【飛島建設様ご講演】どうするテレワーク!!
実践企業に聞く、現実の壁と苦労 ブログ

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長引く新型コロナウイルスの全世界的な感染拡大に伴い、従業員を守る手段として、テレワーク/リモートワークに関するトピックが多くのメディアで取り上げられています。一方で、現実問題としては多くの企業がその導入に苦労されていますが、その裏側についてはなかなか取り上げられていない状況です。

今回、2020年 4月 17日に実施したオンラインセミナー 「飛島建設様ご講演 – どうするテレワーク!!実践企業に聞く、現実の壁と苦労」 では、Dropbox Business のユーザー企業の中からテレワークを実践されている飛島建設株式会社 小澤 敦様をお招きし、「テレワーク」への取り組みと様々な苦労話をお伺いしました。

このオンラインセミナーでは 、Dropbox Japan 担当営業部門 建設インダストリーリーダーの戸田 麻弥の MC のもと、小澤様より、どういったツールを使っていけば良いか、テレワークに伴う就労規則変更のポイント、うまくいってること、うまくいってないこと等、現場のリアルを紹介してもらう形で進みました。

飛島建設は、明治 16 年創業の老舗建設会社で従業員も 1,300 名を超えます。基盤事業である土木・建築事業に加え、建築コンシェルジュ事業、スマートソリューション事業、スタートアップ企業支援のアクセラレーター事業など、多方面で活動を行っています。特に大型土木プロジェクトでプレゼンスを発揮しています。

目次

  1. 在宅勤務制度の導入経緯(ITインフラ)
  2. 在宅勤務制度の導入経緯(人事・労務制度)
  3. テレワーク向け IT サービス
  4. IT 部門へのフィードバック

1. 在宅勤務制度の導入経緯(IT インフラ)

飛島建設は、東日本震災を契機として、2013 年度にワークスタイル変革・BCP 対策の実施に向けてかじを切りました。まずは全従業員の利用デバイスをノート PC に変更するとともに、本社内会議室にも無線 LAN を導入するなど、ケーブルレスで仕事ができる環境を整えました。2014 年にはタブレット端末導入、2016 年ではデバイスに応じた情報セキュリティ管理規程を見直すことによって、安全に自宅にデバイスを持ち帰られるようの整えた上で、2018 年には在宅勤務制度を正式に開始しました。

モバイルワーク拡大に向けてポケット Wi-Fi ルーターの配付、全従業員VPNライセンスの拡充などのハードウェア面、ソフトウェアの環境を整えました。今回の状況は全くの想定外ではあったものの、正直なところ、準備をしていてよかったと実感しています。Dropbox 等新たに導入したクラウドサービス・ツールの活用に向けて、社内研修も積極的に実施してきました。また、全国の拠点での開催に加え、現場の方がも参加できるようオンライン開催も実施しました。結果的に、これらのトレーニングが在宅勤務切替に大きく活かされました。

工事現場のIT環境を整える、イコール、テレワーク環境を整える、というのがわかってきました

[ハードウェアを整え、それに合わせてソフトウェアも導入]

ポイント

  • そもそも工事現場は「テレワーク」と同じ
  • 工事現場のIT環境整備=テレワーク環境の整備
  • 工事現場経験者=テレワーク経験者

2. 在宅勤務制度の導入経緯(人事・労務制度)

続いて人事制度にも言及しました。元々は、在宅勤務制度の導入は、女性に働き易い環境の整備や柔軟な働き方の支援というのが目的でしたが、実際には、家族の介護をしなければならない社員からの需要もあることがわかりました。育児休暇制度、フレックス勤務制度の浸透とあわせて、情報システム部門も人事部と協働で制度設計に携わりました。在宅勤務希望者は各自申請を行い、必要な方から、在宅勤務できる環境を整えていきました。また、「働き方改革」を推進するうえで、「働き方改革」への取り組み事項の目標設定と達成状況を人事評価項目に追加して浸透を図りました。

特に今回の新型コロナ対応では、人事制度の整備と情報システムは両輪で進める必要性がありました。

在宅勤務制度の適用拡大をはじめた当初は、それまで個人ごとの申請が必要だったものを部署一括申請に切り替えて在宅勤務のハードルを下げました。情報システム部では社外とのオンライン会議開催・参加マニュアルなどを作成して公開しています。1カ月ほどの実施期間を想定しており、東京オフィスの在宅勤務者実施割合も全従業員の半数程度でした。しかし、緊急事態宣言の発令後は、「原則在宅勤務」に変更となり、個別に申請・許可する形に変更しました。在宅で業務出来ない事情がある場合は自宅待機とし、特別休暇扱いとするなど、情勢に合わせて柔軟に適応できる仕組みを構築できたのではないかと思います。

