近頃、多くの会社が実践していることで話題になっている「脱ハンコ」。
その具体的なメリットとデメリットは以下の通りです。
脱ハンコのメリット 5 つ |
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脱ハンコのデメリット 3 つ |
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このように脱ハンコには様々なメリットとデメリットがありますが、実はどんな書類でも電子化できるわけではありません。また、面倒だからと現状のハンコ文化のままで過ごしていると、逆に経営・業務上のリスクが高まることもあります。
そこで皆様の会社が脱ハンコをしないことで不利益を被らないように、以下についてもお伝えします。
・ 現状のハンコ文化を維持した場合のリスク
・ 脱ハンコすべき会社とそうでない会社
上記を知っていただくことで、自分の会社が脱ハンコすべきかどうかしっかり判断することができます。さらに実際に脱ハンコを進める場合に知りたくなる、以下の3点についても解説しています。
・ 脱ハンコを実践する場合の注意点
・ 脱ハンコを実現するための便利なサービス
この記事を最後までお読みいただくと、脱ハンコのメリットとデメリットがわかるだけでなく、自社にとって本当に必要なのかどうかと、実践するために知っておくべきことを一通り把握することができます。
目次
- 1. 脱ハンコのメリット 5 つ
- 1-1. 業務の生産性が上がる
- 1-2. テレワークの推進に役立つ
- 1-3. コスト削減になる
- 1-4. 環境問題に対応している姿勢を見せることができる
- 1-5. 紛失や改ざんリスクを下げられる
- 2. 脱ハンコのデメリット 3 つ
- 2-1. 脱ハンコのためのシステム導入に費用がかかる
- 2-2. 業務フローの変更が必要になる
- 2-3. 心理的な抵抗を感じる人もいる
- 3. 脱ハンコする場合としない場合の比較
- 3-1. 脱ハンコをすると生産性が向上する
- 3-2. 脱ハンコをするとシステム導入に費用がかかる
- 3-3. 脱ハンコをすると無駄な費用の削減になる
- 3-4. 脱ハンコをすると先進的な企業だというイメージをアピールできる
- 3-5. 脱ハンコをすると業務フロー変更が必要になり一時的に負荷がかかる
- 4. 現状のハンコ文化を維持するほうがリスクが大きい場合も
- 4-1. 取引先の脱ハンコに対応できず時代遅れの会社だと思われる
- 4-2. 優秀な社員の離職が進むリスクが高まる
- 4-3. 他社に仕事のクオリティで負ける
- 5. 脱ハンコすべき会社とそうでない会社の特徴
- 5-1. 脱ハンコすべき会社
- 5-2. 脱ハンコの必要性が薄い会社
- 6. 脱ハンコする際の流れ
- 6-1. 社内を説得する
- 6-2. 電子署名サービスを導入するための環境を整える
- 6-3. まずは社内の書類で使ってみる
- 6-4. 社外にも脱ハンコを依頼する
- 7. 脱ハンコを実践する場合の注意点
- 7-1. 取引先が応じてくれない可能性がある
- 7-2. 法的な有効性やセキュリティ上の不安を唱える人がいる
- 7-3. 社員のITリテラシーが低いと苦労する
- 8. 脱ハンコを実現するための便利なサービス2種
- 8-1. ワークフローシステム
- 8-2. 電子署名サービス
- 9. まとめ
1. 脱ハンコのメリット 5 つ
冒頭でもお伝えしたように、脱ハンコには様々なメリットがあります。何となくわかっているつもりでも、網羅的に把握できている人は意外と少ないものです。そのため、この章で脱ハンコのメリット 5 つをあらためて確認し、自分の仕事にどんな便益が期待できるのかきちんと理解していきましょう。
具体的には、脱ハンコのメリットは以下の 5 つです。
詳しく見ていきましょう。
1-1. 業務の生産性が上がる
脱ハンコによって得られるメリットのひとつは「生産性の向上」です。ハンコ文化のデメリットとして多くの方が実感しているのが、以下のような生産性の低下につながる問題ですが、脱ハンコをするとこれらを解消することができるため業務の効率化が期待できます。
ハンコ文化のデメリット |
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このような無駄な時間を削減できると、本質的な業務や顧客対応に使える時間が増えるため、仕事の生産性やサービスの質が向上します。
例えば、紙の契約書を他の会社と締結する場合は以下のように多くの作業が必要になります。
