当社がバーチャル ファースト企業となって 2 年以上が経ちました。当社がモデルとするのは、あえてハイブリッドではないアプローチを取るユニークな働き方です。社員の主な働き方はリモート ワークですが、対面でのつながりに代わるものはないという考えのもと、計画した会合や共同作業のために集まっています。また、社員を無理にオフィスへ戻すのではなく、柔軟な働き方を可能にし、各地に分散する労働力からより幅広い人材を登用できるようにすることで、社員が職場で最高の生産性を発揮できる環境を整え、最終的にはお客様により良いサービスを提供できるようにしています。
バーチャル ファーストを導入して私たちがまず知ったのは、学びのマインドセットを維持することが、仕事の世界と並行してこのモデルを発展させるために重要であるということでした。そして、バーチャル ファーストの発展に役立つ新しい調査結果や業界のインサイト、社員からのフィードバックを得た結果、私たちは、オフィス勤務か完全リモートかその折衷かを問わず、これらの発見を世界中に共有することには意義があると認識するに至りました。そこでこのブログでは、Dropbox の People Analytics チームと外部のリサーチ チームが実施した Dropbox 社員への詳細なインタビューとアンケートを組み合わせて得られた最新のインサイトをご紹介したいと思います。この新しい調査では、バーチャル ファーストの一般的なトピックと、Dropbox 社員がワーク モデルで採用しているいくつかの主な行動や戦略を分析しています。
また、さまざまな働き方で成功するための新しいプラクティスをバーチャル ファースト ツールキットに追加し、バーチャル ファーストのすべてを集めたハブ、virtualfirst.dropbox.com をこのほど立ち上げました。ここでは、ワークモデルの原則、調査結果とリソース、リモート ワークのヒントを紹介しています。
以降では、分散環境での作業に関する最新の調査結果や社員のインサイト、そしてそれらをサポートするツールキットのプラクティスについて説明します。
バーチャル ファーストにおけるつながりの価値
バーチャル ファーストのユニークな面の 1 つは、「バーチャルだけではない」ということです。対面でのつながりは私たちのモデルの重要な部分であり、すべての調査において常に注目すべき重要なポイントです。私たちの調査結果は、対面での体験を特別なものにすること、つまり質の高い交流やチームメンバーへのより深い理解に重点を置くことが、バーチャルでつながりを維持し、リモート ワークやハイブリッド ワークの環境でバランス感覚を持つための鍵となる可能性があることを示しています。
- 「私はドキドキして、とても興奮していました。よくエネルギーと言いますが、私の場合、本当にそのとおりでした。私の仕事に新しいエネルギーを与えてくれたのです。」- Dropbox アンケート回答者が初めて同僚に直接会ったときの感想
複数の調査対象者が、対面での深い絆だけでなく、画面上でもより強いつながりを築きたいと回答しています。それを実現するために社員が実践している工夫の中には、振る舞いに関するかなり細かなものもあります。たとえば、Zoom でアイ コンタクトを意識する、声のトーンを調節する、存在感を示すことにエネルギーを注ぐなどです。他には、もっと仕組み的な方法もあります。たとえば、チーム会議を始めるときに緊張をほぐす時間を設ける、メンバーが最近の休暇や個人的な節目となるイベントの写真を披露するための時間の余裕を議題の間にはさむなどです。対面とバーチャルの両方でベスト プラクティスを活用することで、私たちは素晴らしい結果を得ています。最新のエンゲージメント調査では、Dropbox 社員の 91 % はバーチャル ファーストでチームがうまく連携できていると回答し、87 % は仕事仲間が自分を人として気にかけてくれていると回答しています。
- 「週末にクライミングに行くのが好きな人がいるのを知っているなら、ミーティングの始めに『そうだ、週末はまたクライミングに行かれたんですね。そのときのことを少しお話しいただけますか?』と言えば、もうかなり緊張が解けて和やかな雰囲気になります。」- Dropbox アンケート回答者
私たちはバーチャルなつながりをより良いものにできるようになっていますが、課題がないわけではありません。たとえば、何人かの調査対象者は、バーチャル ミーティングでは「会議後の非公式のキャッチアップ」がなおざりになりがちであることを挙げています。これは、重要な会議の後に同僚と連絡を取り合って「どうでしたか?」などと尋ねるときのことです。これは Slack でもできますが、必ずしも率直な意見が聞けるとは限らず、声のトーンや、ボディ ランゲージ、興奮度などの重要な手がかりを逃してしまいます。重要なミーティングの後に(Zoom やSlack のハドル ミーティングなどで)信頼できるパートナーとすばやく意見をすり合わせるための時間を意図的に設けたり、ミーティングの内容を 1 対 1 で振り返る余裕を確保したりすることで、このような障壁のいくつかを克服できます。
分散型ワークプレイスでのやり取りに取り組む必要があることを理解したうえで、バーチャル ファースト ツールキットは、チームとプロジェクトの健全性を高めるためのさまざまな演習を提供しています。チームの結び付きを強める儀式を実践することで、チームは絆を深め、共通の価値観を形成し、良い習慣を強化して、対面とバーチャルの両方で同僚とのつながりを築くことができます。
