マインドマップにチャレンジしてみようとお考えで、役立つマインドマップアプリをお探しですか?
マインドマップは頭の中にある思考やアイディアを視覚化する手法として以前から注目されており、ブレインストーミングなどにも広く活用されています。マインドマップがあるからこそ生まれたアイディアも少なくなく、ナレッジワーキングにおける手法のひとつとして定着しつつあります。
この記事ではマインドマップを作成する基本的な考え方と実践的な解説、そしてマインドマップを効率よく作成できる定番のアプリと、個性派の無料アプリをそれぞれ 3 つずつご紹介しています。この記事だけで自分に合ったアプリを選び、それを使ってマインドマップを作成できるように構成していますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
1. 脳内の思考を視覚化するマインドマップ
2. 無料で使える定番のマインドマップアプリ 3 選
3. まだまだある、個性派揃いのマインドマップ作成アプリ 3 選
4. マインドマップ作成の実践レッスン
5. まとめ
1. 脳内の思考を視覚化するマインドマップ
1-1. マインドマップとは
マインドマップは、頭の中にあるアイディアや思考を視覚化する手法のひとつで、イギリスの著述家であるトニー・ブザン氏によって考案されました。
中央に発想のもとになるセントラルイメージを描き、そこから枝分かれのように思いつくことをどんどん膨らませていき、さらにその枝(ブランチ)から枝分かれするブランチを思いつくままに伸ばしていくという直感的な方法でアイディアを視覚化しながら広げていきます。
中心から思考を広げていく部分にマインドマップの大きなポイントがあるとされており、このように発想を広げていくことを放射思考といいます。
思いつつくままに書き出した頭の中の思考を視覚化してみると、イメージとなって構図に表れ、何が重要であるのか、そこから何を生み出せるのかといった思考の整理にも威力を発揮します。
1-2. マインドマップのメリットと注目されている理由
マインドマップの目的は、頭の中にあるイメージや思考などを視覚化することで新たな気づきやひらめき、思考の整理などを行うことにあります。頭の中にある発想や思考などは整理された状態になってはおらず、いつ忘れるか分からない不安定なものです。
それを書き出すことでまず得られるメリットとして、ある時点で頭の中にあった思考を記録できることが挙げられます。グッドアイディアがひらめいたのに時間が経ってしまってその内容を忘れた、もしくはひらめいたことすら忘れてしまうのが人間ですが、マインドマップを利用するとそうしたひらめきを「保存」することができます。
そして中央に置いたセントラルイメージからブランチと呼ばれる枝をどんどん引き出して、そこからさらに脱線したキーワードやイラストなどを描き加えていきます。そうして完成したマインドマップを見ると、今の思考が赤裸々に表れるという仕組みです。
こうした思考の脱線は、脳の働きに沿ったものです。脳は必要なこと以外にも関連があること、関連がないことの両方を常に考えており、大半の思考は本筋から大なり小なり脱線しています。この脱線の数が多ければ多いほど、マインドマップは豊かに枝を伸ばして書き加える項目も多くなります。
頭の中だけで考えているよりははるかに多彩な思考が表れ、より有効なアイディアを練り上げることができるというのが、注目されている最大の理由です。
これらの要点をまとめると、以下のようになります。
【マインドマップのメリット】
- その時にしかないひらめきを記録できる
- 脳の働きに沿って思考を視覚化するのでアイディアが出やすい
- 脳の働きに沿っているので苦に感じず、楽しく思考を練り上げられる
- マインドマップがなければ出てこなかったようなアイディアも引き出せる
- バラバラに散らばった思考を整理しやすい
1-3. アプリを活用して効率よくマインドマッピング
マインドマップを作成する作業は、今や手書きよりもデジタルツールを使う方法が主流となっています。それを支援するさまざまなアプリが登場していることも理由のひとつですが、アプリを使ったマインドマッピングには以下のようなメリットがあります。
- 修正や訂正が簡単
- 構図全体におよぶ修正も簡単かつ迅速にできる
- メンバー間で共有してブラッシュアップが可能
- 過去のマインドマップを蓄積していくことで情報資産となる
次章から、こうしたメリットを実現できるおすすめの定番マインドマップアプリを合計 6 選ご紹介します。
2. 無料で使える定番のマインドマップアプリ 3 選
2-1. 世界的に普及しているマインドアップアプリ「XMind」
2-1-1. XMind の特徴
直観的な操作性と多彩な描画機能が魅力です。マインドマップのためのアプリとして知られていますが、そのほかにもフィッシュボーンやマトリックス、ガントチャートなどのビジネスチャートを作成できる機能が満載(有料版の機能)で、これ 1 本でマインドマップ以外にもプロジェクト管理やタスク管理などもできてしまいそうです。
