オンライン公証の実現で企業の公正証書の作成はどう変わる?

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現行の公証制度では、本人や代理人が公証役場に出向き、公証人が対面で意思などを確認しながら公正証書を作成し、署名・押印を行う必要があります。しかし2022年7月、法務省は「オンライン公証の実現」などを盛り込んだ改正公証人法案を来年の通常国会に提出することを明らかにしました。本稿では、オンライン公証の実現によって、企業はどのようなメリットを得られるのか解説していきます。

法律紛争を未然に防ぐ公証制度

公証制度とは、『国民の私的な法律紛争を未然に防ぎ、私的法律関係の明確化、安定化を図ることを目的として、証書の作成等の方法により一定の事項を公証人に証明させる制度』と、法務省(※)が定義しています。

※参照:法務省「公証制度について」より引用

公務員の一種とみなされる「公証人」は法務大臣の指定する所属法務局の管轄区域内に「公証役場」を設置し、そこで事務処理を行います。公証人は全国に約500人、公証役場は約300カ所存在します。

私人(個人または会社その他の法人)の間で交わされる契約書やその他の文書については、作成・成立年月日やその内容について、後日法律紛争が生じる可能性があります。そうなれば、関係者は経済的・精神的な負担を強いられることになり、証拠力の高い文書が存在しないために正当な権利が否定されてしまう可能性もあります。

そこで、このような紛争を予防するためにあらかじめその文書の作成に公証人が関与し、「公証」つまり法的な効果を持つ文書であることを証明します。そうして公証人が関わり、法的に効果のあると認められる文書が「公正証書」となるのです。

公正証書の種類

公正証書には以下のような種類があります。

契約に関する公正証書

一般的には、土地建物の売買や賃貸借、金銭消費貸借のような契約に関する公正証書を指します。他にも民法が定める典型契約や土地の境界線合意なども公正証書に含まれます。

単独行為に関する公正証書

1人の当事者の意思表示を明らかにする公正証書です。例えば、自筆証書による遺言は、紛争を招くことがあるため、公正証書による遺言のほうが、信頼性があり確実とされています。

事実実験公正証書

法判断における重要な事実について、公証人が実際に体験した結果に基づき、作成した公正証書です。例えば、土地の境界線問題において、公証人が現地に赴いて観測した結果などが記載されるケースなどがあります。

公正証書は、全国にある公証役場にて公証人に作成を依頼して作成することができます。その際には公正証書の内容や意思を確認したうえで署名、押印し、「公証人手数料」を支払う必要があります。公証人手数料の料金はその内容によって異なりますが、金額に応じて手数料が大きくなる傾向にあります。遺言書を例にすると、相続額が大きくなるほど公証人手数料も高額になると言われています。

オンライン公証の実現でペーパーレスが加速

このように、公正証書を作成するには、わざわざ公証役場へ足を運び、公証人と対面したうえで、“紙”の公正証書を作成し、署名と押印をしなければなりません。ですが、公正証書のやり取りが、今後オンライン化されると言われています。

2022年6月、政府は「規制改革実施計画」を策定して経済社会の構造改革を推進する方策を打ち出しました。その1つとして「公正証書の作成に係る一連の手続きのデジタル化」を提言。それを受け法務省は、2022年7月に公正証書の作成を全面的にオンライン化する方針を固めました。同省は2023年の通常国会に「公証人法改正案」を提出し、2025年度前半までに、オンライン公証制度の運用開始を目指しています。

オンライン公証が実現すると、煩わしかった手続きがすべてオンラインで完結し、わざわざ公証役場へ足を運ぶ必要がなくなり、ペーパーレス化も可能になります。

在宅勤務をはじめとするテレワークの定着化にも寄与します。従来では、社内の署名や押印を集めるのにも時間がかかり、公証人とのアポイント調整や面会も限られるため、公証を受けるまでに大きな時間と労力がかかっていました。ですが、オンライン公証が実現すれば、遠隔から本人確認などを行えるようになり、リードタイムも短縮することができるのです。

すでにアメリカでは、公証人とオンラインで接続し、デジタルで公証を受けられる「リモートオンライン公証事業」が拡大しています。米Notarize社が提供するデジタル公証プラットフォームでの手順を例にとると、次のような方法でオンライン公証が可能になります。

① 公証を受ける書類をアップロードする
② 本人しかわからない質問に回答する
③ 本人確認書類をアップロードする
④ 公証人がWeb会議を使って本人確認を行う
⑤ 公証人の面前で署名画像の挿入を行う
⑥ 公証人が電子署名を行う
⑦ 公正証書を発行する

繰り返しにはなりますが、上記の手順は、あくまでアメリカでの手順になります。日本でのオンライン公証のプロセスは確立していませんが、専用サイトが構築され、その中でマイナンバーカードを使って個人認証を行うとともに、フォームから必要書類を提出できるようになると言われています。その後、Web会議システムを介して公証人とオンラインでやりとりし、公正証書を作成します。作成した公正証書は電子化されており、署名と押印の代わりとして電子署名が用いられることが想定されています。

対面での公証とオンライン公証の違い

対面での公証とオンライン公証の違い

まとめ

このように、ほどなくして公正証書の作成がオンラインで完結することになりそうです。こういった公的手続きがオンライン化されていく動きは今後も加速し、電子署名についても一般的になっていくことでしょう。つまり、日々扱う書類についても電子署名を用いる機会が増えていきます。そこで役立つのが、Dropboxと
Dropbox Sign (旧 HelloSign)の組み合わせです。

Dropbox で Dropbox Sign を利用すると、Dropbox 上でドキュメントに電子署名を追加できます。電子署名は①手書き、②キーボードで入力、③画像を利用、のいずれかが利用できます。公正証書の電子署名がいずれに該当するかは、いまのところ明確にはなっていませんが、いずれの方法でも対応できる可能性は高いでしょう。

また、Dropbox Sign に対応しているファイルの種類は、doc、docx、pdf、ppsx、
ppt、pptx、jpg、jpeg、png、xls、xlsx、txt、html、gifですが、対応していないファイル形式の場合は、PDF 化して Dropbox にアップロードすれば利用できます。いずれの種類のファイルでも対応できるため、今後公的な書類が電子化され、電子署名が必要になった場合でも安心して利用できます。

場合によっては公的な書類を複数人と共有しながら、それぞれから電子署名をもらわなければならないケースもあるかもしれません。Dropbox と Dropbox Sign により、複数の相手に一斉送信できるとともに、誰が署名を完了したかといった管理も可能となります。さらに、電子署名する文書についてはテンプレート化して、必要箇所だけを書き換えて署名を依頼することもでき、大幅な時間短縮になります。

日常的にDropbox と Dropbox Sign を活用することで、書類の電子化および電子署名に対応できるなど、さまざまなビジネスメリットを得られることにつながります。オンライン公証への備えとして、いまから Drobpox Sign を連携してみるのはいかがでしょうか。

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