人脈を広げていけばもっとキャリアアップできるかもしれない、こういうときに頼れる人脈があればとお感じではありませんか?そもそも人脈ってなに?という疑問をお感じの方もいるのではないでしょうか。
人脈とは人間関係が生み出す価値で、そこから生まれるメリットはとても大きいと言われているものの、どんなメリットがあるのか、そのメリットを享受するにはどうすればよいのかが曖昧な一面があります。
この記事では、そもそも人脈とは何かという概要と基本的な知識、段階別の人脈形成術、そしてぜひとも活用したいユニークなツールをご紹介していますので、「人脈が欲しい」と少しでもお感じの方はぜひご一読ください。
目次
1. 人脈というかけがえのない資産
2. レベル別 人脈づくりで実践したい 9 つの方法
3. 人脈作りを支援してくれるツール 3 選
4. まとめ
1. 人脈というかけがえのない資産
1-1 人脈とは
人脈という言葉にある「脈」には、見込みや希望という意味があります。意中の異性と仲良くなれるチャンスがあることを「脈がある」ということもありますが、ここにも縁があるというニュアンスが含まれています。
他にも金脈や鉱脈という言葉にも使われている「脈」は、そこに金銭的な見込みや希望、期待している鉱物資源があるかもしれないなどの好ましい見込みが含まれています。
「人脈は金脈である」という言葉はよく耳にしますが、思想家の中村天風さんは「人物の評価は、その人脈によって決まる」と自身の著書で述べています。これには、どんな人たちとお付き合いがあるのかというメンバーの質でその人を評価できるという意味と、持っている人脈が優秀だと大きな仕事を任せられる(=その人の評価が高い)という 2 つの意味が含まれていると思います。いずれにしても、人脈が豊かな人がより高い評価を受け、ビジネスパーソンとして出世しやすいことは間違いないでしょう。
1-2. 人脈がもたらすもの
1-2-1. ビジネスチャンスが広がる
人脈が広い人には、さまざまな人から情報やチャンスが舞い込んできます。もちろんその中のすべてが秀逸なものではなく玉石混交かもしれませんが、それでも可能性の幅や選択肢が広くなることは有意義です。
また、目の前にあるチャンスに対しても気づきを得られやすく、ビジネスチャンスを逃すことなく自分のものにできることも、大きなプラス要因です。
1-2-2. 逆境に強くなる
人が生きていく上で、順風満帆な時ばかりではありません。むしろ逆境と呼べるときのほうが多いかも知れません。そんなときに頼りになるのが信頼できる友人であり、そんな友人を含む人脈です。
自分にとっては困難だと感じることであっても、その道の専門家にとってはたやすいと感じることも多々あります。人脈が豊富で多彩な人にとって、こうした専門家が強い味方となり、逆境への強さを身につけることができます。
逆に考えると、そんなときに手を差し伸べてくれる人が本当の意味での友人であり、人脈と呼べる人たちです。
1-2-3. 人脈を持っていること自体がキャリアアップになる
人脈に関して昔から言われている言葉に、「何を知っているかだけでなく、誰を知っているかも重要である」というものがあります。これは言い得て妙で、人脈が持つ魅力やメリットが表現されています。
その人自身が知らないことやできないことであっても、それを知っていてできる人が周りにいれば、それも当人のスキルと同等であると解釈できるという意味です。
自分にできることを補ってくれる人、逆に自分にできることで人を補える人というのは、そのこと自体がスキルとなってキャリアアップに資するでしょう。
1-3. 日本と海外で異なる人脈の考え方
人脈が重視されるのは日本国内に限ったことではなく、海外のビジネスシーンにおいても同じです。ただし、そこには地域によって考え方が少々異なるようです。
欧米での人脈とは相互に応援し合う互助的な人間関係で、社会貢献という共通の目的を共有できることが前提となります。これはノーブリス・オーブリージという思想によるもので、成功を果たした人は社会貢献をする義務があるという考え方が根底にあります。
