目次
- 革新的なビジネス文書共有プラットフォーム、Dropbox DocSendとは?
- Dropbox Library の構築背景〜より効率的な情報管理を目指して
- 日本版 Dropbox Library「Dropbox Library Japan」の構築から提供まで
- Dropbox Library Japan の運用のコツ
- 最後に
1. 革新的なビジネス文書共有プラットフォーム、Dropbox DocSend とは?
DocSend は、ビジネス文書の共有、管理及びトラッキングを効率化するためのプラットフォームです。Dropbox が提供するこのサービスは、単なるファイル共有を超え、ドキュメントの安全性と閲覧状況の追跡機能を組み合わせることで、よりスマートなドキュメント管理を実現します。
主な機能と利点
1. シンプルなドキュメント共有
PDF、PowerPoint、Word、動画などのファイル形式をシンプルなリンクで簡単に共有できます。ファイル単位での共有や複数ファイルのコンテンツを1 か所にまとめて「スペース」という名のバーチャルデータルーム(VDR)の機能で様々なコンテンツのトラッキングデータを入手できます。 1 つのファイルやスペースに対して、複数の共有リンクが作成可能できるのもメリットの1つです。
2. 高度なトラッキング機能
共有したドキュメントが誰によって、どのページを、どの程度の時間閲覧されたかをリアルタイムで追跡することができます。この機能により、送り主は送付先がドキュメントのどの部分に最も興味を持っているかを把握し、効果的なフォローアップを行うことが可能です。
3. アクセス制御とセキュリティ
閲覧者に対するアクセス制限を細かく設定できるため、機密情報の取り扱いも安心です。パスワード保護やリンクの有効期限設定に加え、特定のユーザーやドメインにのみ閲覧を許可することができます。また、機密情報を共有する際は閲覧前に NDA を締結させる機能もあります。1つのコンテンツに対して異なるアクセス権限のリンクを作成することで、各リンクに対してアクセス制御を設定できます。
4. データ分析とインサイトの提供
DocSend は、ドキュメントの閲覧データを分析し、送り主(営業やマーケティングなど)の戦略に役立つインサイトを提供します。どの資料がどのように活用されているかを正確に把握できるため、よりデータに基づいた意思決定が可能です。
日本での事例紹介
DocSend はスタートアップ企業が投資家向けにスライドを共有する場面や、営業チームがクライアントに提案書を送付する場面、または契約書のレビューや承認プロセスの効率化を促すなど、さまざまなビジネスシーンで活用されています。
以下の事例では DocSend を活用することでどのような効果が得られたのかをご紹介します。
事例1:DocSend を活用した基幹システムマニュアルの管理方法
ある大手建設企業では、基幹システムのマニュアル等の管理・共有するために DocSend を導入しました。
これにより、パスワード保護、有効期限やドメイン制限を活用し、機密性の高いマニュアルを安全に共有・管理するようになったため、セキュリティの向上が実現できました。また、リンクで最新のマニュアルを一元管理したので、リアルタイムで閲覧データをトラッキングすることで、利用状況を分析し、効果的な改善やサポートが行えるようになりました。トラッキングデータをもとに、よく閲覧されているコンテンツの内容を充実させられるようになることで、次回のマニュアル更新にも役立てることが可能となりました。
事例2:人材採用における DocSend の活用
あるマーケティング会社では、採用候補者に対して企業紹介資料や職務記述書を送付する際に DocSend を利用しました。候補者が同社のどの事業内容に最も関心を持っているかを把握し、面接での質問内容やフォローアップのアプローチを調整することで、候補者の関心度や適性を見極めるプロセスが効率化されました。
2. Dropbox Library の構築背景〜より効率的な情報管理を目指して
Dropbox Library Japan とは何か?:
Dropbox Library は Dropbox がパートナー企業の皆様をプリ・ポストセールスで支援するために提供している Dropbox の製品資料ライブラリーです。現在、Dropbox の世界各国で利用されており、英語やスペイン語など、各国の言語に対応したサイト*(バーチャルデータルーム)があります。日本向けには「Dropbox Library Japan (DLJ)」を用意しています。DLJ は年間数千回以上アクセスされる人気のサイトです。
Dropbox Libraryの使い方はシンプルです。下図 1 の ① ② で Dropbox 側が用意した製品資料に各国のパートナーが自分の言語のサイトにアクセスします(③)。お客様に合った技術資料(スライドや動画など)を探して、見つけた資料をお客様にリンクで共有します。
このシステムのバックエンドで使われているのが、「Dropbox DocSend」です。
*ここではわかりやすくするため DocSend の「バーチャルデータルーム(VDR)」または「スペース」についてサイトと呼ばせていただきます。
今までの資料提供に関する課題:
DLJ を構築する前は、図2の左側に示したように、4 つのステップで Dropbox の共有リンクやファイル転送(Dropbox Transfer)等の機能を利用ながら、必要なユーザーへセキュアに情報共有をしていました。しかし、パートナー様からは、Dropbox の担当者を通じてリンクをもらうよりも、直接資料を探したいという要望や、エンドユーザーに資料を共有しても、本当に資料をみてもらっているかがわかりにくい、という声をいただいていました。
※パートナー様・エンドユーザー様への資料の共有方法において、DocSend 利用前および利用後状況は下図 2 をご参照ください。
2. ※パートナー様・エンドユーザー様への資料の共有方法
資料提供の課題に対する解決策:
パートナー企業や社内の声を受け、Dropbox の技術部門であるソリューションコンサルタントにより改善策について検討した結果、弊社ソリューションの一つである DocSend にて運用を開始することを決定しました。DocSend ではサイトを簡単に作成して、特定のユーザーに共有できるので、パートナーがサイトにアクセスして必要なコンテンツを直接エンドユーザーへ提供することができます。また、共有後の分析が非常に得意なソリューションです。