- PC でワードやエクセルに文字を入力して書類を作る
- プリンターで印刷する
- 製本する
- 社内で捺印申請を行う(そのための書類・捺印が必要になる場合も)
- 担当者が契約書に捺印をする
- 捺印された契約書を封筒に入れる
- 送付状を作成して封入する
- 郵送する
- 捺印してもらって返送された書類を受け取り中身を確認する
- 所定のフォルダに紙の契約書をファイルする
- 目次や別のエクセルシートなどに締結した契約の記録をする
あらためてこのように分解して見ると、何て多くの作業があるんだろうと感じるのではないでしょうか。自分で実務を担当していない場合は気づきにくいですが、このような事務的な作業のために誰かが他の業務に割けるはずだった時間が減ってしまっているのです。
しかし脱ハンコをするとこのような時間のかかる作業を、以下のように半分以下に減らすことができます。
- 専用のシステムから文字を入力して書類を作る
- システム上で電子署名申請を行う
- 社内で上司などが承認作業を行うと、他社の担当者へ電子署名依頼が自動的に送られる
- 他社で電子署名が完了したら通知がくる
- システム内に双方の電子署名済みデータが保管される
紙の書類の場合、最新版はどれだったかな…などと探すために多くの時間がかかるものですが、電子署名なら文字検索すればすぐに見つけることができますので、探す時間も削減できて業務効率が格段に向上するでしょう。
1-2. テレワークの推進に役立つ
ふたつめのメリットは、近年スタンダードになってきた「テレワーク」の推進に役立つという点です。
テレワークをいくら進めたいと思っても、脱ハンコできていない会社の場合は「書類にハンコを押すため出社する」というケースが必ず発生することになります。
実際に、東京商工リサーチの調査によると、ハンコ文化が在宅勤務の妨げに「なっている」と回答した会社は 43.2% と過半数近くに及んだそうです。
さらに、「在宅勤務をやめた、実施しない」という会社の理由は、以下のように「脱ハンコできていないこと」が 2 位となっており、ハンコ文化がテレワークの推進を大きく阻んでいることがわかります。
< 在宅勤務をやめた、実施しない」という会社の理由 >
- 1 位:業務がリモートワークに適していない 85.2%
- 2位:必要書類(契約書含む)が電子化されていない 20.8%
- 3 位:生産効率に支障が生じる 19.9%
- 4 位:労務管理が困難になる 13.7%
- 5 位:情報セキュリティに不安がある 13.4%
特にバックオフィスの担当者など特定の人ばかりがそうしたいわゆる「ハンコ出社」の状況に陥ると、社内に不公平感が広がる原因にもなってしまい、社内の雰囲気が悪くなるなどの別の問題も引き起こしかねません。
しかし脱ハンコできるとそうした在宅勤務を阻む問題を回避することができ、問題なくテレワークを推進することができます。
1-3. コスト削減になる
「コスト削減効果」も脱ハンコによる大きなメリットです。先ほどの、紙の契約書を他の会社と締結するケースを例にあげると、その過程では以下のようなコストがかかります。
- プリンターで契約書を印刷する → 印刷用紙、プリンターにかかる費用
- 製本する → ホッチキス、製本用テープの費用
- 担当者が契約書に捺印をする → インクの費用
- 捺印された契約書を封筒に入れる → 封筒の費用
- 送付状を作成して封入する → 印刷用紙、プリンターにかかる費用
- 郵送する → 郵送費用
- 所定のフォルダに紙の契約書をファイルする → フォルダ、保管スペースの費用
さらにこれらの作業を行う担当者の人件費もかかりますし、契約書の種類や内容によっては、数万円の印紙税が必要になることもあります。
こういった費用も、脱ハンコできると全て削減することができます。日頃取り扱っている書類の件数によって具体的な金額は異なりますが、例えば以下のような条件の場合は月間で約 6 万円、年間で約 76 万円のコストダウンが見込めるということになります。
- 印刷用紙:A4 サイズ 1 枚 0.7 円 × 6 枚 × 10 件 = 42 円
- ホッチキス、製本用テープ、インク費用:約 30 円 × 10 件 = 300 円
- 封筒:15 円 × 10 件 = 150 円
- プリンター(リース):月 1 万円(固定費)
- トナー:白黒 1 面 4 円 × 12 面 × 10 件 = 480 円
- 収入印紙:4,000 円 × 10 件 = 40,000 円
- 郵送費用:500 円 × 10 件 = 5,000 円
