MECE とロジック・ツリーの最強タッグで問題の整理が劇的に変わる

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MECE (ミッシーまたはミーシー)っていったいなに? MECE を活用するとロジカルシンキングに役立つというものの、どう活用すればいいの?といった、 MECE に関する疑問をお持ちの方はとても多いと思います。

MECE は重複と漏れをなくし論理的な弱点を補強するために活用される方法論のことで、ビジネスはもちろんのこと私たちの生活でもあらゆる場面で活用されています。

この記事では MECE という言葉の意味から「MECE 的であること」の基本的な概念、MECE 的な分析を視覚化できるロジック・ツリーを使った実践的なケーススタディなどを交えて MECE の全貌を解説します。記事を読み終えたらすぐに MECE を活用できるよう構成していますので、ぜひ最後までお読みください。

目次

1. 思考の「抜け漏れ」を防ぐ MECE
2. ロジック・ツリーと MECE による原因分析
3. MECE の代表的なフレームワーク
4. まとめ

1. 思考の「抜け漏れ」を防ぐ MECE

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1-1. MECE とは

ロジカルシンキングの手法として最近よくその言葉が登場する MECE は、Mutually Exclusive Collectively Exhaustive の略で、「重複と漏れがない」という意味合いのビジネス用語です。「漏れなく、ダブりなく」とも言うので、覚えやすい方で覚えていただくといいでしょう。

なお、MECE と書いて「ミーシー」または「ミッシー」と読みます。

重複と漏れがないというのは、ビジネス上で大きな意味を持ちます。なぜなら、重複は非効率やムダを生み、漏れはビジネスチャンスを逃したりミスを発生させるリスクをはらんでいるからです。

それを防ぐための手法として MECE はビジネスだけでなく幅広い分野で活用されています。私たちが日常的に行っていることの中にも、すでに MECE 的であると言えるようなものもたくさんあります。

たとえば、「ヒト・モノ・カネ」と表現される経営資源の 3 要素はそれぞれ重複することなく、そして漏れなく経営に必要な要素が表現されています。最近ではこれに対して漏れがあるとして、「ヒト・モノ・カネ・情報」という 4 要素が MECE で分類された経営資源として表現されるようになりました。

人が生活をするために必要な 3 大要素は、「衣・食・住」です。これも MECE によって重複と漏れのないように分類された実例で、この 3 つがあればひとまず生活はできます。

このように、私たちは日常生活の中でもすでに意識することなく MECE を活用しています。それを体系立てて理解することによりビジネスに役立てることができるのは、何となくイメージしていただけたと思います。

1-2. MECE の目的と基本的な考え方

ビジネスの現場で MECE を活用するのは、重複というムダと漏れというリスクを防ぐためです。すでに人事の分野では MECE が広く活用されており、新入社員の研修プログラムは同じことを 2 度やることなく、効率よく会社のことや業務のことを学べるように構成されています。

異なる部署で同じ業務をしていないのも、MECE による分類がなされた結果です。人事、総務、営業、業務などそれぞれの部署は担当業務を行っており、この役割分担によって 1 つの組織が成り立っています。MECE による正しい分類と役割分担がなされていない場合、1 つの業務が複数の部署にまたがってしまったり、逆に複数の部署が同じ業務を担当したりしてしまうでしょう。また、必要な業務なのに担当部署が明確になっていないという漏れが生じるかもしれません。

このように、組織作りに MECE はすでに欠かせないものとなっており、業務の効率化やリスク管理に威力を発揮しています。

1-3. MECE のメリット

MECE のメリットはロジックを組み立てる際の死角をなくすところにあります。人間が考えることにはどうしても主観が入ってしまうため、関心の薄い部分に対しては思慮が浅くなってしまうことがあります。そのときに MECE で重複を漏れが生じないように客観的な視点でロジックを組み立てていけばこうしたリスク要因をつぶしておくことができます。

企画案をまとめる際に、あらかじめ指摘されそうなことを想定しておいてその対策を提案内容に含めておくというのはよくあることです。これも MECE による漏れをなくす考え方で、問題になりそうな部分を論理的につぶしておけば一種の理論武装となり、企画書の説得力が飛躍的に増すでしょう。

また、MECE によって重複と漏れのない視点を持つことでそこから漏れてしまった人からのクレームや致命的なミスを防ぐことができるようになります。

1-4. MECE でないと、どうなるのか

それでは逆に、MECE の視点を持てていないとどんなことが起きるのでしょうか。いくつかの事例で解説しましょう。

1-4-1. 近すぎるところにある営業所

同じ会社が近すぎるところに営業所を設置すると、当然ながらお互いの営業エリアが一部重複します。同じ会社でありながら両方の営業所からアプローチをされた顧客は戸惑うでしょうし、そもそも同じ会社の営業所が同じ顧客に 2 回同じアプローチをするのはムダです。