DocSend を使用すると、作成した各サイトのアクセス数や、サイト内の個々のコンテンツごとのアクセス数を把握するなど、様々な角度から詳細な分析が可能です。 特に注目したいのが、各コンテンツ内の個別のスライドに対する閲覧者の関心度を、滞在時間を基に分析できる点です。これにより、単に資料を共有するだけでなく、共有後のお客様の反応を詳しく理解できるようになりました。
さらに、顧客が提供した資料の”どの部分”に最も興味を持っているかが明確になるので、営業チームはその情報を元に、顧客が関心の高い領域をさらに深掘りしたり、次の効果的なアクションを計画したりすることが可能になりました。
3. 日本版 Dropbox Library「Dropbox Library Japan」の構築から提供まで
Dropbox Library Japan は DocSend を使っているため、あっという間にコンテンツの入れ物(箱)を作ることができました。構築は、コンテンツ内のフォルダ構成と、サイト(VDR)の構成の 2 段階のみで、作業は数クリックで完了します。ただし、その後のコンテンツ収集と追加には 1 日ほど時間を要しました。流れについてはもう少し詳しい内容を以下掲載しています。
実際のコンテンツ内のフォルダ構成:
DocSend は大きく 2 つの領域、「コンテンツ」、「スペース(VDR)」に分かれており、「コンテンツ」の領域にアップロードした資料を、目的別に作成した「スペース」の箱に入れていく流れです。なので、最初のステップとして DLJ のプロジェクトでは、「コンテンツ」の領域に公開可能な資料をアップロードしていきました。コンテンツ領域内のフォルダ構成は下図 3 のとおりで、言語ごとに分かれているフォルダ内に各言語の資料を管理しています。さらに、各言語ごとのフォルダは、静的コンテンツ(Read)、動的コンテンツ(Watch)、Navattic を使ったインタラクティブなコンテンツ(Touch)に分かれています。
実際のサイト(VDR)内の構成:
コンテンツ内に入れたリソースを今度は表示用のサイトであるスペース(VDR)に追加していきます。このサイトは直接パートナー企業がアクセスするので、資料が探しやすい構成として、製品別(ソリューションごと)、機能別(製品・機能ごと)、用途別(事例、新機能紹介等)のフォルダを作成しました。また、表示上、セクションを分けて記載することで、わかりやすくしています(左図 4)。DocSend ではサイトを複製することが可能なので、構成を英語版の Dropbox Library から複製することで構築時間を削減しました。
サイト完成後に、パートナー用の共有リンクを作成して共有しました(右図 5)。「サイトへのアクセスにはメールアドレスを必須とする」という設定を選択しているので、パートナーがどのコンテンツにアクセスされたか、興味を持たれているのかが確認できます。DocSend を使う大きなメリットとして、このリンクの設定にあります。今回の DLJ は良い資料を一般公開して分析を行うという意図があるため、メールアドレスの要件のみを設定していますが、さらに機密性の高い資料を共有する場合はパスワード、有効期限、透かし等を設定することでサイトの資料をセキュアに共有できます。
4. Dropbox Library Japan の運用のコツ
コンテンツ管理:
2023 年 9 月にサイトが完成・運用を開始しましたが、コンテンツは常に更新・追加が必要です。DocSend は、すでに作成したコンテンツのリンクを変更することなくコンテンツをバージョンアップできるので、パートナーやお客様は、都度お知らせしなくても常に最新の情報にアクセスできます。また、バージョンごとのアクセス分析を行うことが可能です(下図6)。
監査・分析ログの定期的な確認:
コンテンツ管理の他に、DLJ では監査ログを定期的に確認して不適切なアクセスがないか、ファイルが間違って追加・削除されていないか、共有リンクの権限が正しく設定されているか確認を行っています(下図 7)。DLJ では、共同編集者が限定されているのでリスクは最小限に抑えられますが、それでも監査ログの定期的な確認は非常に重要だと感じています。
また、DLJ では DocSend の分析機能を使い、統計情報から人気のコンテンツ、アクセス数を把握しています(下図8)。「分析」タブに定期的にアクセスすることにより、誰がサイト内のコンテンツにアクセスしているのか、また、コンテンツのどの部分に多くの時間を費やしているのか確認できるので、どのスライドに興味を持たれているのか、分析を元に提案書を作成したり、打ち合わせ内で機能の深掘りをしたり、次のアクションに活かすことが可能です。
5. 最後に
このブログを最後まで読んでいただき、ありがとうございます!1 年前に DLJ のサイトを立ち上げる決断をした時は、実際に利用されるのか等の不安要素はありましたが、DocSend を使えばサイトが 数クリックで構築できるという手軽さもあり、チーム内で「まずはやってみよう!」という考えに至りました。
開始時の不安はどこへやらで、現在は数多くのアクセスをいただいております。最近実施したアンケートでは、「営業・パートナー様が個々に製品や更新情報を送信することなく、効率的にパートナー・エンドのお客様へ提供可能な点が便利です」という声もいただいております。
グローバルで Dropbox Library を統括する Juan Lopez 氏もこのようにコメントしています。
「日本における Dropbox とパートナーの強力な協力関係と信頼が築かれていることに、とても嬉しく思っています。Dropbox Library はコンテンツやサポート・営業資料にフルアクセスできるようにしており、パートナーは自分たちのニーズに最も合ったものを自由に選べる、まるでビュッフェのような環境が整っています」
今後も改善を重ね、さらに多くの価値を提供できるように努力してまいりますので、ぜひ引き続きご活用ください。パートナー様からのフィードバックも心よりお待ちしております。
これからも Dropbox Library Japan 応援よろしくお願いします!