- 保管用フォルダ:100 円
- 作業担当者の人件費:時給 1,500 円 × 30 分 × 10 件 = 7,500 円
合計 63,572 円
保管スペースの費用は算出しにくいため省略しましたが、大量の書類を保管するために外部の倉庫を借りているような場合にはその費用も削減対象となります。
1-4. 環境問題に対応している姿勢を見せることができる
脱ハンコをすると紙が不要になることから、森林伐採による自然環境破壊や CO2 の過度な排出防止に貢献できるというイメージがあり、社会的な印象が良くなるというメリットもあります。
近年では、「CSR(企業の社会的責任)」や「SDGs(持続可能な開発目標)」なども重要視されており、環境にやさしい企業活動を行うことの大切さがあらためて認識されています。また、環境 ISO の認証を取得している企業の場合、余計な紙資源の使用を減らすことで環境保護を目指すという目標を掲げている会社も多いのではないでしょうか。
このように今の時代は、会社を継続していく上でしっかり環境問題と向き合っていくことが求められています。そこで脱ハンコによってペーパーレスを実現すると、そういった環境問題へ取り組む姿勢を見せることができるというメリットもあります。
1-5. 紛失や改ざんリスクを下げられる
紙の書類の場合、人為的なミスや管理体制の不十分さなどにより、どうしても紛失や保管もれ、誤って破棄してしまうなどのリスクが生じます。また、誰もいないときにこっそり書類を抜き取って改ざんするということも、できないことではありません。
しかし脱ハンコをして電子署名システム等をとりいれると、全ての書類は電子データとして保管されるため、紛失のリスクはなくなります。さらに、客先から受け取った契約書をうっかり社員が自宅に持って帰ってしまうという状況も避けられますし、書類を整理しているときに間違えてシュレッダーにかけてしまうという事件も回避することができます。
また、もし社員の 1 人が何かの書類を改ざんしようと思っても、電子データとして管理していればアクセスや編集の履歴が残るため、やましい行為は実行できなくなります。
このように、脱ハンコをすると書類に関係するトラブルのほとんどを避けることができるのです。
2. 脱ハンコのデメリット3つ
脱ハンコのメリットを紹介してきましたが、もちろん脱ハンコにはメリットばかりでなくデメリットもあります。デメリットを認識しないまま導入を進めると、後で思わぬ障害が発生してしまうことも考えられます。
脱ハンコのデメリットは以下の 3 点です。
実際に、脱ハンコに関心を持ちながらもなかなか実践できていない会社はこれらのデメリットに阻まれていると考えられます。
そのためこの章では、脱ハンコにはどのようなデメリットがあるのかを解説します。デメリットも正しく知ることで、現実的に自分の会社でも脱ハンコが可能なのかどうか冷静に判断していきましょう。
2-1. 脱ハンコのためのシステム導入に費用がかかる
ひとつめのデメリットは、脱ハンコを実践するためには電子署名システムなどを導入する必要がありますが、そのシステムの導入自体に費用が掛かるというものです。
サービスの種類やアカウント数、送信できる書類の数などにもよりますが、ライトな機能であれば月額 2,000 円から、高度な機能付きのサービスだと 10 万円以上かかるものもあります。
ただし、「1-3. コスト削減になる」の項目でもお伝えした通り、紙ベースで書類の処理を行っていると月間 6 万円程度かかる場合もあるため、高額なサービスを選ばなければ十分吸収できる範囲だと考えられます。
また、それまで社内の情報セキュリティ対策が不十分であった会社の場合は、脱ハンコに合わせてその部分の対応も必要になり、システムへの投資費用がかかってしまうかもしれません。ただしこのIT化が進む社会では、どの会社でも遅かれ早かれセキュリティ対策は必要になることですので、必要経費と割り切って捉える必要もあるでしょう。
2-2. 業務フローの変更が必要になる
もうひとつのデメリットは、脱ハンコをすると紙ベースの処理が電子データに変わるため、業務フローも大きく変更しなければならなくなるという点です。
社員の少ない少人数の会社であれば業務フローの変更はそこまで負担ではないと思いますが、部署がたくさんある大人数の会社になると、主管部署の担当者が全社員向けのマニュアルを作成したり新システム使用方法の説明会を開いたりする必要が生じます。
また実際に電子署名システムなどに切り替わった後には「使い方がわからない」などの、社員からの質問が増えることも予想されます。そんな状況でも、業務が滞りなく流れるまでサポートしなければなりません。
