「書類の電子化ってどうやってするの?」
「自社でも書類の電子化を導入すべきかどうか迷っている…」
さまざまな分野で電子化が進む昨今。
書類についても、いつまでも紙のまま運用していていいものか迷いますよね。
また「書類の電子化」という単語を耳にする機会が増えた一方で、具体的な方法や進め方のイメージがつきづらいという方も多いことでしょう。
結論から言うと、書類は電子化すべきです。
それも、なるべく早いタイミングで書類を電子化することをおすすめします。
2019年に厚生労働省が発表した「働き方改革」内でも触れられた、書類電子化の重要性。
書類の電子化を推進するための法整備も進んでおり、今や、国が主体となって書類の電子化を進めているのです。
教育機関でも教科書や配布プリントの電子化が進んでおり、企業のみならず、社会が一丸となって書類の電子化に取り組んでいます。
しかし、すべての企業において書類の電子化が適しているとは限りません。
紙の書類の取り扱い方や使用頻度によっては、書類を電子化しないほうがいい場合もあります。
また、書類を電子化すると決まった場合でも、自社運用すべき場合とアウトソースすべき場合に分かれます。
そこでこの記事では、
- 書類の電子化とは
- 書類電子化の現状
- 書類を電子化することのメリット
- 書類を電子化することのデメリット
- 書類を電子化する際の注意点
- 書類電子化による成功事例
- 書類を電子化した場合としてない場合の比較
- 書類電子化に向いている会社・向いていない会社
について書類の電子化について知識を深めていただき、書類の電子化を導入するかどうかをご判断いただいたうえで、
- 書類を電子化する際に必要な下準備
- 書類を電子化する方法(自社運用orアウトソース)
- 自社運用に向いている会社・アウトソースに向いている会社
について具体的に書類の電子化をする場合の下準備や、自社運用orアウトソースの判断材料も明確に提示していきます。
書類の電子化について深く学べることはもちろん、
- 自社でも書類の電子化を行うべきかどうか
- 書類の電子化を行う場合、自社運用すべきかアウトソースすべきか
も正しくご判断いただけます。
効率的な書類電子化のために、ぜひこの記事をお役立てください。
1.書類の電子化とは
書類の電子化とは、文字通り「紙媒体の書類」を「電子媒体の書類」に変換する作業のことです。
より分かりやすく言い換えるなら、「書類を紙ではなくデータとして保管すること」となります。
同じ意味を持つ単語として「ペーパーレス化」が使われることもあります。
書類はスキャナや複合機を用いて電子化し、PDFやJPEG形式などのデータに変換されます。
紙の書類はファイルやキャビネットで保管しますが、電子化した書類は、オンラインストレージや社内サーバー上に保管することになります。
「書類の電子化」と聞くと難しい作業のように思われますが、実はそうでもありません。
捺印した契約書をスキャンするといった日常的な作業も、書類電子化のひとつです。
また、ExcelやPowerPointで資料を作成したり、議事録をメモ帳やGoogle document上で執筆したり「パソコンを用いて書類を作る」のも、書類電子化の一環といえます。
2.年々進む書類電子化の現状
業務効率を改善し、生産性の向上にも有効とされる書類の電子化。
そのメリットには国も着目しており、厚生労働省によって2019年4月1日に施行された「働き方改革」には、具体策として書類の電子化(ペーパーレス化)が盛り込まれています。
最終目標として「内部打ち合わせにおけるペーパーレス化率:100%」を掲げており、今後も国が旗振り役となって書類の電子化を進めていくことが予測されます。
そんな書類電子化の現状はどうなっているのでしょうか。
さまざまな角度から収集した情報をもとに分析しました。
2-1.3割近い企業が書類の電子化に取り組んでいる
総務省が発表した『平成24年版 情報通信白書』によると、「社内業務のペーパーレス化」の取組状況は29.1%。
その他の改革への取組状況がいずれも2割に満たないことを考えると、書類の電子化は、社内業務分を中心にして着々と進んでいることが分かります。
データ自体が少々古いので、現在はこれよりもさらに書類の電子化が進んでいることが予測されます。
業種別では製造業の取組状況がもっとも高く、およそ50%の企業が書類の電子化に取り組んでいると回答に。
一方、運輸・倉庫・郵便業界の取組状況は20%未満に留まり、書類の電子化に取り組みやすい業種とそうでない業種の間に大きな差があることが伺えます。
出典:『総務省|平成24年版 情報通信白書』
2-2.印刷・情報用紙の需要は2005年をピークに減少傾向
日本製紙連合会が発表した『製紙産業の現状』によると、紙合計の需要は2005年をピークにして減少。
とりわけ、2005年~2010年にかけて、印刷・情報用紙の需要が大きく落ち込んでいます。
その理由としては、リーマンショックや人口の減少、ICT化の促進などが挙げられます。
企業内のみならず、社会全体として紙の需要が減少し、書類などの電子化が進んでいることが伺えます。
参考:日本製紙連合会『製紙産業の現状 紙・板紙内需』のデータを元に弊社にて作成
2-3.教育機関でも推進される書類の電子化
書類の電子化は、教育機関においても進められています。
その最たるものが、平成31年4月から施行された「学校教育法等の一部を改正する法律」です。