無料版でもマインドマップの作成には十分なスペックですが、有料版になると XMind Cloud というクラウドサービスの利用が可能になり、メンバー間でマインドマップを共有しながら完成させていくという共同作業も可能になります。
2-1-2. XMind の入手方法
XMind の公式サイトから Windows 版、Mac OS 版のダウンロードが可能です。公式サイトにスマホ版アプリはありませんが、Android 、iOS 向けにそれぞれ互換アプリが提供されているので、そちらを使えばスマホでも XMind のデータを閲覧、編集できるようになります。
⇒ Mindjet for Android (XMind 互換アプリ)
⇒ iThoughts (XMind 互換アプリ)
※このアプリは 1400 円の有料アプリです。
2-2. スマホでタップしながら簡単操作でマインドマップが作成できる「Simple Mind Free」
2-2-1. Simple Mind Free の特徴
パソコン版も用意されていますが、もともとはスマホ向けに開発されたマインドマップ作成アプリです。スマホなのでタップやスワイプなどの直感的な操作を得意としており、まるで手書きで作成しているような感覚で簡単にマインドマップを作成できます。
また、Simple Mind というアプリ名が示しているように機能をマインドマップ作成に絞ることでシンプルな操作性を実現、「マインドマップをサクサクと描きたい」という方に向いていると言えます。
2-2-2. Simple Mind Freeの入手方法
公式サイトに、各デバイス向け「Simple Mind Free」のダウンロードページがあります。スマホ版はそれぞれ Google Play と App Store からダウンロード可能です。
⇒ Simple Mind 公式サイト
⇒ Android 版ダウンロードページ
⇒ iOS 版ダウンロードページ
2-3 パソコンとスマホ共通で利用できる定番アプリ「MindMister」
2-3-1. MindMister の特徴
おそらく最も知名度の高いマインドマップアプリと思われるのが、この「MindMister」です。前章で実際にマインドマップを作成してみた際にも、「MindMister」を使用しました。いわゆるマインドマップらしい体裁の作図が簡単な操作で可能なので、頭の中にある思考を逃すことなく視覚化できます。
また、「MindMister」の最大の特徴ともいえるパソコンとスマホそれぞれの同期についても好評で、パソコンの大きな画面で基本的な作図をしながら移動中に何か思いついたらスマホで編集するという使い方も可能です。
2-3-2. MindMister の入手方法
パソコン版はブラウザ上で作図をするので、特にアプリなどをインストールする必要はありません。公式サイトでユーザー登録をして、入力したメールアドレスに届いたリンクをクリックしてアクティベートすれば利用開始です。
スマホ版についてはアプリが用意されているので、それぞれ Google Play と App Store からダウンロード可能です。
⇒ MindMister 公式サイト
⇒ Android 版ダウンロードページ
⇒ iOS 版ダウンロードページ
3. まだまだある、個性派揃いのマインドマップ作成アプリ 3 選
3-1. ボランティア組織に支えられる完全フリーの「FreeMind」
完全フリーのマインドマップアプリとして高い知名度を持ち、よりよい使い方を研究する有志によって支えられているユニークなアプリです。本来は英語版で提供されているのですが、有志によって日本語化されています。
⇒ パソコン版ダウンロードページ
⇒ Android 版互換アプリ「Mindjet」
⇒ iOS 版互換アプリ「iThoughts」
3-2. Google ドライブで使える「MindMup」
ブラウザ上で今すぐマインドマップを作成できる手軽で軽快なサービスです。Google のブラウザ、Chrome に機能追加という形での利用も可能です。
Google サービスとの親和性が高いこと、サービスサイトにアクセスするといきなりマインドマップ作成画面になるのでとにかく手軽なこと、アプリの独自形式以外にもHTMLや画像などで書き出しができるのも秀逸です。
⇒ MindMup サービスサイト
⇒ Chrome への機能追加ページ
3-3. ダウンロードの必要がない完全無料アプリ「Coggle」
ブラウザ上で動作するマインドマップ作成サービスです。Google アカウントでサインアップが可能なので、アカウントをお持ちであればワンクリックで利用可能になります。英語ではありますが、公式サイトには操作を分かりやすく解説する動画もあります。
また、Google アカウントでログインをすると、同じく Google アカウントで「Coggle」を利用しているユーザーとの共同作業も可能です。
4. マインドマップ作成の実践レッスン
4-1. マインドマップ作成の基本
基本的なマインドマップの作成方法を、順を追って解説します。ここでは「英語」というセントラルイメージから発想を展開させてみようと思います。
ここでは定番になっているマインドマップ作成サービス「MindMister」を使用します。