そのため、「人手が足りず業務フロー変更のための人員を割くことができない」「そもそも適切な業務フローを考えて全社に落とし込むスキルを持った人員がいない」というような会社は、このデメリットが妨げとなり、脱ハンコをすぐに推進するのは難しいという判断になることもあるかもしれません。
2-3. 心理的な抵抗を感じる人もいる
最後のデメリットは「心理的な抵抗」です。ハンコ文化は日本に長年根付いてきた伝統的な慣習です。長く続いたものを突然変更するのには、抵抗を感じる人もいます。
論理的な判断をするのであれば、心理的な問題は無視して会社にとってメリットのある方法を選べば良いのですが、ただ強引に進めるのは得策ではありません。会社は人でできているものですので、感情を無視してしまうとしわ寄せが生まれるリスクが高まります。
そのため、そんな場合はしっかりと話し合いをして脱ハンコによって社員が受けられるメリットを説明し、納得して受け入れてもらえるようにすることが必要になるでしょう。
3. 脱ハンコする場合としない場合の比較
脱ハンコのメリットとデメリットについてお伝えしてきましたが、「実際に脱ハンコする場合としない場合のイメージがまだあまりついていない」という人もいるのではないでしょうか。
脱ハンコする場合としない場合は、以下のような違いが生まれます。
脱ハンコする場合 | 脱ハンコしない場合 | |
---|---|---|
生産性の向上 | ◯ | × |
システム導入の費用 | △ | ◯ |
無駄な費用の削減 | ◯ | × |
企業イメージ向上 | ◯ | × |
業務フロー変更による負荷 | × | ◯ |
詳しくは以下で解説していきます。
3-1. 脱ハンコをすると生産性が向上する
生産性については、脱ハンコをしたほうが向上します。
従来の「紙を印刷して捺印・郵送し、戻ってきた現物を管理する」という作業には、多くの細かな工程があるためどうしても時間をとられてしまいますし、人間が行う作業であるためミスも完全に防止することはできません。間違えたらやり直しをするための手間が発生してしまいます。
しかし脱ハンコを実現してこうした作業にかかっていた時間をカットできると、社員は会社が利益を生むための業務に専念することができるようになります。
3-2. 脱ハンコをするとシステム導入に費用がかかる
一方で、脱ハンコをするためには電子署名システム等の導入が必要になります。その費用は、前述の通り安ければ月額 2,000円 程度で抑えられる場合もありますが、脱ハンコをしない場合と比較すると多少ですがコストアップの要因となります。
「今は現金がないのでとにかく少しでも支出を抑えたい」という状況の会社の場合は、費用が掛かるという点はネックとなると思いますので、自社にとって支払える金額なのかどうかを考える必要があるでしょう。
3-3. 脱ハンコをすると無駄な費用の削減になる
とはいえ脱ハンコによって削減できる費用もあるため、追加で発生する費用と削減できる費用の双方を合わせて考慮する必要があります。
紙ベースで書類を処理している会社の場合、先ほど試算したように月 10 件の契約書を扱うと月間 6 万円ほどの経費がかかっていることになります。
しかし脱ハンコをすればそれらの費用を抑えることができるので、多くの企業ではシステム導入にかかる費用よりも多くの額を節約することができると考えられます。
3-4. 脱ハンコをすると先進的な企業だというイメージをアピールできる
企業イメージアップの観点からも脱ハンコは有効です。最近はテレワーク推進が追い風となり、既に脱ハンコを実践している会社もありますが、まだまだ脱ハンコできていない会社も多い状況です。そんな中で他社に先んじて脱ハンコを済ませておくと、先進的な企業だという印象を植えつけることができるでしょう。
特に若年層や優秀な人材の中には古い体質の会社へ就職するのを避ける人もいますので、先進的な企業であるというイメージをアピールできると、採用力の向上も期待できます。一般消費者向けのビジネスを行っている会社であれば、商品やブランドイメージの向上にもつながりますし、投資家への PR にもなり株式市場での存在感を高める効果も見込めます。
3-5. 脱ハンコをすると業務フロー変更が必要になり一時的に負荷がかかる
業務の負荷は、脱ハンコをしないほうが小さいです。なぜなら、脱ハンコをするためには以下のような業務が発生するためです。
- 脱ハンコを社内で提案して承認を得る
- 電子署名サービスを比較してどのサービスを導入するか決める
