Dropbox Japan、「ナレッジワーカーの AI 利活用に関する実態調査」を発表

〜議事録作成に最も時間を割いているのは中間管理職。AI 導入で付加価値のある業務に時間を割くことを求める 〜

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サマリー

  • 特に業務量に圧迫される中間管理職は、AI 導入への期待値が他の役職より高い
  • AI の業務利用に期待することは、労働生産性の向上と業務量の改善
  • 中間管理職は、情報管理に関連する作業時間全般に 1 日 4.3 時間使っている
  • AI 利用が進まない理由には、環境整備や理解不足と DX 化の遅れも

 

2024 年 7 月 23 日 – Dropbox, Inc.(NASDAQ: DBX )の日本法人である Dropbox Japan 株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:梅田成二)は、本日、「ナレッジワーカー * の AI 利活用に関する実態調査」の結果を発表しました。本調査は、 Dropbox Japan が株式会社電通マクロミルインサイトに依頼し、日本国内の 20 歳から 59 歳の男女 1,200 名のナレッジワーカーを対象に 2024 年 3 月に実施したものです。

AI 技術の発展が進む昨今、業務における AI 活用への期待値は高く、ナレッジワーカーを対象に行った本調査では「AI を業務で取り入れたい」と回答した人が 83.4% に上りました(表 1)。一方、 AI を業務で利用したことがあるナレッジワーカーは 21.6% にとどまり、期待とは裏腹に、業務で AI を利用できていない現状がわかりました。



AI の業務利用を期待する理由は、労働生産性の向上

AI の業務利用を期待する理由として最も多く挙げられたのは、「労働生産性が上がると思うから(83.5%)」(表2)でした。「業務量の改善が期待できるから(81.7%)」が次に最も回答を集め、働き方改善への期待が大きいことがわかりました。また、仕事における「モチベーション向上(67%)」や「成長機会の獲得(65%)」も多くの回答を集め、自身の仕事でのパフォーマンス向上への期待も見られました。



特に AI の業務利用に期待する声が強かったのは中間管理職で、その割合は平均よりも 5 ポイント高い 88.9% でした。その理由としては、「労働生産性の向上」が最も多く、他の役職(経営者、一般社員)よりも顕著な理由として挙げられていたのは、「現行のオペレーションを変えたいから(中間管理職 25.4% 、平均 17.7%)」「稼働している時間を気にせず依頼できるから(中間管理職 23.4%、平均 16.3%)」でした。中間管理職は AI を用いることで、業務時間や業務負荷を気にせず得られる業務支援とそれによる労働生産性の向上に期待していることがわかりました。



業務量に圧倒される中間管理職、 AI 利用で付加価値のある業務に時間を割くことを求める

中間管理職の間で AI への期待値が高い理由として、業務状況が大きく関係している傾向がみられました。中間管理職が AI に任せたい仕事として最も挙げたのは、入力などの「単純作業」で、同項目の全役職と比較しても最も大きい割合でした。また、自身の業務に取り入れられそうな AI 活用シーンとして、会議の議事録のまとめなど会議関連の仕事と回答した中間管理職は 51.8% と平均よりも 10 ポイント以上高く、全役職の中で最も高い数値となっています。



情報作成のために使っている業務の内訳としては、資料作成に次いで議事録作成に 2 番目に多く時間を割いており、役職別では最も時間を費やしています。



AI の導入により削減できる時間で、中間管理職が行いたい業務として最も多かったのは「マネジメント業務」でした。ついで「経営方針・戦略などの検討・立案」「クリエイティブ業務」となっており、中間管理職が本来の仕事に十分時間が割けていない現状が明らかになりました。

中間管理職が本来の仕事を十分にできていないことから、「付加価値が与えられない業務に追われている」「戦略立案やマネジメントなどの検討にもっと時間を使いたいが、目下の連絡や作業に追われている」といった現状があると考えられます。

AI の業務への導入が進まない原因

AI の業務への導入が進まない原因として、以下の 3 点が挙げられます。

AI の業務への導入が進まない原因 ① :環境整備が整っていない

実際に AI 導入には至っていない理由として最も多かったのは、「勤め先で推奨していない、ルールが決まっていないから」でした。勤め先で推奨されていないツールを使用することは非常に難しく、業務利用のボトルネックになっていることがわかりました。