日本や中国など東洋的な人脈とは人間的な信頼関係によって成り立っているもので、仕事面だけでなく生い立ちや人間的な価値観などを共有することでビジネス面でもパートナーになっていくというものです。初対面の人であっても同じ大学出身というだけで少し親密さを感じられるのも、生い立ちによる安心感が関係していると思われます。こうした要素も、日本的な人脈の考え方と言えます。
1-4. 社外だけでなく社内の人脈にも注力を
人脈というと社外でさまざまな業種の人たちと関係を構築していくというイメージを持つ方は多いと思いますが、社内にも人脈は存在します。企業の規模が大きくなればなるほど社員数も多くなるので、社内での人脈形成がビジネス面で持つ意味も大きくなるでしょう。
それと同時に、社内で人脈を構築できない人が社外だからという理由だけで人脈を構築できるとは考えにくいという考え方も一理あります。
また、今は社内にいる人であっても、ひとたび退職すれば社外の人となります。このように人脈の形成には社内や社外という線を引く必要はなく、フラットな目線で人間関係と向き合っていくのが人脈形成のセオリーです。
1-5. 人脈は数よりも質である
外食チェーンのワタミ創業者で政治家でもある渡邉美樹氏は実業家という目線で人脈について「無理な人脈づくりは意味がない。まず自分自身を磨くことが大切。相手にメリットを与えることができなければ、相手から何も得ることはできない。」と自身の著書で述べています。
ここで指摘しているのは、人脈の質です。名刺の枚数という量ばかりを増やしても人脈を構築しているとは言えず、その質にこだわるべきというのは真実だと思います。さらにその質を高めるには、自分自身を磨くことが大切であるというのも、的を射ています。
100 枚の名刺を持っているものの、そこに信頼できる人、困った時に助けてくれる人がいなければ意味はなく、たった 1 枚の名刺しか持っていなくても意味のある人間関係なのであれば、人脈を持っている人と呼べるのは後者であるということです。
2. レベル別 人脈づくりで実践したい 9 つの方法
人脈の作り方にはさまざまな考え方やレベルがあります。まずは具体的に人間関係を広げていくためのきっかけ作りを初級レベルと定義して、そこから人脈としての質を高めていく方法論を中級、上級レベルへと発展させてレベル別に解説します。
2-1. 【初級】学生時代の友人、知人から探してみる
人脈の作り方として、誰もが最初に思いつく方法です。学生時代に接した人の数はとても多く、人脈作りの母集団形成には役立つでしょう。社会人になってからも付き合いのある友人を筆頭に、その友人や同窓会などの機会を活用するのも一考です。
この時に考えてしまうのが学生時代の人間関係です。あまり仲がよかったわけではなかったという場合は躊躇してしまうかも知れませんが、お互いに社会人となって WIN-WIN の関係を構築できることもあります。
2-2. 【初級】名刺交換会や交流会に参加してみる
学生時代の人間関係の次に思いつきやすいのが、人脈を作りたいと思う人同士が集う名刺交換会や異業種交流会などのビジネスイベントです。名刺の数だけを増やしてもあまり意味はありませんが、お互いに人脈を広げたいという目的を共有しているので、その中から人脈と呼べるような出会いがあるかも知れません。
名刺交換をした後でしっかりとフォローをすること関係を構築していけば、有意義な人脈に成長させることもできるでしょう。
それ以外にも、こうした場に参加することはいつも見ている景色とは違う景色を見ている人たちと接することでもあるので、よい刺激を得るチャンスです。
2-3. 【初級】 SNS を活用する
人脈作りに IT を活用するのは、半ば常識です。IT を活用した人間関係作りで思いつくのが SNS です。LinkedIn など、ビジネス利用に特化した SNS も実際に人気を集めており、業種によってはこうしたツールを活用するのも有効です。
注意したいのは、SNS を個人的な用途で利用している場合です。そのアカウントでビジネス目的の人脈を広げようと思っても根本的に目的が異なるため、混同することは避けましょう。
2-4. 【初級】サークル活動、習い事、スポーツジムなどで機会を増やす
名刺交換会や交流会とは違い、個人的な趣味や活動などで知り合った人の中から人脈を発掘する方法もきっかけづくりとしては有効です。有名な映画「釣りバカ日誌」では社長と社員が魚釣りという共通の趣味で対等な人間関係を作りますが、こうしたことが実際に起きる可能性があるのは魅力でしょう。
