データ視点から始める「システム統合」とは?

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「システム統合」とは、いくつかの独立したシステムをひとつに統合して情報を一元的に管理することです。デジタルトランスフォーメーション(DX)や経営データの効率的な運用といった取り組みを行うには、システム統合を早急に進める必要がありますが、データ環境の統合を進めることで多くの問題を解決することが可能になります。今回は、データに焦点を当てて、システム統合について話を進めていきます。

なぜシステム統合が必要なのか

システム統合が必要な理由はさまざまな答えがあります。まずシステム統合によって運用負荷や保守費用の軽減を進めるという目的もあるでしょう。また、システムのブラックボックス化を防ぐという目的もあります。ブラックボックス化が長く続くと、システム全体を理解する人がいなくなってしまい、それまでのIT資産を捨て一から新しいシステムを構築するしか方法がなくなる可能性が出てきます。

一方で、データ活用しやすい環境にして、データドリブン経営を推進し、新しいビジネスを創出していくという目的もあります。経験や勘といった暗黙知に頼った経営から脱し、常にデータを基づいて戦略策定を行わなければ、これからの事業運営が行き詰まってしまいます。

IT投資における日米比較

参照:経済産業省 「DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」を基に作成

上の図で示した通り、日本ではほとんど業務効率化とコスト削減といった「守りのIT投資」にコストが費やされてきました。しかし、米国では製品・サービスの開発やビジネスモデル変革、分析力強化など、「攻めのIT投資」に注力しています。

2018年に経済産業省が発表した「DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」のなかで、「DXを進める上で、データを最大限活用すべく新たなデジタル技術を適用していくためには、既存のシステムをそれに適合するように見直していくことが不可欠である」としています。

DXはデジタル化による「業務効率化とコスト削減」も含みますが、一方で「製品・サービスの開発やビジネスモデル変革、分析力強化」も重要な施策として捉えられています。

このように考えると、システム統合は運用負荷や保守費用の軽減だけでなく、データドリブン経営を目指すための施策として考えるべきであり、その意味でデータ環境の統合が重要になっていきます。

システム統合を経営改革の手段に

システム統合というと、一からシステムを再構築することと捉えがちですが、必ずしもそうとは限りません。データの視点から考えれば、サイロ化したシステムはそのままでも、そこから生み出される各種データを統合管理する環境を新たに構築すれば、データドリブン経営を行っていくこともできます。

例えば、すべてのシステムが20年以上利用しているもので、古い技術で稼動しているためにさまざまな問題が発生しているようであれば、いますぐにシステムの抜本的な改革が必要になるでしょう。しかし、既存のシステムがそれほど古くなければ、基幹系も含めてすべてクラウドへと移行するのはコストも手間もかかるため、なかなか実行できるものではありません。しばらく現状のシステムを利用しながらも、データドリブン経営を目指すことになります。

このようにシステム統合自体を目的化するのではなく、新しい時代の経営を実現するために行われるものと考えるべきです。「定期的なシステム更新作業」という発想のみでシステム統合を行っても、しばらくすると、またそのシステムはレガシー化していくため注意が必要です。

データ統合で目指すべき業務環境とは

データ環境の統合を実現するためには、具体的に何を目指すべきでしょうか。例えば「毎月の経営会議のためのデータ抽出を簡単に行い、資料作成の準備に費やす時間を削減する」といったこともその1つでしょう。

全国に多くの支店、支社がある企業などでは各拠点から業績データをExcelなどで本社に送ってもらい、本社内部でそれらをチェックし、1つのデータにまとめ上げるという大変負荷の高い作業を行っているケースがあります。こうした場合も各支店のシステムから自動的にデータを抽出し、支店データの統合も自動的に行うことができれば、月次ではなく週次、あるいは日次で正確なデータを追えるようになります。

こうしたことを実現するには、多大なシステムコストが必要でしたが、現在ではクラウドでも利用できるデータプラットフォームサービスを活用してリーズナブルなコストで仕組みとして取り入れることができます。

この仕組みには2つの要素が必要です。ひとつがデータを各方面から取り入れ、加工する部分と、もうひとつがデータを適正なルールに従って保管する部分です。

これらが1つになって動くことで、業務関連データをどこからでも閲覧、分析することが可能となり、常時利用する指標などをいちいち作り込むことなく、常にリアルタイムに近い形で数字をチェックできるようになります。

このように、うまくデータを取り込み保管するといった仕組みをあらたに導入することで、たとえシステム自体がサイロ化していてもシステム全体を統合したのと同じ働きを生み出すこともできます。もちろん、既存のシステムが老朽化した段階で、クラウド移行などの「抜本的な改革」を実行していけばいいのです。

まとめ

ここまで述べた仕組みにおいて、データプラットフォームサービスはデータを各方面から取り入れ、加工する部分となります。そしてデータを適正なルールに従って保管する部分はストレージとなります。

ストレージは、Dropboxのようなクラウドサービスやオンプレミスで構築されるものがありますが、いずれせよ上流のデータプラットフォームと確実に連携できなくてはなりません。場合によっては、複数種類のデータプラットフォームサービスと連携する必要もあるので、幅広い接続性能を持っていることも選定の重要な指標となります。

Dropboxでは、業務アプリ作成ソリューションのkintoneをはじめとしたさまざまなクラウドサービスと連携できます。またMicrosoft Azure、Microsoft 365、
Salesforceなどとの連携ソリューションも用意されているので、今後、多様にクラウドサービスを利用することになっても、共有するストレージシステムとして幅広く利用できます。

また、ビジネスコミュニケーションツール「LINE WORKS」との連携も容易であり、DropboxからLINE WORKSのトークにファイルを送信するなど、コンテンツの共有がスムーズになります。

※DropboxとLINE WORKSの連携の詳細はこちら
https://www.dropbox.com/ja/app-integrations/lineworks

Dropboxのユーザー企業は多岐にわたっており、機微な顧客データの保管にも利用されています。Dropboxでは、データを瞬時に暗号化して保存できる仕組みをもっており、セキュリティのレベルも極めて高いことが評価されています。

昨今のDXに対する関心の高まりから、既存のシステムの刷新プロジェクトとは別に、データ活用の迅速な効率化を目指す企業が増えています。こうした企業では、さまざまなクラウドサービスを活用し、既存システムにあるデータなどもうまく取り込みながら、データドリブンな経営を進めています。

例えば、全業務のSaaS化を目指す大和財託株式会社様では、ファイルの重複やバージョン管理などが課題となっていました。そこで、Microsoft 365やSalesforceをはじめとしたさまざまなクラウドサービスとDropboxをつなぐことで効率的かつ安全なファイル管理を実現しました。

※大和財託株式会社様の事例はこちら
https://experience.dropbox.com/ja-jp/customer-stories/yamatozaitaku-case-study

このように考えれば、データ視点からの統合作業は、比較的に低負担ですぐに始められる取り組みだといえるでしょう。その際に重要となるのは、データの蓄積先であるストレージです。ぜひクラウドストレージサービスのDropboxも検討材料に加えてください。

【マンガで解説 】もうやめませんか?メール添付にパスワード送信 - Dropbox で始める「脱 PPAP」-