これは重複による弊害で、MECE による営業所の割り振りができていれば起こりえないことです。逆に近すぎるところに 2 つの営業所があると、お互いの営業所の境目にあたるところの顧客を双方が遠慮をしてしまい、重複どころか漏れにつながる恐れもあります。

1-4-2. Windows 10 のアップデート騒動は MECE から漏れた人からのクレーム

従来の Windows 製品を使用していた人が、意図しないアップデートによって Windows 10 になってしまったとして大量のクレームが発生したことがありました。これは「Windows 10 へのアップデートを望まない人」「ある日突然 Windows が違うものになっていたことに対応できない人」といった人たちが想定から漏れていたことが原因です。MECE によってこうした人たちの存在を想定できていればユーザー自身が選べるような仕組みとなり、ここまで大量のクレームにはならなかったと思います。

1-5. MECE とロジック・ツリー

MECE によるロジカルシンキングは、頭の中だけで考えていると分類が複雑になってきたときに頭の中だけでは抱えきれなくなります。そこで活用したいのが、ロジック・ツリーです。文字通りツリー(木)の形をしたトーナメント表のようなツリー図を使い、最初に設定した事象から派生する問題やその原因などを分解していく手法です。

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このような図になるのが一般的で、一番左に目的となる事象を書き入れて、そこから右へ派生していく形がとられます。次章では、このロジック・ツリーを使って実際に問題解決の方法を探るプロセスを解説します。

2. ロジック・ツリーと MECE による原因分析

2-1. 現状分析と問題の洗い出し

ある観光地に訪れる観光客が減少していて、その対策として観光キャンペーンを打ち出すとします。観光キャンペーンで誰に訴えかけるのか、何をするのかという戦略はすべて正確な現状分析から始まるので、まずは現状を把握するために観光客が減少している原因を探るのがロジカルシンキングです。

原因の洗い出しには漏れがないことが求められるので、ここは MECE の出番です。MECE の思考を支援するツールとして用いられているロジック・ツリーを使って原因を洗い出してみましょう。

一番左には観光客の減少という事実を書き入れ、その右にある第 1 層には、直接的に考えられる原因を挙げていきます。すると、以下のようになりました。

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それぞれ、以下のような原因が挙げられたので、それをロジック・ツリーに記入しました。

  • ライバルの出現=近隣に強力なライバルと言える観光スポットが誕生した
  • 老朽化・陳腐化=施設の老朽化、長年同じ施設を使用しているので陳腐化した
  • 顧客満足度低下= SNS や口コミなどで悪い評価が多くなり客足に影響している
  • 市場選好の変化=見るだけの観光から体験型への選好変化についていけていない
  • 景気悪化=景気の悪化により可処分所得が減少、旅行需要そのものが減った
  • 風評被害=同じ県内で災害が発生し、その影響で観光客の足が遠のいた

これで、ロジック・ツリーの第 1 層が出揃いました。次は第 2 層として第 1 層からさらに原因を細分化、分解していきます。

2-2. 問題点の分類と MECE による分析

第 1 層の各項目からさらに派生していくような原因を書き入れてみましょう。「ライバルの出現」には、その結果として「競争力の低下」「観光客を奪われている」という、より直接的な原因を書き入れました。

この要領でそれぞれの項目に第 2 層を書き入れてみました。それぞれのグループが分かりやすいように、色分けもしました。その結果、以下のようになりました。

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景気悪化というのは観光地サイドの努力ではどうしようもないので、派生する原因は書き入れていません。ここで注目したいことは 2 点あります。
1 点目は、「競争力の低下」という原因が重複していることです。色を変えてみると、3 か所に同じ原因が出てきました。

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つまり、複数の原因においてその結果として競争力の低下が起きていることが浮き彫りになっています。競争力というのは相対的なものなので、何に対して競争力が低下しているのかを探ると、近隣のライバル観光地であることが濃厚です。そこで、重複する原因を複数の項目で論じても仕方ないので、ここでは「ライバルの出現」による競争力の低下に絞り込むことができます。

もう 1 つの注目点は MECE で分析したことによる漏れの露呈です。敢えて一番上と一番下に配置したので分かりにくかったかもしれませんが、「ライバルの出現」と「風評被害」のそれぞれに漏れている視点があることにお気づきでしょうか。

よく見ると、この 2 つの原因には矛盾があります。なぜなら、同じ県内で災害が発生して被災地に近く、風評被害を受けているという原因を挙げていますが、それにもかかわらず近隣のライバル観光地に観光客を奪われていると言っています。本当に風評被害が深刻なのであれば、近隣のライバルも同じように風評被害を受けるはずです。MECE で論理的に分析をした結果、風評被害のせいで観光客が減っているというのはライバルに負けている原因の本質から目をそらしているだけなのかもしれません。