学習者用デジタル教科書を制度化する目的で施行されたこの法律により、これまで主体となっていた紙の教科書だけでなく、電子化されたデジタル教科書を用いることが可能になりました。
文部科学省では、小学校の教科書が改訂される2024年度を目安にデジタル教科書の本格導入を検討。こうした動きも、書類の電子化を強く後押ししていくと想定されます。
3.書類を電子化するメリット6つ
国主導のもと、企業や社会全体が一丸となって進めている書類の電子化。
新聞や雑誌、小説などを電子化した「電子書籍」も広く普及するようになり、書類電子化の勢いは留まることを知りません。
そんな書類の電子化を企業でも導入した場合、どんなメリットが得られるのでしょうか。
考えられる主なメリットは、以下の6つです。
導入効果が大きく、さまざまなメリットが得られる書類の電子化。
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
3-1.書類の検索・閲覧を効率化できる
電子化した書類は、オンラインストレージを用いてインターネット上で保管されるようになります。
オンラインストレージとは 「オンライン=インターネット上の」「ストレージ=記憶装置」の言葉通り、インターネット上にデータを保管するサービスのことで、クラウドストレージとも呼ばれる。 専用サーバーが不要のため、導入コストを抑えられるという利点がある。 代表的なオンラインストレージとして、サービス開始から8年でユーザー数5億人を突破した「Dropbox」が挙げられる。 |
電子化書類をオンラインストレージで保管すると、以下のメリットが生まれます。
|
コクヨ株式会社の調査によると、一人の社員が紙の書類探しに費やす時間は、一日平均約20分。
一年に換算すると、なんと約80時間もの貴重な時を書類探しに割いている計算となります。
書類を電子化すれば、書類内に含まれるKWやファイル名、管理用に付与したハッシュタグなどをもとに、目当ての電子化書類を簡単に見つけ出すことができます。
今までのように、積み上げられた膨大な紙の山から一枚一枚探していく必要はありません。
オンラインストレージにアクセスできる環境さえあれば、いつでもどこでも電子化書類を閲覧できるというのも大きな魅力です。
外出先で急遽書類が必要になったときも、自宅でテレワークを行っているときも、すぐに必要な電子化書類を閲覧することが可能です。
3-2.書類作成にかかる諸経費を削減できる
紙で書類を作成しようとすると、
- 印刷用紙の購入費
- 印刷機器の購入費・維持費
- 印刷用インクの購入費
- 印刷した書類を綴じておくファイルなどの購入費
などが発生します。
これらの費用は経費を圧迫するだけでなく、貴重な紙資源を浪費してしまう原因にもなります。
膨大な書類を印刷する場合、印刷にかかる時間も長くなることでしょう。
誰かが印刷機を独占していたら、印刷機の順番待ちという無駄時間が発生してしまうかもしれません。
こうした諸経費や浪費時間は、年間かつ企業全体で見ると、意外なほど負担が大きかったりもして……。
電子化書類であれば、必要となるのはオンラインストレージだけ。
どうしても紙媒体で提出しなければいけない書類のみを印刷すればいいので、用紙やインクなどの経費を大きく削減することができます。
印刷時間や順番待ち時間などの無駄もなくなり、コストも無駄時間も綺麗サッパリ一掃してくれます。
3-3.書類保管に必要なスペースを削減できる
「塵も積もれば山となる」ということわざがあるように、薄い紙の書類も、積もり積もれば途方もない量となります。
オフィスに余裕があるうちは気にならないかもしれませんが、書類は日々増えていくもの。
気付けば紙の書類がオフィススペースを圧迫していた、なんてことにもなりかねません。
オフィス内に保管スペースを設けられなかった場合、書類保管用にスペースを借りるため、高額なレンタル費用が必要となる恐れも……。
紙の書類が圧迫するのはオフィススペースだけではありません。多くの場合、社員のデスク上にも進出し、作業スペースを狭くしてしまいます。
コクヨ株式会社が実施した法人モニター応募アンケートでは、59.9%もの人が「書類が場所を取り作業スペースが狭くなる」と回答し、書類の置き場に頭を悩ませていることが分かりました。
電子化書類であれば、オンラインストレージの容量を確保すればいいだけなので、オフィススペースを圧迫することがありません。
オンラインストレージの容量は、書類の増減に応じて簡単に調節できますから、スペース確保に慌てる必要もなくなります。
3-4.書類の劣化・紛失を防ぐことができる
電子化書類は、紙のように劣化することがありません。
日焼けしてしまって読みづらくなったり、誤って水をこぼして破損してしまったりということもなく、常にきれいな状態で保管しておくことができます。
また、閲覧のたびにファイルや棚から物理的に出し入れする必要もありませんので、
- 書類の紛失
- 書類の戻し忘れ
- 書類の戻し場所間違い
といったヒューマンエラーを防ぐこともできます。
ただでさえ忙しいのに、
「あの書類どこにやったっけ?」
「なんでこんなところにこんな書類が?」
なんて余計な手間に関わっているのは時間の無駄ですよね。
自然災害や火災といった万が一の事態が起きても、インターネット上で管理している電子化書類であれば紛失の恐れがありません。
予測できない事態への備えとしても、書類の電子化は大いに役立つのです。
3-5.書類のセキュリティを強化できる
書類の電子化に難色を示す人の声に、こんなものがあります。