AI の業務への導入が進まない原因 ② :経営者層を中心とした AI への理解不足からくる導入効果の過小評価

業務環境やルールを決めるような役職の間で、 AI の導入効果を過小評価する傾向が見られました。経営者層の AI の業務導入意向は 78% で、平均と比べると 5 ポイント低い結果となりました(表1)。 AI を業務利用したいと思わない最大の理由として、管理職(経営者層と中間管理職)は「AI に関する情報が不十分だから」を挙げました(管理職 36.1% 、平均 32.2%)。また管理職の間では、セキュリティへの不安(19.4%)や資金不足(16.7%)などの理由も多くの回答を集めました。 AI に関連する知識が少ないために、リスクやコストに意識が向かい、 AI がもたらす効果を過小評価している可能性があります。



また、 AI の業務導入への期待には、経営者層とそれ以外の役職(中間管理職と一般社員)との間に 9 ポイントの差があり、特に AI を業務で利用するシーンにおいて、魅力的だと感じる点に乖離がみられました。「データ発見などの情報検索に取り入れられそう」と答えた人は平均で 48% 、中間管理職で 50% 、経営者層は 41% でした。



経営者層は特に利用する IT ツール数が少なく、コラボレーションにおけるストレスや不満を感じにくいことも明らかになりました。チャットやメール、ファイル共有サービスなど、他の人と協業するツールを全く利用しない人は、経営者層で 35% と全役職の中で最も高く、中間管理職の 13% と 2 倍以上のポイントの開きがありました(表3)。経営者層にとっては、 AI ツール導入による労働生産性の向上などの利点は実感しづらい可能性があります。



AI の業務への導入が進まない原因 ③ :経営者層の DX 化の遅れと AI 導入への消極性の影響

情報管理のツールについて聞いたところ、経営者層が他の役職と比べて多かった回答が「紙に印刷したデータや手書きメモ、付せんなど(経営者 43.1% 、平均 30%)」や「USB や SD カード、 CD-R などの記録媒体(経営者 43.1% 、平均 16%)」でした。平均の数字より大きなギャップがあり、経営者層の業務における DX 化が進んでいないことが浮き彫りになりました。



AI の機能を活用し業務で恩恵を受けるためには、まずは業務の DX 化が必要であり、特に経営者層の DX 化支援が AI 導入において重要である可能性が考えられます。

スマートな働き方へのニーズ

今回の調査では、特に労働生産性への満足度と、仕事へのモチベーションや職場での成長機会への満足度との強い相関も見られました。 AI の導入でスマートな働き方を実現したいという期待は、ナレッジワーカーが置かれている仕事環境の見直しがより重要であることを示唆している可能性があります。

特に中間管理職は、チャットやメール、ファイル共有サービスなど他の人と協業するツールを使っている人の割合が 87.2% と他の役職と比べても最も多く、ツールをまたいだ情報検索作業とコミュニケーション量にまつわる不満やストレスが、他の役職と比べて最も高いことも明らかになりました。中間管理職は、長年の経験や業務の特性から知見や情報が集まりやすく、それらの保存場所も多岐にわたります。そのため、「過去のファイルを再利用するために探す時間」はどの役職よりも多く、 1 日あたり約 1.5 時間を情報やファイル検索に費やしています。情報管理に関連する作業時間全般には、 1 日 4.3 時間を費やしており、平均では 1 日あたり 3.7 時間のところ、 30 分以上の差があります。このような現状に直面している中間管理職は、特に AI 導入への期待値が高く、労働生産性の向上を求めています。

Dropbox Japan 株式会社のアジア太平洋・日本地域統括ソリューション本部長の岡崎隆之は次のようにコメントしています:

「今回の調査結果は、昨年発表した労働生産性喪失に関する調査の知見を裏付けるものとなりました。労働者の人手不足が続く中、経営者は従業員の業務の現状や要望を把握し、最適なパフォーマンスを発揮できる環境を整える必要があります。特に中間管理職は、新しい規制や課題への対応・監督を担うこともあり、意思決定や報告のための情報検索やコミュニケーションに負荷を感じていることがわかりました。この状況を改善するための一つの方法として、 AI ツールの導入を含む DX 化が考えられます。
より良い職場環境とスマートな働き方を実現するためには、役職間のコミュニケーションや知識共有の機会を増やすことが重要です。 Dropbox は、こうした課題解決に向けて、効果的なツールを提供することで貢献していきます」

*本調査におけるナレッジワーカーとは、デジタルツール使った仕事を主に行う専門家、研究者、教育者、アナリスト、 IT スタッフなどを指します。

 

以上

 

Dropbox Japan について

Dropbox はプライベートと仕事、それぞれのコンテンツをわかりやすく整理し、生産性を維持できる場所を提供します。Dropbox の製品は、よりスマートな働き方を実現するために開発され、現在 180 か国以上で 7 億人を超える方々に愛用されています。米国カリフォルニア州サンフランシスコに本社を置き、世界各地 12 か所にオフィスを構えています。Dropbox の使命と製品については、dropbox.com をご覧ください。
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