3. テレワーク向け IT サービス

データ共有は Dropbox や SharePoint を利用しています。元々ファイルサーバーをオンプレミスで持っていましたが、Azure 上で再構築し、VPN でアクセス可能な環境を整えました。原則、データはパソコン上に置かない、基本、すべてクラウドに置いてもらうようにずっと啓発してきました。いざ在宅勤務シフトが本格化すると、大量のデータを Dropbox に急にアップロードし始めた社員がいたので、聞いてみると、「今までやっていなかったので、準備を慌ててやっている」とのことでした。

コミュニケーション系は、Microsoft Teams や WowTalk を利用しています。複数ツールの使い分けは基本、部門に任せています。会社としての標準ツールは Teams ですが、WowTalk 利用のニーズもあります。利用するクラウドサービスをひとつに固定してしまうと、特定のクラウドが不測の事態で使えない時に業務が滞ってしまうため、別のツールも使えるようにしておくのが望ましいと考えています。

弊社では、Teams は原則社内利用に限定していますが、申請を行うことで 社外との利用も可能にしています。しかしながら、電話の利用も多いです(笑)。今回、テレワークを行った経験のない社員には、在宅勤務時の情報システム利用の注意点やマニュアルのリンク集を作成し、イントラで周知しました。周知後数日は、電話での問い合わせを多くもらっていましたが、部員全員で対応、その後は落ち着いています。

4. IT 部門へのフィードバック

昨今、ペーパレス化が重要視される時代ですが、紙に書き込む方が早いものもあります。現在のテレワークで、その相談は多く寄せられています。情報システム部門として、今、導入済みのツールで何ができるのか、さらに効率の良いサービスは何か、常に検討を行うことも必要です。自社の DX 推進部門と相談しながら進めているところです。

うまくいっている点

在宅勤務体制を始めて、経営トップのメッセージがちゃんと会社全体で理解されていることがわかりました

決算時期にもかかわらず、在宅率 70 %台後半を確保

弊社の在京拠点では、年度末の決算時期は繁忙期にもかかわらず、在宅率 70 %台後半を確保できています。全体的にも大きな「業務の破綻」は生じていません。今後は、業務効率への影響をもう少し様子をみていこうと思います。

うまくいっていない点

特に技術図書など、紙でしか存在しない資料などは、持ち帰ることができないので困ったなー、と言うぼやきも聞こえてきます。著作権があるものはスキャンできませんし、人数分買うにしても、高価だったりそもそももう販売してない、などの課題も残ります。またハンコを押さなければいけない業務がどうしてもあるので、その対応に関しては反省点が残ります。

2割は出社してもいい、ではない

在宅勤務を推奨している中、政府が目標としてかかげる「接触 8 割削減」という表現が独り歩きし、「2 割は出社してもいい」と言う誤解が広まったのではないかと懸念を感じています。ある拠点では、「特定の曜日に集中して週 5 日のうち一日だけ出社すれば、8 割削減になるだろう」「部署には九人いるが、上司の私がだけ出社しても 8 割削減範疇になるから良いだろう」といった、間違った解釈がみられました。このことに関しては、危機管理部門とも協業しながら対策を練っていますが、まず、やれること、やれないことを正しく棚卸しすることが求められます。

実際にやってみてわかったのは、常に効率化とセキュリティの落としどころは手探りであるということです。例えば、原則として自宅での印刷や、持ち帰りは禁止しています。しかし、どうしても印刷が必要な資料や紙で確認したい資料は存在するわけで、どう対応していくのか、攻めぎあいが続いています。

雑談がなくなるのは寂しんだな、と感じた

さすがに雑談のためには Teams を繋ぐのは難しいですね。(笑)いつものように、同じフロアで同じ空気を吸っていれば、雑談をしたい空気は感じるのですが。もちろん必要に応じてフォローしますが、テレワークの場合、とくに部下や同僚の異変には気を配りたいと考えています。

まとめ

最後に新型コロナ感染症と最先端で戦っている医療従事者の皆様に、つくづく御礼を申し上げたいと思います。我々ができることを最大限やらないと、世界的な困難と立ち向かうことができないと感じます。

”今できること” を今一度考え直してみることが重要だと考えます

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小澤様のセッションは、非常に重みのある言葉で終了しました。セッション後にも、参加者の皆様より日々の業務に関する関する具体的なお悩みが多数寄せられるなど、参加者全員にとって示唆に富んだセッションとなりました。

改めて、小澤様、ご協力ありがとうございました。また当日ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

Dropbox では今後もさまざまなウェビナーを開催する予定です。近日開催予定のセミナーおよびウェビナーにつきましては、こちらのリンクをご確認ください。