- 新しい業務フローを検討、決定する
- 社内に周知する
- スムーズな運用をサポートする
ただしこの負荷はあくまでも一時的なものですので、1 カ月ほど使って社員が使い方に慣れてくればそこまで業務負担は大きくなくなっていきます。そのため、あまり心配し過ぎることはないでしょう。
脱ハンコをする場合としない場合とでは、このような 5 つの違いがあります。具体的なイメージを持つことで、自社の場合どちらを選ぶべきなのか決めるための検討材料にしていきしょう。
4. 現状のハンコ文化を維持するほうがリスクが大きい場合も
「脱ハンコはメリットが多そうだけど、社内で提案するのが面倒だからこのままでいいか…」「とりあえず他社の様子を見てみようかな」
こんな考えで脱ハンコの導入を後回しにしておこうと考える人もいるかもしれませんが、それは会社にとって良くない思考です。なぜかというと、現状のハンコ文化を維持することによるデメリットについて考慮しきれていないためです。
脱ハンコの導入には少々のパワーがいるかもしれませんが、だからといって現状維持をするのにもリスクがあります。どんなリスクがあるのか知ることで、脱ハンコの導入を今進めるかどうか適切に判断できるようにしていきましょう。
4-1. 取引先の脱ハンコに対応できず時代遅れの会社だと思われる
ひとつめのリスクは、取引先がどんどん脱ハンコしていったときの問題です。多くの会社が脱ハンコを実現していき、自分の会社だけが「紙に捺印」という旧態依然としたやり方を貫き通しているという状況になると、周囲の会社から「時代遅れの会社だな」と思われてしまうことでしょう。
それだけで済むなら良いのですが、「あの会社は紙ベースの取引だから余計な作業が発生する」という理由で発注の優先順位を落とされてしまう可能性もあります。そうすると、脱ハンコしなかったことで売上の減少まで招いてしまうということになります。
取引先から呆れられてしまう前に、現状のハンコ文化とは決別して脱ハンコを目指すほうが中長期的に見るとメリットが大きいといえます。
4-2. 優秀な社員の離職が進むリスクが高まる
さらに、社外だけでなく社内の人間からも見放されてしまう可能性があります。やる気のある優秀な社員は、作業効率を下げるだけの余計な雑務の存在を歓迎しません。特にIT化が進む社会で過ごしている現代の社員は、自社がいつまでも紙への捺印にこだわっていると「こんな古い会社では自分は働き続けることはできない」と考えて、離職を選んでしまうかもしれません。
実際に、クラリス・ジャパン株式会社が 2020 年 6~7 月に行ったアンケートによると回答者の 7 割が「電子化されていればハンコは不要」と回答したそうです。
出典:クラリス・ジャパン株式会社「はんこレポート 押印の必要性について」
ハンコを不要と考える社員が過半数という状況で脱ハンコを行わずにハンコ文化を維持し続けるのは、時代の流れに逆行していると認識せざるを得ません。
社員から「この会社で働き続けたい」と思われるような会社でいられるようにするためには、脱ハンコを進めることが重要だといえるでしょう。
4-3. 他社に仕事のクオリティで負ける
ハンコ文化を維持していると、その分社員が余計な業務のために時間を割かなければならないため、本来のサービスや商品改善にかけることのできる時間が減ってしまいます。
同じような業績のライバル会社は脱ハンコを実現することで業務の生産効率が上がったのに、自社はハンコ文化を維持することで無駄な作業が残ったままになっていたらどうでしょうか。
その分サービスや商品の改善・サポートにかける時間が減ってしまうと、自社は仕事の質が上がらないのに他社だけ効率よく改善を続けていってその差はどんどん開くばかり…という事態に陥ってしまうかもしれません。
会社の本来の業務に社員のリソースを集中させるためにも、作業時間を大きく短縮することができる脱ハンコをとりいれることは、競合に打ち勝つためにも必要な戦略だと考えられるでしょう。
5.脱ハンコすべき会社とそうでない会社の特徴
これまでの条件を考慮すると、基本的にはこれからの時代は脱ハンコする方向で考えていくべきだということがおわかり頂けたのではないでしょうか。
しかし、業種や会社によっては今すぐに脱ハンコを取り入れるのは難しい場合もあるでしょう。この章では、脱ハンコすべき会社とそうでない会社の特徴を解説します。自社の場合脱ハンコが向いているのかどうか、確認していきましょう。
5-1. 脱ハンコすべき会社
脱ハンコすべき会社の特徴は以下の通りです。
① 本業の生産性を上げたい