「大事な書類をインターネット上で保管なんかしたら、誰に見られるか分からないじゃないか」
「ハッキング攻撃を受けて、大事な書類が流出したらどうするんだ」
もちろん、インターネット上に接続している以上は、ハッキング攻撃の可能性がゼロというわけではありません。
しかし、書類電子化の際に暗号化を施したり、セキュリティ対策が万全なオンラインストレージを利用することで、こうしたリスクを最大限抑えることが可能です。
むしろ、保管場所に入れさえすれば誰でも持ち出すことができ、持ち出した先でうっかり紛失する恐れもある紙媒体の書類の方が、セキュリティリスクが高いといえます。
もし、大事な書類が詰まった鞄を駅のトイレに置き忘れてきたら……。
他社の機密情報が書かれた書類を、他の書類と一緒にクライアントに渡してしまったら……。
考えただけでゾッとしてしまいますよね。
セキュリティ対策も講じたうえで書類の電子化に臨めば、紙媒体時代よりも格段に高いセキュリティ環境で書類を守ることができるのです。
3-6.環境に配慮した会社経営ができる
公益社団法人 古紙再生促進センターが行った『オフィス発生古紙実態調査報告書』によると、企業から排出される紙ゴミの排出量は、
- OA用紙:従業員1人あたり5.0kg/年
- シュレッダー紙:従業員1人あたり10.3kg/年
となり、OA用紙・シュレッダー紙をあわせると、従業員1人あたり15.3kgもの紙ゴミが毎年排出されていることが分かりました。
書類を電子化すれば、紙ゴミの量を大きく削減することができ、貴重な紙資源を守ることができます。
つまり、書類の電子化を通じて環境保全に貢献することができるのです。
環境保全に努める会社は公益性のある会社とみなされますので、社会的な評価を高めることもできるでしょう。
SDGsの観点からも、こうした環境保全への取り組みは積極的に行うべきと考えられます。
SDGs(エス・ディー・ジーズ)とは 2015年9月の国連サミットにおいて、加盟国の全会一致で採択された国際目標のこと。 「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」の頭文字を取って「SDGs」と呼ばれる。 2016年~2030年までの15年間で達成するために掲げられた目標で、持続可能でよりよい世界を目指すことを目的としている。 17のゴール・169のターゲットから構成されており、日本でも積極的に取り組んでいる。 出典:外務省国際協力局『持続可能な開発目標(SDGs)と日本の取組』より |
4.書類を電子化するデメリット5つ
業務効率化や経費削減だけでなく、環境保全にも繋がる書類の電子化。
そのメリットの大きさを知れば、国が率先して書類電子化を進めていることにも納得がいくはずです。しかし、書類を電子化するにあたってはデメリットも発生します。
考えられるデメリットは以下の5つです。
各項目について、順番に深堀りしていきます。
4-1.導入時に多額のコスト・時間が必要となる場合がある
書類の電子化は一大プロジェクトです。
とりわけ、電子化したい書類が多岐にわたる場合、必要コストや時間も膨大になることが考えられます。
書類の電子化には、大きく分けて、
- 自社内で対応
- 外部にアウトソーシング
の2つの方法がありますが、とりわけアウトソーシングした場合にはコストが嵩む傾向にあります。
株式会社無限の調査によると、A4サイズの書類電子化をアウトソーシングした場合、おおよその価格相場は以下のとおりです。
- モノクロ:約4円/枚
- フルカラー:約8円/枚
電子化する書類が10万枚あった場合、すべてモノクロで対応したとしても40万円。
フルカラーの場合は80万円の費用が発生します。
自社内で対応した場合、書類一枚一枚に対して費用が発生することはありませんが、その分時間が嵩むことが想定されます。
書類電子化に適した複合機やスキャナを持っていない場合、こうした機器の導入費用も必要となります。
4-2.書類電子化に伴い新しい業務手順を制定する必要がある
書類を電子化すると、紙媒体のときとは異なる、新しい業務手順を制定する必要があります。
具体的に例を挙げると、
- 電子化する書類と、紙で保管する書類の基準
- 電子化した書類の保管形式
- 電子化した書類の閲覧方式
などの業務手順を、新たに制定し、社内に周知しなければなりません。
電子化した書類の扱い方全般を決めるわけですから、制定には時間がかかることでしょう。しかし、こうした業務手順をしっかり定めておくことが、電子化書類のスムーズな運用に繋がります。
後々トラブルを起こしたり無用な混乱を招いたりしないよう、業務手順は明確に制定しておきましょう。
4-3.紙に比べると一覧性に劣る
紙の書類をデスクいっぱいに広げ、俯瞰的にデータや情報を整理する。
電子化した書類では、そうした作業が行いづらくなってしまいます。
電子化書類を広げられる範囲は、閲覧しているデバイスの画面の広さに限られます。
2枚や3枚であればデスクトップ上に広げられるかもしれませんが、紙の書類ほど多くを一覧で眺めることは困難でしょう。
また、外出時などにスマホやタブレットで書類を閲覧する場合、小さな画面には書類が収まりきらず、何度も画面をスクロールしなければならない可能性もあります。
4-4.すべての書類を電子化できるとは限らない
e-文書法や電子帳簿保存法といった法律が施行された現在、契約書や税務関連書類を含め、ほとんどの書類を電子化することが可能になりました。