ただし、こうした環境での人間関係はあくまでも趣味としての活動が目的であり、人脈づくりのためにサークルに加入したり習い事を始めたとしても期待通りの結果は得られないでしょう。
2-5. 【中級】また会いたくなる自分になる
人脈作りの中級レベルは、きっかけ作りだけでなく人脈の質を高めていく段階であると定義して、「また会いたくなる自分」になることに注力すべきでしょう。「また会いたい」と思ってもらうことで、一度会った方から知人を紹介してもらえる頻度が増えます。結果、人脈が広がるスピードが増します。
ビジネス面でのメリットだけでなく、人としての信頼や面白味などを高めることを意識することが人間関係を深みのあるものにします。また飲みに行きたいと思ってもらえることだけでも、人脈として人間関係が発展するチャンスです。
笑顔で接すること、他人の悪口を言わないことなど、一緒にいて心地よいと思ってもらうことが大切です。
自分という人間にとってのリピーターが人脈であると考えるなら、「また会いたい」と思ってもらうことは自分磨きの基本であると言えるでしょう。
以下に述べていきますが、自分から提供することで魅力を発揮することや、人が集まるようなイベントを主催する、価値のある情報を発信することなど、相手にとってメリットを感じてもらえるような行動が「また会いたい」と思ってもらえるための基本です。
2-6. 【中級】見返りを期待せず、自分から提供する
人脈が作られることによるメリットに期待するあまり、自分にとってプラスになる人ばかりを選んで仲良くなろうとしたりすることは、相手にも見透かされることになります。特に何か差別化できるように強みを持っている人ほど、それに期待してすり寄ってくる人に好印象を持つとは思えません。
ラジオの長寿番組で長年パーソナリティを務め、放送作家や作詞家としても活躍した永六輔氏は「仕事は金脈じゃない、人脈だぞ。人脈の中から金脈を探せよ、金脈の中から人脈を探すなよ。」という言葉を遺しています。お金儲けに役立ちそうだから、近づきになっているとメリットがありそうだからという気持ちで人脈を作ってはいけないという教えには、とても含蓄があると思います。
2-7. 【中級】すぐに連絡する
人脈とは、人と人とのお付き合いです。言葉を交わし、実際に会ってコミュニケーションを重ねていくことは人との付き合いに欠かせないプロセスです。名刺交換をして初めて知り合った人にすぐ連絡をするというのは、その人と人間関係を作っていきたいという意思表示なので、すぐ連絡することはとても大切です。
すぐに連絡するということは、それだけ人間関係を作っていく本気度を伝えることでもあります。電話をするのもよいですし、メールアドレスが記載されているのであれば相手の都合を考えてメールで挨拶をするのもよいでしょう。
後述する名刺管理アプリに登録をするという方法も、相手が同じアプリを利用していれば SNS のように名刺情報でつながるので、すぐに登録することがひとつの意思表示になります。
2-8. 【上級】「あの人に会いたい」と思われる人になる
人から会いたいと思われる人、近づきになりたいと思われる人のところには、自分から人脈作りをしなくても人が集まってきます。その中には有益な人、キーパーソンとなるような人が含まれている可能性も高く、人脈の質と量がどちらも飛躍的に拡大するでしょう。
そのためには露出を増やして知名度を高める必要があるので、「メディアで取り上げられる」「会社を上場する」などの方法も視野に入ります。
多くの人が集まるようなイベントを自ら主催する、または人が集まる場所に登壇をして価値のある情報を発信することでも周りの人たちに価値の提供ができます。これにより人脈が形成されます。また、インターネットが情報を得る方法として常識になっている今だからこそ、ブログなどで価値のある情報を発信し、アクセスを増やすことでも人脈形成のきっかけを作ることができます。
2-9. 【上級】限られた人しか入れないクラブなどに入会する
すでに会員となっている人の推薦や入会金、会費が必要になるものの、限られた人しか入ることができない会員制のクラブなどに入会することは、人脈の質を高める意味ではとても効率的です。
東京アメリカンクラブのようなクラブをはじめ、全国各地にあるロータリークラブ、ライオンズクラブなども含まれます。
