企業のブランド力を高めるためには、膨大なチームワークの積み重ねが必要です。あるブランドが文化の象徴にまで成長すると、そのブランド アイデンティティを長年身近に感じていた消費者は、自分がともに成長を果たした気持ちになります。このようなブランドを築き上げた企業は、熱心なファンである顧客との関係を守るために、どのような方法で共同作業を行っているのでしょうか。
今回、マーケティング イベント「The Gathering」の開催を前に、世界を代表する著名企業のリーダーたちが、いかにして共同作業を促進し、長期的なカスタマー ロイヤルティを構築しているかについて語ってくれました。
目次
- Marvel Studios:チャネルを広げる
- Cheetos:人と人のつながりが第一
- M&M’s:ひらめきはチームの多様性から
- Porsche:社員の起業家精神を育む
- The North Face:説明責任を企業文化にする
- YETI:「終わらない学び」を企業文化にする
1. Marvel Studios:チャネルを広げる
マーベル・スタジオのグローバル パートナーシップおよびマーケティング担当シニア バイス プレジデントを務めるミンディ・ハミルトン氏は、ABC や ESPN、テーマ パーク、消費財、ニュー メディア、デジタル メディア、ソーシャル メディアなど、多様なプラットフォームを保有していることが同社の強みであり、全社規模での共同作業を生み出す要因になっていると語ります。
私たちは、さまざまな事業やプラットフォームを連携させ、ブランドとしてのストーリーを紡ぎ、成功を収めてきました。
私が思うに、パートナーシップの鍵は共同作業にあります。
その相手は、ブランドやファンだけではありません。
社内でもたくさんの共同作業が行われています。テーマ パーク、テレビ局、広報、デジタル メディア、エクスペリエンス パートナーなど、相手を問わず常に全員で一致団結できるよう努めています。— ミンディ・ハミルトン氏
2. Cheetos:人と人のつながりが第一
チートスのシニア バイス プレジデント兼最高マーケティング責任者を務めるジェニファー・サエンス氏は、チームの共同作業を促進するためには、個人レベルで人と人を結び付けることが重要だと語ります。
そのため同氏は、会議の冒頭で、最近のプライベートでの出来事について出席者から話を聞いたり、外の世界で物事を学びやすい雰囲気を作ることを心がけているそうです。
さまざまなケース スタディを行いましたし、社外のメディア パートナーに他社とのプロジェクト事例を紹介してもらったりもしました。
私たちはつい、自分だけの世界に閉じこもって、自社のブランドや経営方針にばかり目を向けてしまいがちです。
しかし、そこから一歩離れて、世界を広い視野で見てみると、学べることがたくさんあるのです。— ジェニファー・サエンス氏
3. M&M’s:ひらめきはチームの多様性から
M&M’s でグローバル ブランド ディレクターを務めるニルス・ワイゲルト氏のチームは、メンバーの多様なバックグラウンドや経験からひらめきを得て、これまでにない画期的なアイデアを生み出しています。
メンバーが個人として幸福でなければ、共同作業はうまくいかないと私は考えています。創造力豊かな人たちと一緒にいると、たくさんの笑いが生まれ会議がとても楽しい場になります。彼らの語る話は、その場にいる全員にさまざまな刺激を与えてくれます。
1 つのアイデアからまた別のアイデアが生まれてくる。これこそが、新しいものを生み出すイノベーションの源泉といえるでしょう。— ニルス・ワイゲルト氏
4. Porsche:社員の起業家精神を育む
ポルシェのマーケティング コミュニケーション担当ディレクターを務めるスコット・ベイカー氏は、社員の起業家精神を育むことが大切だと言います。
社員の離職や異動が起きた場合でも、他の社員の成長を後押しし、欠員を補うことができるからです。
もしリソース面で問題が生じた場合には、他の誰かを助けるために「自分の道から外れることをいとわない人物」を頼ることにしているのだそうです。
企業経営という点でいえば、現状は極めて良好であり、販売実績は過去最高を記録しています。
これは、リソースが足りなくても、どこかに欠員があっても、前に進むことのできる(欠員をカバーできる)人材が揃っているという証しです。— スコット・ベイカー氏
5. The North Face:説明責任を企業文化にする
ザ・ノース・フェイスのグローバル マーケティング担当責任者であるトム・ハーブスト氏は、チームのメンバーに行動の自由を与えつつ、その結果に対して説明責任を負わせることが、共同作業の促進につながると考えています。
このアプローチのおかげで、メンバー同士が積極的にサポートしあうようになったそうです。
正直なところ、自分たちのことをマーケティング チームだとは思っていません。ザ・ノース・フェイスという企業のカルチャーを築き、そのストーリーを人々に届けることが、自分たちの仕事だと考えています。
会社の敷地内には、ブランド アイデンティティを製品として形にするための美しいキャンパスがあります。そこは広大なアウトドア空間で、テントをはじめとする自社製品がいつでも設置されています。
チームのメンバーには、同じ部門の人間だけではなく、製品開発の担当者たちとも直接話をするようにすすめています。それが、ザ・ノース・フェイスのストーリーを深く理解するためのきっかけとなるからです。
こうした他部門との交流が、チーム内の共同作業を促進することにつながっているのだと思います。— トム・ハーブスト氏
6. YETI:「終わらない学び」を企業文化にする
イエティのマーケティング担当ディレクターであるビル・ネフ氏は、学びの雰囲気を作ることが重要だと考えています。
こうした企業文化が生み出すオープンな対話によって、「我が道を行く」社員たちが再びひとつになり、全員が同じ方向を向けるようになったそうです。
共同作業を行っていると、他の人と話したいと思うようになるものです。
マーケティング部門には、メディア プランナー、社内プロデューサー、フォト エディターなどの専門家がいます。彼らは皆、それぞれ別の作業を担当しています。
そんな中でも、クリエイティブ部門のメンバーやコピーライターは、マーケティング部門のスポーツ マーケティング担当者やコミュニティ マーケティング チームと共同作業をしながら、話し合うべきことをきちんと話し合っているかチェックしてくれています。— ビル・ネフ氏
この記事以外にも、チームによる共同作業をスムーズに行うためのヒントをご紹介しています。
詳しくは、「仕事のための仕事」をなくすための大事な 8 つのヒントをダウンロードしてご覧ください。