2018 年、Dropbox は主要なテクノロジー企業として初めて、SMR 技術の導入に踏み切りました。
SMR 技術を採用した高密度ドライブでは、従来の PMR ドライブよりも大幅にコストを抑えながら、数百ペタバイトもの容量を追加することができます。
この 1 年間、Dropbox では、新技術の導入に伴うさまざまな課題に取り組み、設定した目標の多くを上回る成果を達成してきました。
Dropbox のチームは、アーキテクチャを SMR ドライブと PMR ドライブの両方に対応させるため、事前にサーバー ソフトウェアを書き換えるなど、ソフトウェア面での変更も行いました。
SMR マシンを本番稼働に移行する前には、システムに装着した数十万台のディスクでテストを実施。このほか、ネットワーキング スタックからディスクへのスループット向上や SSD キャッシュの追加といった作業も行い、さらに容量を増やすために、ファイルシステムを介さず直接ディスクに書き込みを行うようにしました。
SMR ハードウェアは、データセンター用途としてはまだ新しい技術です。そのため Dropbox では、早い段階で問題を洗い出し、解決するために、パートナーおよびベンダー各社を交えて意見交換を行いました。Dropbox のハードウェア チームと Magic Pocket チームも、緊密に協力しながら、必要な対策について議論を重ねました。
こうした数々の取り組みの結果、高密度化、コスト削減、消費電力削減というすべての重要項目において、事前の目標と想定を上回る成果を達成することができました。
ディスク容量の高密度化は、データの増加を上回るペースで進んでいます。このままいくと、SMR ドライブに格納されるデータは、事前の目標を上回り、2019 年末までに全 Dropbox データの約 40 % に達する見込みです。またコストの点でも、前世代のストレージ設計と比べ、全体で 20 % 超の削減という想定以上の成果が出ており、同容量の PMR ドライブと比べて、ほぼコスト差なしで SMR ドライブに格納できるデータ量はおよそ 10~20 % 増加しています。
SMR 技術はエネルギー効率にも優れており、ドライブの密度が大幅に高まっているにもかかわらず、電力消費量の増加はごくわずかに抑えることができています。
Dropbox はすでに、2020 年のストレージ設計に向けたさらなる高密度化に取り組んでいます。この新たなアーキテクチャでは、データ ストレージ テクノロジーにおける今後の技術革新を確実に取り込めるようになると確信しています。