こうしたクラブで人脈作りをするメリットは、そこで会う人の全員がそのクラブへの入会審査にパスした人であり、「一定以上の人」であることが約束されているからです。お互いにその意識で出会うため、初対面であっても信頼関係を築きやすく、質の高い人間関係を広げていくことができます。
3. 人脈作りを支援してくれるツール 3 選
3-1. 名刺管理アプリ「Eight」
スマホの内蔵カメラで名刺を撮影すると、自動的にデータ化されて登録されていくことが特徴の名刺管理アプリです。自動入力ではなくオペレーターが手入力をしているので登録されるデータの正確性が高いことが売りです。
登録した名刺情報がアプリ内で SNS のようにつながっていくため、Facebook のような感覚で人間関係が広がっていきます。
「2-7. すぐに連絡する」のところで名刺管理アプリの利用を推奨していますが、名刺交換をした直後にこの「Eight」で名刺を読み込んでおけばすぐに登録され、相手も同じ操作をしていればつながったことが通知されます。この通知がお互いに届くことにより、相手がすぐに「Eight」に登録したことが分かるので、以後の連絡がとりやすくなります。
名刺を物理的に紛失したり探すのに時間がかかるというロスを防ぐこともできるので、人脈を作るための支援ツールとしてはぜひインストールしておきたいアプリです。
名刺管理 アプリについて詳しいことは「使うと 3 倍差がつく!2 大名刺管理アプリ徹底比較と選び方」をご覧ください。
⇒ Android 版アプリ
⇒ iOS 版アプリ
3-2. ビジネス専門 SNS 「LinkedIn」
ビジネス用途専門の SNS として世界的に有名なサービスです。人脈を広げるための SNS という意味では Facebook が基本になるのはビジネス面でも同じですが、それはすでに活用しているという前提で LinkedIn をご紹介します。
現在では日本語版も提供されているので、日本語だけで利用することができるようになりました。しかし、もともと英語圏でもっぱら利用されてきたサービスなので日本人でありながら英語で利用しているユーザーも多く、海外の人脈を広げる用途に特化している人も見受けられます。
使い勝手は Facebook を利用している方であれば、ほとんど同じ感覚で利用できます。あくまでもビジネス用途なので、まずは自分の職業やスキルをプロフィールに登録することから始めます。そこからコラボレーションできそうな人にアプローチをしたり、相手からのアプローチを待つという具合で人脈を広げていくことができます。
⇒ LinkedIn
⇒ Android 版アプリ
⇒ iOS 版アプリ
3-3. ビジネスマッチングアプリ「yenta」
登録されているユーザー同士をマッチングするサービスはこれまでにも多々ありましたが(出会い系サービスにも同様の仕組みがよく見られます)、この「yenta」がユニークなところは、アプリからおすすめされた人に対して「興味あり」「興味なし」の判定をするだけで、あとは人工知能がビジネスマッチングしそうな相手を提案してくれる点です。
この人工知能のマッチング性能が高いおかげで、お互いに相手に興味を持ちそうな人を提案される確率が高く、このアプリがなければまったく知り合う可能性がなかったような人とつながることができます。
なお、この「yenta」のアプリは iOS 版のみがリリースされています(2016 年 10 月現在)。
⇒ iOS 版
4. まとめ
ここまで、人脈という目に見えそうで見えない、手に取れそうで取れない財産について概要から作り方、そして人脈作りを支援してくれるツールをご紹介してきました。相手が人間だけにこれが唯一無二の方法論というわけではありませんが、人脈の作り方としてはセオリーに近いものだと思います。
ここでご紹介してきた方法論のすべてに共通していることは、自分から行動を起こすことの重要性です。ただ待っているだけでは人間関係は広がっていかないので、まずは自分から行動を起こすことから始めましょう。人付き合いが苦手、人見知りであることを自覚している方であっても、今はそれを支援してくれる有効なツールもあります。こうしたツールの力も借りつつ、一生ものの人脈作りを始めましょう!