あなたは仕事は忙しいのに、思うような成果が出ていないと感じていませんか?仕事を引き受けすぎると、本当に大事な仕事に費やすエネルギーと時間が減ってしまいます。そんな時は、成果が小さい仕事を断ることが必要になる場合もあるでしょう。仕事がデキる人たちは仕事に対して明確な優先順位を設けています。
では、仕事がデキる人たちは、どのようにして、仕事を引き受ける、または、断るの判断をしているのか、指南となる自問すべき質問を 5 つ紹介します。
1. 「断ると失礼」だから?
たとえば上司から、花形プロジェクトのリーダーになる話を持ちかけられたとします。しかしどういうわけか、手放しでは喜べないのです。そんな時は、次のように自問してください。その仕事のどんなところが魅力的で、どこに不安を感じていますか?実はそのプロジェクト自体にあまり興味はなく、上司を喜ばせたいだけなのかもしれません。あるいは、その仕事を断った場合の同僚たちの反応に不安を感じているのかもしれません。
いずれにせよ、人を喜ばせたり、波風を立てないようにしようという気持ちが大きいのであれば、その仕事は断るべきでしょう。儀礼的な理由で仕事を受けるのは、単に避けた方がよいというだけでなく、喜んでもらいたいと思っていた同僚を傷つける結果になることもしばしばです。上司から与えられた機会を断るのは気まずいことかもしれませんが、そもそも望んでいない仕事を何か月も続けることを考えれば必要な決断です。
2. その機会を断ることで、次のチャンスがやってくるか?
たとえば、独立開業したばかりのあなたに大口顧客の話が舞い込んだとします。3 か月分の収益が確保できる絶好のチャンスです。しかし、顧客が要求する基準は非常に高く、求められるレベルに対応するためには、予定していた採用やマーケティング計画のほとんどを延期せざるを得ない状況です。
こうした状況では「ノー」と答えるのが賢明かもしれません。仕事の種類や規模にかかわらず、何かを引き受けるということは、他のチャンスに対応できる余裕を減らすことでもあるのです。逃してしまうチャンスの中には、あなたの長期的な成功にとても大切なものもあるかもしれません。何ができるかを知るために必要な最初のステップは、しなくてもよいことを知ることです。
3. 誤解が生み出した機会ではないだろうか?
たとえば、あなたの会社で 1 か月の長期出張に対応できる担当者を探しているとします。1 か月間で、ヨーロッパ、北米、アジアの各国にある事業所を回る仕事です。あなたの手元には集中して取り組まなければならない仕事がありますが、すでに社内では高い評価を受けています。あなたの性格はのんびり屋で何事にも前向きです。つまり「今回の仕事の適任者」というわけです。
でも本当にそうでしょうか?あなたは時々、勘違いや誤った情報に基づいて、仕事を引き受けてしまうことはないですか?会議の席で何かを強く主張したあなたを見て、チームがあなたを営業向きの人間だと思い込むこともあるでしょう。上司はあなたが数字や予算編成に強いと誤解していて、それで海外の事業所の予算をチェックしてほしいと考えているのかもしれません。
どのようなケースであれ、「イエス」と答える前に背後にある経緯をはっきりさせておくべきです。「頑張らなくては」と、ぐっとこらえて仕事を引き受けたくなるものですが、それでは誤解を解消するどころか、間違った認識を肯定することにもなりかねません。そうではなく、正直な考えを話して事実関係を整理し、別の方法がないかを考えてみましょう。
4. その機会は、もっと大きな可能性に結びつくか?
フリーランス デザイナーのあなたの元に、大企業から自社ウェブサイトの制作について依頼が来たとしましょう。条件は良好で、すでに付き合いのある他社の仕事にも影響しません。それでも、大企業のウェブサイト制作には気乗りしません。あなたは少人数のチームで仕事に取り組む方が好きです。たとえば、果敢にリスクテイクするスタートアップ企業と一緒に、あなたのデザインセンスに合うプロジェクトを共同で作り上げる仕事にやりがいを感じます。こんな時は、どうしたらよいでしょうか?
本当にお金に困っていないのであれば、断った方がよいでしょう。すべての仕事は、その大小にかかわらず、何らかの形で長期的な目標の達成につながります。その仕事から、貴重な人脈が生まれるかもしれません。履歴書に書けるような実績が作れるかもしれません。しかし、あなたの計画のどこにも当てはまらない仕事は、最終的な目標に近づくどころか、目標を遠ざけてしまうことさえあります。「イエス」と答える前に、よく考えてください。まずは、自分にとって価値あるキャリアとは何かを批判的思考で考えることが大切です。
5. うっかり「イエス」と返事をしていたら?
提示された機会の悪い面に気がつかず、うっかり「イエス」と答えてしまうことがあります。十分に考える時間もないまま、その場の雰囲気に流されて「イエス」と言ってしまうことは本当に多いものです。
そんな時はただ、「考え直した」と伝えればよいのです。アマゾンの CEO ジェフ・ベゾス氏は、「正しくありたいのなら、頻繁に考えを改める必要がある」と話しています。Apple の CEO ティム・クック氏は、故スティーブ・ジョブズ氏を「考えがコロコロと変わる素晴らしい人間だった」と評しています。どちらのエグゼクティブにも共通するのが、「その時には良いと思って力強く主張したことでも、後から取り消すことを恐れない」という姿勢です。
いったん決断を下すと、それに固執してしまうのが私たちです。しかしその決断に疑問を感じたら、何度も軌道修正をしていかなければなりません。ベッドから起き上がった時に、前日に自分が発表した目標に違和感を覚えたら、会社に行ってその心変わりをチームに伝えてみるという具合です。ミーティングの場がざわつくのは一瞬ですが、それでチームが何か月も後悔の念にさいなまれずに済むのです。
最後に
多くの機会に「ノー」と答える最大の利点は、本当のチャンスが来た時の喜びにあります。これらの質問を習慣化できればすぐにでも、本当に良いチャンスだけが光り輝いて見えるようになるはずです。