脱ハンコによる大きなメリットが生産性の向上です。そのため「生産性を上げて利益率を高めたい」という考えがある会社は、必ず脱ハンコすべきです。
特に現在成長期で営業活動に注力しており、新規取引先と契約書を締結する機会が多い会社や、定期的に複数の取引先との契約書更新が必要な購買部署などを多く抱える会社などは、紙の書類の管理にかかっている時間を削減することで、社員の業務効率が格段に上がります。
「うちの会社では、紙の書類管理などの実務はアルバイトや派遣社員にやってもらっているから社員の手間はかかっていない」と思う人もいるかもしれませんが、結局のところアルバイトや派遣社員の労務管理は社員が行っているので、余計な手間が発生していることになります。
また「あの企業との契約ってどうなっていたっけ?」と社員自身が契約書を探すケースも多いと思います。そんなときも紙ベースの契約書の場合は、ファイルを引っ張り出してページをめくり目当ての取引先のページを探し出す必要があります。しかし電子署名システムを導入していれば、社名や日付など様々な条件で検索するだけなので手間を大幅に削減することが可能です。
このように社員が余計な作業にかけている時間をカットすることで生産性を高めたい会社には、脱ハンコは非常におすすめです。
② コストダウンをしたい
脱ハンコはコストダウン効果も大きいため、余計な費用を削減して利益率を高めたい会社にも向いています。
脱ハンコによって、紙代や印刷代・人件費など多くのコストを削減することができますが、特に大きなポイントになるのが「収入印紙代」です。締結する機会の多い売買取引基本契約や、代理店契約などの「継続的取引の基本となる契約書」を紙の契約書で締結する場合、通常は一律 4,000 円の収入印紙が必要となります。
しかしこのように収入印紙が必要となるのは紙で締結を行う場合だけです。電子契約の場合は課税の必要がないため、この 4,000 円の収入印紙代を丸ごと節約することができます。年間で 100 社と契約している場合は以下のように 40 万円もの節税が可能になるのです。
・ 4,000 円 × 100 社 = 40 万円
上手に節税することで経費削減を実現したいという会社は、脱ハンコに取り組むメリットが大きいでしょう。
③ テレワークを推進したい
テレワークを推進する方針を掲げている会社にも、脱ハンコはおすすめです。>
前述の通り、テレワークを妨げる大きな理由のひとつが、いわゆる「ハンコ出社」と呼ばれる「脱ハンコできていないことで生じる無駄な出社」です。
最近では、働き方改革が叫ばれているという風潮もあり、満員電車による通勤を回避できたり、家事や育児・介護などとの両立もしやすいテレワークは、多くの人から歓迎されています。
そんな中でテレワークに消極的な会社は「前時代的」「ブラック」などと評されて社員の不満も高まりやすくなる傾向にあります。また会社全体としてはテレワークを導入できていても、書類管理業務を担当する一部の社員は出社せざるをという構図が続くと、社員同士・部署同士で不公平感が生まれます。
余計な軋轢を回避してテレワークを推進するためには「脱ハンコ」が非常に重要なキーワードになります。
④ 優秀な人材を確保したい
現在は様々な業界が人手不足に困っており、優秀な人材を獲得するための競争は年々激化しています。そのためどの会社も、自社の魅力を高めるために様々な対策をとっています。
特に重要なのが「ブラック企業」ではなく「ホワイト企業」だと思われるようにすることです。ホワイト企業と聞いて思い浮かべる条件は人によって違うと思いますが、例えば一般財団法人日本次世代企業普及機構では、ホワイト企業の 7 つの指標として以下を設定しています。
- ビジネスモデル/生産性
- ワークライフバランス
- 労働法遵守
- 健康経営
- リスクマネジメント
- 人材育成/働きがい
- ダイバーシティ & インクルージョン
この中でも特に「ビジネスモデル/生産性」「ワークライフバランス」「人材育成/働きがい」をPRするためには、ハンコ文化を残したままでは説得力が生まれず採用競争力が落ちてしまうことでしょう。
しかし脱ハンコできれば、生産性の高い会社であることのアピールにつながります。また、テレワークの障害もないことでワークライフバランスのとりやすさも感じさせることが可能です。さらに余計な書類作業が少ないことで本質的な業務に集中できることを伝えれば、働きがいを感じやすそうだと思ってもらえることでしょう。
優秀な人材の確保を目指したいなら、積極的に脱ハンコの推進をしていきましょう。
⑤ 環境問題への貢献をアピールしたい