4-1-1. 中央から広げる基本構図(セントラルイメージ)
マインドマップの作製はセントラルイメージを中央に置くことから始まります。ここでは「英語」というセントラルイメージを置いてみます。
このセントラルイメージに、まずは一次的に思いついたことをブランチとして伸ばしてみましょう。
このように、まずは 5 本のブランチを引いてみました。これだけでも、筆者の頭の中にある英語に対するイメージがおぼろげに見えてきます。少なくともネガティブな印象は持っておらず、高い関心を持っていることが伝わってきます。
4-1-2. メインブランチブランチからさらに細かいブランチへ
次に、メインブランチからさらに派生して細かいブランチを引いてみます。グローバル人材、海外旅行が楽しくなるというそれぞれのブランチから連想される思考をどんどん書き加えていきます。
世界を股にかけて活躍する人材、普通のパッケージツアーではできないような体験に対する興味が見えてきました。
ここでは 5 つずつ細かいブランチを引いていますが、もちろんこれはどれだけあっても構いません。さらに、小ブランチからさらに孫ブランチ、ひ孫ブランチを引いても構いません。むしろ、そうやって思考を細分化したほうがよりニッチなアイディアに近づくことができます。
それでは、実際にやってみましょう。
一次的なブランチでは見えてこなかった、本音のようなものが出てくるようになります。
4-1-3. 思いつくままに描く
思いつくままに描くというのもマインドマップのルールなので、特に制約を設けず思いつくままにブランチを引いていきます。もちろん、脱線も OK です。
本当はまだまだ思考が出てくると思いますが、ひとまず思いつくままに描いた結果は以下のようになりました。
英語=海外との接点であり、より海外を身近に感じたいという願望が強く表れるようになりました。
4-1-4. マインドマップからアイディアをまとめあげる方法
それでは、この時点でマインドマップから英語に対する潜在的なイメージや願望を拾い出してみましょう。本音に近い、生々しい願望だと思えるものにハートマークを付けてみました。
ここから透けて見えるのは、英語を自由に扱うことができる自分への憧れ、それが可能にする生き方への憧れです。さらに自分の子供にもそんな体験をさせたいと考えており、具体的な情報に関心を持っています。
このように、マインドマップはバラバラに散在している思考を英語という 1 つのキーワードに関連付けていくと、英語への考え方や関わり方が分かるようになります。
アイディアを練り上げていく場合もこれと同様に、思いつくままに書き出してみた思考の中から有用なもの、ブランチ同士でよく似たことを書いていると思われるものを抽出していくと、1 つのアイディアにまとめていくことができます。
4-2. アイディアを引き出す効果的な描き方
4-2-1. 誰かに見られることを恐れず自由に書き出す
先ほどの例でもそうですが、人間の思考や願望には時として人にあまり知られたくない、見せたくないと思うものもあります。しかし、マインドマップを描いている時点でそのマインドマップを見ているのは自分だけです。
最終的なアイディアをまとめるまでのプロセスに過ぎないので、恥ずかしいと思ったりせず、ありのままをブランチに書き出していきましょう。
4-2-2. 中央から広げていくイメージを意識する
セントラルイメージが中央に存在するのは、マインドマップの基本形です。どの方向にも思考を広げていくためのものなので、中央から思考を広げていくことを常にイメージするのがよいとされています。
先ほどの英語というセントラルイメージに例えると、「英語と言えば○○」という思考を展開し、○○に入る部分が一次的なブランチとなります。そこから派生していくブランチは、「(ブランチの内容)と言えば▲▲」を考えてみて、そこで思いついた▲▲の部分を孫ブランチとして書き足していきます。
4-2-3 色を使ってイメージを鮮明にする
マインドマップは自由であればあるほど、頭の中の思考やアイディアも自由に表に出てくるようになります。見やすくするため、楽しくするためにたくさんの色を使うことも大いに推奨されています。
手書きで作成している場合、アプリなどを使って作成したものをプリントアウトして、そこに色ペンを使って印や線を引いたりすると、作業が効率化するかも知れません。
4-2-4. 文字だけでなくアイコンやイラストを使う
頭の中にある思考を視覚化するという意味では、マインドマップは線と文字だけで作成することにこだわる必要もありません。アイコンやイラストなど、自分が描きやすい形であれば何を書いても構いません。
4-2-5. ブランチに沿うように文字を書く
アプリを使用するとそのような形にならないこともありますが、手書きの場合はブランチに沿うように文字情報を書き入れるのがよいとされています。
この方法が推奨されているのは、ブランチの先に文字を書くと、その先の展開を構図的にふさいでしまうので思考の自由さが損なわれますし、アイディアが伸びていくというイメージを表現したほうが、思考が出やすくなるというとてもデリケートな理由からです。