このように、MECE では重複と漏れを分析していくことによって原因の本質が絞り込まれていきます。

2-3. 結論を導き出す

前項で行った MECE による分析の結果、観光客が減少している原因として有効な対策を考え得るのは 5 項目です。先ほどのロジック・ツリーで得られた第 2 層の原因グループから矢印を引きましたので、それぞれの矢印の先にあるのがグループ別の対策ということになります。

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それでは、整理してみましょう。それぞれのグループから引かれた矢印の先に入る文言として、観光客が減少している原因の本質を 5 項目にまとめてみました。

  • ライバル観光地の台頭による競争力の低下
  • 観光資源が旧態依然で安全性への信頼も揺らいでいる
  • 観光資源の枯渇で顧客が飽きている
  • 見るだけの観光から体験型へシフトする中、その流れに出遅れている
  • 風評被害の影響を受けている可能性があるが、PR と説明が不足している

2 番目と 3 番目も指摘している点が似ているので、MECE による分析だと重複していると見なしてよいかもしれませんが、ここでは第 1 層の原因が異なるので敢えて別の項目にしました。

これまで風評被害のせいにしてきた観光客減少の原因が、実は旧態依然のままで顧客が興味を失いつつあるということや、風評被害に対する PR や説明の不足といった観光地サイドの怠慢にあることが浮き彫りになりました。

ここに対して企画提案を行うのであれば、まずは観光地サイドの改革と有効な PR 戦略、そして近隣のライバルが集客できている理由を研究した上でそれに勝てる魅力づくりという方向性になるでしょう。

3. MECE の代表的なフレームワーク

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何もないゼロの状態から MECE による分析を行うとなると知識が必要でハードルが高いかもしれませんが、すでに MECE は各方面で活用されているのでフレームワークが存在します。ビジネスと生活、それぞれの場面でよく用いられるフレームワークをご紹介します。

3-1. ビジネスの MECE

3-1-1. 人事の MECE

前述の研修プログラムをはじめ、人事分野では MECE が大活躍しています。代表的なものとして、以下のようなところで MECE が活用されています。

・研修プログラムの策定
段階ごとに必要な研修が重複・漏れのないように組まれています。

・地域別の人員配置
担当エリアを都道府県や市町村で分けることにより、重複・漏れがなくなります。

3-1-2. 日常業務の MECE

日常業務でも重複と漏れは業務に支障をきたすので、様々な分野で MECE が活用されています。企画書などを作成する際の説得力にもつながるので、おさらいしておきましょう。

・ ToDo リスト
日々の業務から漏れをなくし、ダブルブッキングという重複を防止するのに役立ちます。

・マーケティングの 4P
製品、価格、流通、プロモーションという 4 つの P で始まる言葉にマーケティングの要素を集約することでそれぞれの視点を漏れなく網羅できます。

・企画書の 5W1H
企画書には 5W1H それぞれの視点が必要だと言われています。この 6 要素がうまく 5W1H という言葉に集約されているおかげで、すべての要素を一度検証することができて漏れを防げます。

・事業を構成する 3C
市場、競合、自社という 3 つの C で始まる言葉をまとめたものが事業の 3C です。これも 3C というフレームワークがあるおかげで漏れなく 3 つの要素を検証することができます。

3-2. 生活の MECE

生活のあらゆる面にも MECE による重複と漏れのないフレームワークが存在します。普段何気なく用いているためあまり意識しませんが、以下のようなものが MECE 的であると言えます。

・衣食住
人が生活をしていく上で最低限必要な 3 要素です。「これさえあれば生きていける」ことを証明している MECE によるフレームワークです。

・春夏秋冬
日本の四季を 1 つの言葉で表現したもので、重複と漏れがありません。

・起承転結
ストーリーを組み立てる際のセオリーとされている 4 つの要素です。何かストーリーを描く際には、この起承転結が揃っているかを検証すればセオリー通りになっているかを確認できるフレームワークです。

4. まとめ

MECE という言葉に初めて接した方の中には、また何か難しい言葉が出てきたと感じた方も多いと思います。すべて大文字なので筆者が初めて MECE という言葉を見たときは、外国の団体の名前かと思ったくらいです。言葉の意味を知っても最初は慣れない部分があるかもしれませんが、ロジック・ツリーを使うなど視覚化することでより分かりやすくなるので、慣れてしまえば MECE はとても便利なもので論理的な弱点を補強するのにとても有効であることがお分かりいただけたと思います。

企画立案といったクリエイティブな業務から日常のルーティンワークに至るまで、ビジネスの様々な場面で活躍する MECE をぜひ自分のものにしてください!
しかし、すぐには身につかないのでたくさん練習してください。私はビジネススクールに通い、ロジカルシンキングを学びましたが、授業では自分のものにはならなかったので、その後半年ほど毎日のように仕事で練習していました。地道な練習によって身につくスキルですので、めげずに続けることをオススメします。
逆のことを言うと、すぐに身につかないスキルなので、身についけることができたら周りの人から自分を差別化できるスキルになると言うことです。

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