環境問題への配慮に前向きであるということをアピールしたい場合も、脱ハンコはおすすめです。
一昔前までは企業の主な目的は「利益の追求」が第一だといわれてきました。しかし近年ではそれだけでなく「CSR(企業の社会的責任)」や「SDGs(持続可能な開発目標)」などの重要性も認識されるようになっています。
そういった風潮もあり、現在は多くの経営者が「環境問題への配慮」を社外にメッセージとして発信することが多くなっています。投資家や消費者の中でも、投資や商品購入を行う際の判断基準として「環境に配慮した活動をしているかどうか」を重視するケースが増えています。
そのため、環境の保護に前向きな姿勢をアピールしたいという場合も脱ハンコに取り組むことはメリットのひとつになるでしょう。
5-2. 脱ハンコの必要性が薄い会社
次に、脱ハンコをしても十分なメリットを得られない可能性がある場合や、今すぐに脱ハンコを実践するのは難しい場合について解説します。
① 主要顧客が脱ハンコに消極的
契約を行う相手が1社しかなくて、その会社が脱ハンコをしない方針であるという場合は、脱ハンコする必要性は少々薄くなります。
もちろんその場合にも、社内の申請や決裁の書類だけでも脱ハンコすることで一定のメリットは得られます。しかし主要取引先の理解が得られない以上、社外書類に関してはハンコ文化が残るという状態になってしまいます。
そのため、どうしてもその取引先が契約書の電子化に合意してくれないという場合は、脱ハンコを積極的に推進しても思うような結果にならないかもしれません。
しかし、もしまだその取引先と話し合っていないのであれば一度依頼してみることをおすすめします。もしかしたら先方も「脱ハンコしたいけど拒否されそう…」と同じように考えて言い出せていなかっただけという可能性も考えられるためです。
② 社内の業務フローを構築するためのリソースが不足している
脱ハンコを実現するためには新しい業務フローを構築する必要がありますが、それを実行するためのリソースが足りないという場合は、脱ハンコをしたくてもすぐに実行するのは困難でしょう。
業務フローの新構築には、例えば以下のような作業が発生します。
- どの書類の承認を電子化するのか、各部署の現状を整理する
- 部署ごとに実務と承認の権限を誰に与えるのか検討して決める
- 導入のためのマニュアルを作成する
- 導入のための社内説明会を実施する
- 運用移行スケジュールを決めてアナウンスする
- 運用開始後は社内担当者や社外窓口からの質問対応などサポートを行う
社員の人数が多く会社の規模が大きいほど、これらの作業の難易度はより上がります。特に社内の人材の IT リテラシーが低いと、主管部署への問い合わせが増えて他の業務が滞る可能性もあります。
脱ハンコするというプロジェクトに対して人員やコストを割くことができる余裕がない会社は、導入時期を適切に見定める必要があるかもしれません。
③ 電子契約に対応できない書類を扱う業種
「脱ハンコして業務効率を上げたい」と思っても、書類によってはそもそも紙の文書を用意することが法律で必要とされているケースもあります。そのような書類をメインで取り扱う業種の場合は、脱ハンコを推進しても紙を減らすことができないため、得られるメリットは限定的になるでしょう。
電子化できない文書の例は以下の通りです。
電子化できない文書 |
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3 番目の業務提供誘引販売取引とは、その仕事に必要な商品を購入させてから仕事をしてもらうようなビジネスモデルのことで、例えば「販売されるパソコンを使用して行うプログラミングの在宅ワーク」や「チラシを購入し、それを配布することで収入を得る業務」などが該当します。
4 番目の特定継続的役務提供の対象は、エステティック、美容医療、語学教室、家庭教師、学習塾、結婚相手紹介サービス、パソコン教室の 7 種類の業種です。
上記の書類を主に取り扱う業種の場合は「自社ではどの書類は電子化できてどの書類はできないのか」をきちんと整理してから、脱ハンコに取り組むかどうかを意思決定する必要があるでしょう。
6. 脱ハンコする際の流れ
ここまでお読み頂き、「脱ハンコはメリットが大きいから早速とり入れていきたい!」と思った人も多いのではないかと思います。しかし、脱ハンコを問題なく会社の仕組みとしてとり入れて、全社員がスムーズに活用できる状態に持っていくためには、いくつかクリアすべき点があります。