しかし、ごく一部の書類については、紙媒体での保管が義務付けられていたり、電子化の際に相手の承諾が必要となったりするものがあります。
とりわけ企業で重要となる契約書について、現時点では電子化できない、あるいは電子化の際に相手の承諾が必要となる書類の種類を見ていきましょう。
現時点では電子化できない書類
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電子化の際に相手の承諾が必要となる書類
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4-5.システム障害で電子書類が閲覧できない可能性がある
インターネット環境や、電子化書類を保管しているオンラインストレージにシステム障害が生じた場合、一時的に電子化書類が閲覧できなくなる可能性があります。
停電時やアクセス過多の時にも、電子化書類の閲覧に支障が出る恐れがあります。
こうしたトラブルを防ぐためには、インターネット環境を整えておくことはもちろん、システム障害に強いオンラインストレージを選ぶようにしましょう。
5.書類を電子化する際に気をつけたい4つの注意点
社内の業務効率改善に大きく貢献してくれる書類の電子化。
書類電子化の導入時にはコストや時間を要したり、社内の理解を深める必要がありますが、一度運用に乗せてしまえば、きっとその便利さに驚くはずです。スムーズに書類電子化を導入・運用するためには、下記の4点に注意しましょう。
5-1.一部の書類は電子化保存が認められていない
書類電子化のデメリットでもお伝えしたとおり、現状の法整備では一部書類の電子化ができない、あるいは相手方の許可が必要となります。
これを把握しないまますべての書類を電子化し、紙媒体の書類を処分してしまうと、後々大きなトラブルに繋がってしまう恐れがあります。
書類を電子化する際には、必ず最新の情報をチェックし、電子化保存できる書類・できない書類を把握しておくようにしましょう。
5-2.「電子保存」と「電子化保存」の違いを把握する
電子化書類には、「電子保存」したものと「電子化保存」したものの2種類があります。
電子保存とは「いちからパソコンで作成、保存した書類」のこと。
電子化保存とは「紙媒体の書類をスキャンして電子化し、保存した書類」のことです。
書類の電子化と聞くと、きっと多くの方が「電子化保存」をイメージすることでしょう。
実際、書類電子化における作業は、大半がこの「電子化保存」にあたります。
しかし、一部の書類には、電子保存は可能でも、電子化保存は許可されていないものがあります。
具体的には、
- 帳簿関係の書類(仕訳帳や現金出納帳など)
- 決算関係の書類(賃借対照表や損益計算書など)
などが電子化保存の対象外となります。
これらの書類を電子化したい場合は、スキャンではなく、いちからパソコンで作成し直す必要があります。
5-3.セキュリティ対策を厳重に講じる
書類電子化のメリットで「書類のセキュリティを強化できる」と述べましたが、それはセキュリティ対策を厳重に講じた場合の話です。
誰もが電子化書類を閲覧できるような状態にしていたり、セキュリティ対策が不十分なオンラインストレージを選んだりしてしまうと、紙媒体での管理時よりもセキュリティリスクが高まる恐れもあります。
電子化書類を保管しておくオンラインストレージは、
- 強力な暗号を用いて書類を暗号化
- 2段階認証機能
- 定期的なセキュリティテストの実施
- ファイルごとに細かく設定できるアクセス権限
などのセキュリティ対策を講じたものを選ぶようにしましょう。
世界中で50万以上のチームが利用しているオンラインストレージ「Dropbox」では、データの安全性を何よりも大切にしています。
ファイルを守り、プライバシーを守り、アカウントを守るために、さまざまなセキュリティ対策を講じ、常に万全の体制を整えています。
書類を電子化する際は、Dropboxのように信頼性の高いオンラインストレージを選ぶことをおすすめします。
5-4.デバイスを問わず閲覧できるデータ形式を選ぶ
社外にいても、スマホやタブレットからいつでも閲覧できる電子化書類。このメリットを最大限に活かすためには、デバイスを問わず閲覧できるデータ形式を選択しなければなりません。
閲覧可能性のあるデバイスをピックアップし、そのデバイスの特徴を頭に入れたうえで、最適なデータ形式を選ぶようにしましょう。
電子化書類のデータ形式については、『9-4.電子化した書類の保管方法を決める』で詳しく解説しています。
6.書類電子化による成功事例3選
続いて、書類の電子化によって大きな成果を得た事例を見ていきましょう。
事例は、それぞれの会社や自治体が抱えていた課題ごとにご紹介しています。
あなたが抱えているものと同じ課題の事例を見、その効果を知ることで、書類電子化を導入すべきかどうかの判断材料としてお役立てください。
6-1.株式会社伊勢半|課題:オフィススペース不足
日本国内だけでなく、海外からも高い人気を集める老舗化粧品メーカー、株式会社伊勢半。
業績は好調でしたが、これを受けて従業員が増加した結果、本社のオフィススペースが不足するという課題を抱えていました。
当初は、オフィスデザインの変更や事業所の転移による対応を考えていましたが、時間が経てばまた同じ事態に陥るとの懸念を抱いた伊勢半。
そこで、2017年から紙文書削減・文書管理改善プロジェクトへの取り組みを開始しました。
まずは、社内にある文書の洗い出しから始まった本プロジェクト。
