続されている
- iPhone デバイスの画面がロックされている
■「バックアップを完了できない」というメッセージの表示
バックアップを完了できない、というメッセージが表示された場合、下記を確認してください。
- Wi-Fi 接続がされているかどうか
- iCloud の空き容量が足りているか
■ iCloud のバックアップデータが削除できない
iCloud のバックアップデータを「設定」⇒「一般」⇒「iCloud」⇒「容量」⇒「ストレージを管理」⇒「該当バックアップデータ」⇒一番下にある「バックアップを削除」の操作で、削除できないときは下記方法を実行してみましょう。
- 「iCloud のバックアップ」を一度オフにして、バックアップデータの削除を行う
- iPhone を再起動してみる
- iOS を最新のバージョンにアップデートする
■「復元未完了」というメッセージの表示
「復元未完了」はある iPhone アプリを復元できなかった可能性を指します。そのアプリが App Store から削除されてしまった場合などです。もしパソコンで iTunes にアプリを保存していた場合は、同期することで復元することはできます。
■ その他のトラブルに関して
その他のトラブルでうまくバックアップやデータの復元ができない場合は、下記の Apple サポートページもご覧ください。
⇒ iCloud:iCloud バックアップから復元したときの警告メッセージについて
4-2. iTunes の場合
■ バックアップがうまくできない
iTunes でバックアップがうまくいかないときは、まず下記方法を試してみましょう。
- パソコンや iPhone を再起動する
- その他の USB デバイスの接続を外す
- パソコンのセキュリティソフトを一時的に止めてみる
- 別のコンピュータでバックアップを試す
- パソコンの空き領域を増やす
■「バックアップが破損している」というメッセージの表示
バックアップデータが破損している場合は、そのバックアップデータは復元できません。その他に iTunes にバックアップしたデータがあれば、そちらでデータを復元するといいでしょう。
■その他のトラブルに関して
上記トラブル以外では「iTunes バックアップからの復元についてお困りの場合」をご覧いただく、もしくは Apple のサポートセンターに問い合わせてみてください。
4-3. JS バックアップアプリの場合
■ 写真や動画のバックアップ & 復元ができない
JS バックアップのアプリを最新のバージョンにアップデートしてみてください。Wi-Fi に接続しているかも確認し、再度バックアップやデータの復元にトライするといいでしょう。
■ Dropbox や Apple ID のパスワードを忘れた
Dropbox の場合はこちらのページで、Apple ID の場合はこちらのページにて、登録したメールアドレスを入力して、パスワードを確認してください。
■「バックアップファイルの一覧取得に失敗しました、時間をあけて最新ファイル取得ボタンをタップして下さい」というエラーが出る
Dropbox にバックアップデータがあるかをまずは確認してください。データがあるときは、「JS バックアップアプリ」を再起動し、あらためて「復元」を試してみてください。それでもうまくいかないようなら、アプリを一度消去し、再度インストールを行い、データの復元を行ってください。
■ その他のトラブルに関して
上記トラブル以外で、解決できないことがありましたら、メーカーオフィシャルサイトの一番下にある問い合わせ用のメールアドレスよりサポートセンターに問い合わせてみましょう。
5. iCloudや iTunes の + α でクラウドストレージを活用
Dropbox などのクラウドストレージも普段から活用することをおススメします。iCloud や iTunes をメインのバックアップツールとして使い、サブとしてクラウドストレージを使うのもいいですね。
iCloud の無料プランでは満足できるほどバックアップをとれませんし、かといって iTunes にすべてのデータを保存するには都度時間をとられ、パソコンの空き容量の確保も考えるとなると、煩わしさを感じるでしょう。
iCloud や iTunes には、この 2 つにしか保存できないアプリなどのデータをバックアップし、動画や写真はクラウドストレージに保存、という使い分けで、効率性も利便性も UP します。
クラウドストレージは写真や動画に限らずWord や Excel などのドキュメントファイルも場所・デバイス問わず保存できるので、バックアップに限らず日々の生活でも役立つシーンはたくさんあります。
例えば Dropbox では仕事で使う企画書を仕事場だけではなく、自宅のパソコンからも簡単にファイルを開き、作業することが可能で、通勤中や移動中はスマホでサクッとファイルを確認できるため、日々の仕事効率を上げることもできます。また、プライベートでは友人との思い出の写真や動画など大容量のファイルでも関単にシェアできます。
下記ページも参考にしながら、ぜひ利用してみてください。
⇒ おすすめ 3 大オンラインストレージサービスを徹底比較!
⇒ Dropbox を iPhone で使いこなすために知っておきたい10 のこと
6. まとめ
ここまで iPhone のデータをバックアップする方法を紹介してきました。iPhone を不意に失くしたり、損傷したりすることは、自分にはないとタカをくくらず、早めにバックアップをとっておくことに越したことはないでしょう。
筆者の経験ですが、大切なデータを紛失した時のショックは財布をなくしたときと同等かそれ以上です。お金はまた稼げばいいですし、カード類は再発行すればいいですが、大切な思い出の写真や動画はバックアップがないと二度と戻ってきません。
また、バックアップ先は 1 つで安心、というわけでもないので、クラウドストレージも活用しながら、複数の保存先でバックアップをとっておくと、なお安心ですね。バックアップデータを保存する先は、もちろん信頼あるサービス会社、サーバーを選んでおくほうが万全です。