私たちはバーチャルなつながりをより良いものにできるようになっていますが、課題がないわけではありません。たとえば、何人かの調査対象者は、バーチャル ミーティングでは「会議後の非公式のキャッチアップ」がなおざりになりがちであることを挙げています。これは、重要な会議の後に同僚と連絡を取り合って「どうでしたか?」などと尋ねるときのことです。これは Slack でもできますが、必ずしも率直な意見が聞けるとは限らず、声のトーンや、ボディ ランゲージ、興奮度などの重要な手がかりを逃してしまいます。重要なミーティングの後に(Zoom やSlack のハドル ミーティングなどで)信頼できるパートナーとすばやく意見をすり合わせるための時間を意図的に設けたり、ミーティングの内容を 1 対 1 で振り返る余裕を確保したりすることで、このような障壁のいくつかを克服できます。
ミーティングの愚かさと有効性
バーチャル ファーストを導入して以来、私たちは、「非同期が前提」という考え方での業務、コア コラボレーションタイムの遵守、ミーティングを開くのは「3 つの D」(ディスカッション、ディベート、意思決定)の場合のみ、などの戦略を採り入れることで、不要なミーティングの削減に積極的に注力してきました。実際、Dropbox 社員の 73 % が「終日同期から非同期が前提という考え方へのシフト」をうまく実践できていると回答し、66 % が会議の大半はコア コラボレーションタイム(タイムゾーンをまたいで同期/共同作業を同時に行うための全社的な 4 時間の時間区分)内で行われていると回答しています。
しかし、私たちの調査では、会議の必要性と有効性を分析する際に考慮すべき細かな点が他にもあることがわかりました。ミーティングを減らして非同期での作業を優先するには、新しいスキル、特に多くの人が難しいと感じる明確で正確な文章を書くためのスキルが必要です。非同期で効果的なコミュニケーションができなかった後で、Zoom 会議の予定を立てる羽目になることがよくあります。話し言葉なら対面で解釈して解決するのが簡単だからです。たとえば、「オーケー、いいね」といったフレーズは、実際の同意からはぐらかしやあきらめまで、さまざまな意味を示すことができますが、書き手と読み手が同じ解釈を共有する保証はほとんどありません。
- 「Slack でごく短い答えを返されるとイライラします。プロジェクトがうまくいっているのか、もうすぐ終わるのかを尋ねると、一言『はい!』と答えが返ってくるのです。曖昧な返事がしたいわけでないことはわかるのですが、私はもっと周辺情報がほしいし、物事が予定どおり進んでいるという安心感がほしいのです。繰り返し尋ねると失礼だと思われるかもしれません。だから 30 分の Zoom 会議をスケジュールすることになるのです。それで相手はもっといら立つかもしれません。でも、どの部分がすでに完了しているのか、まだ完了していないところがあれば手助けが必要なのか、私はそれを知りたいのです。」 – Dropbox アンケート回答者
また、会議の価値や効率については、人によって見方や好みが異なります。つまり、同じ会議を終えた 2 人がその成果について正反対の意見を持つ場合があるということです。会議のやり方もチームによって異なる場合があり、会議を始めるときにメンバーが雑談するのを好むチームもあれば、しっかりと用意された議題に真剣に取り組むチームもあります。私たちの調査では、参加者の約半数が複数の国のメンバーと共同作業をしており、仕事を進めるうえでの文化的、言語的な隔たりが大きいことがわかりました。概して、社員たちはさまざまなグループの規範を尊重する方法を理解しており、必要に応じてさまざまな会議スタイルに適応しようとしています。
これらの調査結果の一部は、Dropbox Dash などの製品の開発にも役立てられています。コンテンツを非同期で共有する代わりに会議を開くと、生産性の妨げになる可能性があることがわかりました。Dash を使えば、仕事に必要なコンテンツを提案して情報の格差を減らせるので、会議に費やす時間を短くして仕事に集中する時間をより長く確保できます。
非同期が前提という考え方をチームにより浸透させるために、コミュニケーション スキルを強化する演習をバーチャル ファースト ツールキットに追加しました。その中には、簡潔で明確な書面によるコミュニケーションのための理解を深める文章の書き方や、効果的な会議の運営によってミーティングをもっと実りあるものにするための戦略が含まれています。
全体として、Dropbox 社員はバーチャル ファーストにとてもよく適応しており、アンケートにも、生産性が向上してバランスが取れているように感じると回答しています。バーチャル ファーストでは、柔軟性を実現するバーチャル ワークと、帰属意識を育む対面でのつながりを独自に融合することで、最高の仕事が可能になると私たちは考えています。実際、それが機能していることは今回の調査に見て取れます。また、社員はオフィス ワークの長年の習慣や儀式のうちもはや有効でないものを捨て去り、将来の仕事に最も役立つ慣行に置き換えることに成功しています。私たちは、「ラーニング」から「アンラーニング」にシフトするための効果的な方法をいくつか把握しました。
私たちは、バーチャル ファースト モデルへのアプローチにおいて機敏かつ柔軟であり続けることを目標に掲げ、未来の働き方に舵を切るため、同僚からのフィードバックを収集し、調査から学び続けることに全力で取り組んでいます。Dropbox の取り組みについて最新情報を入手するには、ポッドキャスト Remotely Curious をお聞きください。また、バーチャル ファーストに関する詳しい情報については、virtualfirst.dropbox.com をぜひご覧ください。