その後「廃棄」「電子化(スキャニング)」「外部倉庫へ移管」の3種類に分類すべく、専門業者とともにガイドラインを作成していきました。
結果、既存の紙文書の約6割を削減することに成功した伊勢半。
雑然としていたキャビネットには空きスペースが生まれ、社員からも「仕事がやりやすくなった」という評価の声が多く聞かれているといいます。
課題:従業員増加によるオフィススペースの不足 書類を電子化した結果: 既存紙文書の約6割の削減に成功し、スペース確保を実現 紙文書削減によって確保できたスペースにリフレッシュルームを整備 |
参考:『株式会社伊勢半本店様 事例 – いいじかん設計 | コニカミノルタ』
6-2.コニカミノルタジャパン株式会社|課題:社内申請の効率の悪さ
複合機やプリンターなどの販売を行うコニカミノルタジャパン株式会社では、2013年に働き方改革プロジェクトを発足。
社内外の環境整備やテレワークの推進などと共に「保管文書ゼロ化」を掲げ、2016年から全社運用を開始しました。
保管文書ゼロ化にあたって、まずは現状の把握を行ったコニカミノルタジャパン。
紙文書の保管状態や文書の種別、利用頻度や利用状況などを、現場へのヒアリングも行いながら細かく調査していきました。
その結果、ワークフローの流通過程で、各部門に同じ文書が何個も保管されていることが発覚。そのために、社内申請にかかる工数が肥大化し、無駄時間を生じていたことが分かりました。
これを解決すべく取り入れたのが「社内申請書の電子化」です。
すると、社内申請1件あたりの処理工数が、
- 紙書類の場合:1件あたり37分
- 電子書類の場合:1件あたり11分
と大きく改善。
これによって削減できた業務処理工数は、全社あわせて12,000時間/年に及ぶといいます。
1件あたりで見ると26分というささやかな差に思えますが、全社かつ年間で見ると、とんでもなく大きな改善であることが分かります。
課題:同じ文書が各部門に重複して保管され、社内申請にかかる工数が肥大化 書類を電子化した結果: 社内申請1件あたりの処理工数を26分/件削減 全社では12,000時間/年もの無駄時間削減に成功 |
参考:『富士山1.2倍分の文書を86%削減?!コニカミノルタジャパンの働き方改革事例 – コラム – いいじかん設計 | コニカミノルタ』
6-3.長野県長野市|課題:紙資料作成にかかるコスト・手間
長野県長野市では、会議用資料のために大量の紙が必要とされ、多大なコストと手間がかかることに課題を抱いていました。
頻繁に開催される会議ごとに積み重ねられ、やがて廃棄されていく膨大な量の紙資料。
見かねた市長からペーパーレス化できないかとの指示があり、課題解決に向けた取り組みが始まりました。
早速、平成21年4月からペーパーレス会議を実施し始めた長野県長野市。
各出席者の座席にはパソコンが設置され、発言者が操作するパソコンと同じ画面が表示されるシステムを導入したことで、ペーパーレス会議を実現しました。
書類電子化によるペーパーレス会議実現のために、長野県長野市では以下のルールを設けていました。
- 最初からすべての会議をペーパーレス化するのではなく、一部の会議から試験的に導入
- パソコンでの閲覧性を高めるべく、ペーパーレス会議用の資料作成方法をルール化
- スムーズな運用のため、会議資料の提出・格納方法をルール化
こうしたルールに基づいて取り組みを行った結果、長野県長野市では、当初目標を超える約14万枚の紙の使用を削減することに成功。
カラーコピー代1枚21円換算で、およそ300万円もの印刷費用を削減することができました。
また、これまでは約2時間を要していた会議の準備時間も、平均して20分以内にまで圧縮。
資料の差し替えなどもスムーズに行うことが可能になり、課題であったコスト・手間を大きく削減することができました。
課題:会議用資料のために大量の紙が使用され、コストと手間が膨れ上がっていた 書類を電子化した結果: 主要会議のペーパーレス化実現により、およそ300万円もの印刷費用を削減 会議の準備時間も、紙書類時代の約2時間から平均20分以内にまで圧縮 資料の差し替えもスムーズに行えるようになり、大きく手間を削減することに成功 |
参考:『ペーパーレス会議に関する取組事例(長野県長野市)|総務省』
7.書類を電子化した場合としてない場合の比較
6つのメリットと5つのデメリットを持つ書類の電子化。
その違いを分かりやすくするため、書類を電子化した場合としない場合(紙媒体書類のまま)の比較表を作成しました。
自社で書類の電子化を導入すべきかどうかお悩みの方は、ぜひ下記の表をご活用ください。
各項目において、優位性のある部分は青色太字で表示しています。
書類を電子化した場合 |
書類を電子化しない場合 |
|
書類の形式 |
データ |
紙 |
書類の保管場所 |
インターネット or サーバー上 |
オフィスなどのスペース |
書類の印刷・保管コスト |
不要 |
必要 |
ストレージ利用料金 |
必要 (自社サーバーに保管する場合は必要なし) |
必要なし |
書類電子化費用 |
必要 |
必要なし |
書類の検索スピード |
KWなどを用いて瞬時に検索可能 |
ファイリングされたものを一枚一枚探す |
社外からの書類閲覧 |
可能 |
不可 |
書類の同時閲覧 |
可能 |
不可 |
書類の劣化・紛失リスク |
なし |
あり |
書類のセキュリティ |
暗号化などで高度な対策が可能 |
持ち出し先での紛失などのヒューマンエラーの可能性あり |
8.書類電子化に向いている会社・向いていない会社
さまざまな企業や自治体で大きな成果を収めている書類の電子化。
国が旗振り役となって推進している理由も、きっとお分かりいただけたことでしょう。
しかし、すべての会社で書類電子化の恩恵を受けられるとは限りません。
書類電子化のメリットは非常に大きいですが、もちろんデメリットもあります。
大切なのは、自社にとってメリット・デメリットどちらの比重が大きいかを見極めることです。
この段落では、これまでご紹介してきた情報をもとに、書類電子化に向いている会社と向いていない会社を分類しています。
自社で書類電子化を導入すべきかどうかお悩みの方は、ぜひこの段落をご参考ください。
8-1.書類電子化に向いている会社
早速、書類電子化に向いている会社から見ていきましょう。
自社の現状を振り返りながらご覧ください。
書類電子化が向いている会社 |
紙の書類を日々作成している |
紙の書類の利用頻度が高い |
紙の書類を用いる会議の開催頻度が高い |
取引先などに紙の資料を持参している |
オフィススペースが狭くなってきた |
業務効率改善の必要性を感じている |
社員の外出やテレワークが多い |
機密性の高い書類を取り扱っている |
環境に優しい会社運営がしたい |
紙の書類を日常的に利用している会社であれば、書類の電子化によって、コストや手間を大きく削減することができると考えられます。
会議や取引先への説明に紙媒体の書類を用いている場合も同様です。
近年はテレワークを導入する企業も増えていますが、書類を電子化すれば、テレワーク環境下でもオフィス同様の働き方に近づけることができますよ。
8-2.書類電子化が向いていない会社
続いて、書類の電子化に向いていない会社を見てみましょう。
紙の書類の利用頻度やその活用方法、種類などによっては、書類の電子化が向いていない場合があります。
書類電子化が向いていない会社 |
紙の書類の利用頻度が極めて低い |
紙の書類を広げて議論することが多々ある |
電子化書類を閲覧できる環境が整っていない |
電子化できない書類の取り扱いが多い |
紙の書類を利用する機会がほとんどない場合、書類を電子化しても、あまり大きな成果が得られないかもしれません。
紙の書類ならではの一覧性が重要となったり、電子化できない書類を多く取り扱っている場合も、書類の電子化による恩恵が得づらい可能性があります。
電子化した書類は、当然、パソコンやタブレットなどのデバイスから閲覧することとなります。
こうした環境が整っていない会社であれば、書類の電子化を導入・運用することは難しいでしょう。
いずれにせよ、書類の電子化を導入すべきかどうかを判断するには、紙の書類の現状を把握することが必要不可欠です。
自社では紙の書類をどれくらい使用しているのか、その種類や活用方法はどういうものかを把握したうえで、書類の電子化に踏み切るかどうかを判断するようにしましょう。
9.書類を電子化する際に必要な下準備
書類の電子化を導入すると決まったら、書類電子化の下準備に進みましょう。
いかに丁寧に下準備を行い、ルールを明確にしておくか。この2点が、書類電子化のスムーズな導入・運用を左右するといっても過言ではありません。
書類電子化を成功させるためにも、このステップは必ず押さえておきましょう。
9-1.書類の電子化ルールについて把握する
まずは、書類の電子化について知っておくべきルールを把握しましょう。
現在、日本国内では、
という2つの法律によって、書類の電子化が認められています。
これらの法律には、文書の電子化にあたって満たしておくべき要件も定められています。それぞれについて見ていきましょう。
9-1-1.e-文書法が定めている要件
e-文書法では以下の4要件が定められており、書類の電子化にあたっては、これらのすべてあるいは一部を満たしていることが求められます。
見読性の確保 |
電子化された書類が、パソコンやスマホなどのデバイスで明瞭に読み取れること。 プリントアウトの際にも書類の内容が明瞭に読み取れること。 |
完全性の確保 |
電子化した書類が元書類の内容と同一であること。 保存義務期間中に改ざん・消去されていないことが証明できること。 |
機密性の確保 |
電子化した書類データへのアクセス制限を設けるなどし、関係者以外の人間が電子データを閲覧できないよう環境整備すること。 サイバー攻撃による情報漏えいリスクを避けるため、セキュリティを強化すること。 |
検索性の確保 |
必要なときに目的のデータを検索できる環境を整備すること。 |
求められる要件の範囲は電子化する文書の種類によって異なります。
例えば、国税関係書類や医療情報は、4要件すべてを満たしている必要があります。一方、建築図書や人事関係書類は、見読性の確保ができていれば問題ありません。
9-1-2.電子帳簿保存法が定めている要件
国税関係書類の電子化について定めた電子帳簿保存法では、以下の3要件を定めています。
会計帳簿などの書類を電子化する場合は、3要件すべてを満たしていなければなりません。
真実性の確保 |
電子データの削除・訂正などの操作履歴を確認できる環境を整備すること。また、他の国税関係書類との相互関連性も確保されていること。 書類電子化の際は、これらを裏付けるシステム概要書や操作説明書などを備えていなければならない。 |
可視性の確保 |
電子化された書類が、パソコンやスマホなどのデバイスで明瞭に読み取れること。また、速やかにプリントアウトできる環境を整備し、プリントアウトした書類の内容が明瞭に読み取れること。 |
検索性の確保 |
日付や金額、勘定科目などに応じた速やかなデータ検索ができる環境を整備すること。 |
これらの法律は定期的に見直され、法改正によって規制の追加・緩和が行われることがあります。
書類を電子化する際には最新の法律を把握し、ルールに則って対応を進めるようにしましょう。
9-2.紙の書類の現状を把握する
書類を電子化するにあたって、紙の書類の現状把握は欠かせないステップです。
具体的には、以下のような項目を洗い出すことが求められます。
- 紙文書の種類
- 紙文書の保管状態
- 紙文書の利用頻度・利用状況 など
次のステップである「必要な書類と不要な書類への仕分け」や「データの保管方法」などは、こうした現状をもとに定めていくこととなります。
紙書類の現状を細かくかつ正確に把握できていれば、以降のステップをスムーズに進めることができます。紙の書類運用時の問題点が見つかった場合には、書類の電子化ルールを定める際に、改善点として組み込むことも可能です。
現場にもヒアリングを重ねつつ、丁寧に現状を洗い出すようにしましょう。
9-3.電子化が必要な書類と不要な書類に仕分けする
紙の書類の現状を把握できたら、電子化が必要な書類と不要な書類に分けていきましょう。
最終的に、既存書類は以下の4つに仕分けされます。
- 電子化して保管する書類
- 紙のままオフィスに保管する書類
- 紙のまま外部に保管する書類
- 廃棄する書類
以下の手順で仕分けていくとスムーズです。
現時点では電子化できない書類の種類について、以下でおさらいしておきましょう。
現時点では電子化できない書類
|
電子化の際に相手の承諾が必要となる書類
|
9-4.電子化した書類の保管方法を決める
最後に、電子化した書類の保管方法を定めましょう。
書類電子化の根幹を支える屋台骨ともいうべき重要なものですので、慎重かつ丁寧に作業を進めましょう。
このステップで決めるべき項目は以下の7つです。
書類電子化にあたって定めるべき保管方法 |
書類のサイズ |
書類の解像度 |
書類のファイル形式 |
ファイル名のルール |
フォルダ構造のルール |
属性データの入力ルール |
OCR処理の有無 |
それぞれについて見ていきましょう。
9-4-1.書類のサイズ
一般的に、オフィスで使用する書類のサイズの多くはA4サイズです。
A4サイズ以外の書類を電子化する場合、
- 実寸サイズのまま電子化する
- A4サイズにリサイズして電子化する
のどちらで対応するかを決めておきましょう。
9-4-2.書類の解像度
画像の密度を表す「解像度」。
解像度が高ければ高いほど鮮明な画像を保存することができますが、その分ファイルサイズが大きくなってしまううえ、スキャンにも時間がかかってしまいます。
- 一般的な書類:200dpi
- 細かい文字や写真がある書類:300~400dpi
- 手書きの書類:300~400dpi
を目安にすると、画質とファイルサイズの釣り合いを取ることができるでしょう。
9-4-3.書類のファイル形式
ファイル形式にはさまざまなものがありますが、電子化した書類の場合、主に利用されるファイル形式は下記の3つです。
- JPEG
- TIFF
とりわけ多く利用されているファイル形式はPDFです。
PDFはバージョン1.7がISO32000-1として認定された国際標準規格で、日本のみならず、諸外国においても一般的な電子化書類のファイル形式として利用されています。
よって、特に理由がない場合は、PDF形式で電子化書類を保存することをおすすめします。
もちろん、JPEGやTIFFにも強みはありますので、
- 写真や画像など、階調が豊富な書類はJPEG
- 図面など、サイズが大きい書類はTIFF
のように、書類の特徴に応じてファイル形式を変更することもいいでしょう。
9-4-4.ファイル名のルール
電子化した書類の検索性を高めるために、ファイル名のルールも設定しておきましょう。
ファイル名に含む内容としては、
- 書類の種別
- 書類の関係先名称
- 書類作成の日付
- 書類の版番号
などが一般的です。
汎用性を高めるため、機種依存文字などは使わないように注意しましょう。
9-4-5.フォルダ構造のルール
電子化した書類の検索性・閲覧性を高めるためには、適切なフォルダ構造が欠かせません。
フォルダ構造の区切り方としては、以下が一般的です。
- 業務内容ごとでフォルダを区切る
- 組織ごとでフォルダを区切る
- 書類の内容ごとでフォルダを区切る
- 年度ごとでフォルダを区切る
9-4-6.属性データの入力ルール
電子化書類に所有者や契約先、契約日などの属性データを入力すれば、さらに検索性を向上させることができます。
データベースとして検索しやすいよう、入力すべき属性データを明確に定めておきましょう。
9-4-7.OCR処理の有無
OCR処理とは、画像の中から文字を見つけ出し、テキストデータ化する技術のことです。
OCR処理によって読み込まれたテキストデータを元に検索することも可能ですので、画像が多い電子化書類の検索性向上に役立ちます。
書類全体にOCR処理を施すのか、一部の書類にのみOCR処理を施すのかなど、ルールを定めておきましょう。
さまざまなOCR処理ソフトがあり、無料で利用できるものも少なくありません。
機能性や処理速度、費用対効果などをもとに、適したOCR処理ソフトを選ぶようにしましょう。
10.書類を電子化する方法は自社運用かアウトソース
すべての下準備を終えたら、いよいよ書類を実際に電子化するステップに入ります。
書類電子化の成否を分ける重要作業は下準備で終えていますから、あとは手を動かすだけです。
書類を電子化する方法は「自社運用」か「アウトソース」の2択です。
それぞれの違いを見てみましょう。
自社運用 |
アウトソース |
|
対応する人 |
自社内の担当者 |
外部の書類電子化サービス会社 |
準備 |
複合機やスキャナーなど、書類を電子化できる機器 |
特になし |
費用 |
安い |
高い |
工数 |
重い |
軽い |
自社運用で書類を電子化する場合は、アウトソースした場合よりも費用を安く抑えることが可能ですが、電子化のための工数が発生します。
また、外部からアドバイスを受けることもできないため、書類電子化のルールなどもすべて自社で考える必要があります。
アウトソースで書類を電子化する場合は、電子化のための作業はすべてお任せできますので、工数は軽く済ませることが可能です。
しかしその分、費用が嵩む可能性が高くなります。
11.自社運用に向いている会社・アウトソースに向いている会社
それでは、あなたの会社は自社運用とアウトソースのどちらに向いているのでしょうか。
結論から言うと、書類電子化に割ける社内リソースがある場合は自社運用がおすすめです。
社内リソースがない場合にはアウトソースが適しています。
電子化したい書類があまり多くないようであれば、社内リソースが少なくても対応可能でしょう。
それ以外の「自社運用が向いている会社」と「アウトソースが向いている会社」の特徴は以下のとおりです。
自社運用が向いている会社 |
書類電子化の費用をなるべく安く抑えたい |
書類電子化に適した複合機やスキャナーがある |
書類電子化に割ける社内リソースがある |
外部に持ち出せない機密性の高い書類が多い |
電子化したい書類があまり多くない |
アウトソースが向いている会社 |
書類電子化に割ける社内リソースがない |
書類電子化に適した複合機やスキャナーがない |
電子化したい書類が多い |
書類電子化にあたってアドバイスがほしい |
「社内リソースはそう多くないが、なるべく費用は抑えたい…」
そんな時には、試験的に、一部の書類のみを自社運用で電子化してみるのもいいでしょう。
実際に手を動かせば、どのくらいのリソースでどのくらいの書類を電子化できるかが見えてくるはずです。運用後に残りの書類も自社運用できそうかどうかを判断することをおすすめします。
12.書類電子化を成功させるためにDropboxがおすすめ
「書類の電子化」という作業自体はゴールではなく、スタートラインに過ぎません。
書類を電子化したあと、いかにスムーズかつ安全に運用できる環境を作り上げるか。
これによって、書類電子化によって得られる効果の幅が大きく左右されます。
電子化した書類をスムーズかつ安全に運用するには、オンラインストレージ「Dropbox」がおすすめです。
Dropboxを用いて電子化書類を運用・管理すれば、以下のメリットが得られます。
電子化書類の管理・共有のしやすさ
- あらゆるコンテンツを1ヶ所にまとめて保管
- さまざまなデバイスからファイルにアクセス・保管が可能
- Dropbox Paperを用いて、1つのコンテンツを複数人でリアルタイム共有
効率的な作業環境
- デスクトップアプリを利用してストレスフリーな作業環境を実現
- SlackやZOOMなどの各種ツールと連携可能
50万社が認めた安全性
- ユーザーごとに適切なアクセス権を付与
- 30日以内であればすべてのデータを復元・巻き戻し可能
- 50万以上の企業に選ばれる実績
-
「せっかく頑張って書類を電子化したのに、オンラインストレージの使い勝手が悪いせいで全然業務効率が上がらない…」
そんなことになってしまわないために、ぜひDropboxをご活用ください。
まとめ
書類の電子化について、基本的な内容やメリット・デメリット、書類電子化の進め方まで、幅広く解説してきました。
改めて、この記事でご紹介した内容を振り返ってみましょう。
書類を電子化する6つのメリット
- 書類の検索・閲覧を効率化できる
- 書類作成にかかる諸経費を削減できる
- 書類保管に必要なスペースを削減できる
- 書類の劣化・紛失を防ぐことができる
- 書類のセキュリティを強化できる
- 環境に配慮した会社経営ができる
書類を電子化する5つのデメリット
- 導入時に多額のコスト・時間が必要となる場合がある
- 書類電子化に伴い新しい業務手順を制定する必要がある
- 紙に比べると一覧性に劣る
- すべての書類を電子化できるとは限らない
- システム障害で電子書類が閲覧できない可能性がある
書類電子化が向いている会社
- 紙の書類を日々作成している
- 紙の書類の利用頻度が高い
- 紙の書類を用いる会議の開催頻度が高い
- 取引先などに紙の資料を持参している
- オフィススペースが狭くなってきた
- 業務効率改善の必要性を感じている
- 社員の外出やテレワークが多い
- 機密性の高い書類を取り扱っている
- 環境に優しい会社運営がしたい
書類電子化が向いていない会社
- 紙の書類の利用頻度が極めて低い
- 紙の書類を広げて議論することが多々ある
- 電子化書類を閲覧できる環境が整っていない
- 電子化できない書類の取り扱いが多い
書類の電子化についての知識習得、および、自社でも書類を電子化すべきかどうかの判断材料として、この記事が役立ちましたら幸いです。