そこでこの章では、脱ハンコをスムーズに行うための流れを解説します。これを知らずにやみくもに進めてしまうと、社内でうまく提案が通らずに後で困ってしまうかもしれません。事前に流れを確認しておくことで十分な心の準備と事前の理論武装を行い、滞りなく脱ハンコを進められる状態をつくっていきましょう。具体的なステップは以下の 4 つです。
以下で詳しく見ていきましょう。
6-1. 社内を説得する
まずは、上司や権限を持っている役員などを説得するための情報を集めます。どのような情報を揃えるべきかは会社によって異なりますが、例えば以下のような手順でメリットを数値で提示したり、会社全体の目標に合った施策であることを伝えると提案が通りやすくなるでしょう。
- 自社の過去 1 年の契約書数から、それらを電子化した場合に年間でどのくらいの紙やインク・収入印紙代を削減できるか計算して提示する
- 電子化することで不要になる作業時間を算出し、削減できる年間の人件費を計算して提示する
- 会社や部署の掲げている中長期目標に「テレワークの推進」「IT 化による生産性向上」「企業のブランドイメージの向上」「環境問題への対応」などがあれば、それらの目標達成に役立つ旨を伝える
- 同業他社や取引先が脱ハンコしている事例を提示する
同じ業界の競合他社など、上司が「あの会社がやっているなら当社もやらないといけないな」と思うような会社があればそれをピックアップすると良いでしょう。
6-2. 電子署名サービスを導入するための環境を整える
うまく社内を説得できたら、スムーズに脱ハンコを実行できるよう環境を整えていきましょう。
実施する項目には以下のようなものがあります。
- 社内の紙の書類を全てピックアップしてどれが電子化可能か調べる
- 社内の承認ルートを整理する(可能であればこの機会に無駄なルートは減らす)
- いくつかある電子署名サービスの中で自社に合うサービスはどれなのか検討する
- 導入サービスを決定する
- 社内担当者向けのマニュアルを作成する
- 社内担当者向けの説明会を実施する
会社の規模が小さい場合は、実務部分は数人の担当者さえ理解できれば問題ないということもありますが、いつ担当が変わっても業務が滞ることがないようにマニュアルなどをしっかりと準備しておくことが大切です。
6-3. まずは社内の書類で使ってみる
業務フローが構築できたら、まずは社内で使ってみましょう。同じチームのメンバーなどに手伝ってもらって電子署名の手続きをテストしてみて、問題がないか確認しましょう。
そこで何かわかりにくい点があればマニュアルに反映させて、都度改良を進めていきましょう。
6-4. 社外にも脱ハンコを依頼する
社内のテストが完了したら、社外の書類も徐々に脱ハンコしていきましょう。
他社に依頼するときには、以下のような方法がおすすめです。
・ 他社も実践していることを伝える
他社も実践していることを伝える際には、一般社団法人ビズ・ディスタンス協会の「#取引先にもリモートワークを」の運動を紹介するのも有効です。これは社会全体でリモートワークを推進するための団体で、多くの企業がその理念に同意して参加しています。
また営業担当者がそれぞれの取引先に伝えなければならない場合は、業務効率化のため営業がそのまま使用できる共通の資料をつくって配布すると良いでしょう。
脱ハンコする際の流れを詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください
■ 目指せ脱ハンコ!電子署名ツールを選ぶ前に知っておきたい 5 つのこと
7. 脱ハンコを実践する場合の注意点
脱ハンコを進める場合の流れについて解説しました。しかし、脱ハンコを実践する場合にはいくつか注意点もあります。事前に注意点を知っておくことで、いざ脱ハンコを進行中に「こんなことになるなんて!」と慌ててしまわないようにしていきましょう。
7-1. 取引先が応じてくれない可能性がある
社内の文書に関しては、総務の責任者や役員の了承を得られれば問題なく脱ハンコに対応させることができるでしょう。ただし、どうしても自社でコントロールしきれないのが他社です。
取引先が脱ハンコに対応してくれない場合は、対応企業と非対応企業の2種類の業務が社内で混在することになり、業務フローが余計煩雑になってしまいます。
そんなときは脱ハンコに応じてもらえない理由をきちんと確認し、その解消が可能かどうかしっかり検討するようにしましょう。多くの場合、法的有効性やセキュリティ面、先方の会社のルールなどが理由になると思います。先方の会社のルールだといわれると無理に対応してもらうのは難しいですし、関係が悪化するのも避けたいので一度は引き下がりましょう。
しかしいまは世の中の動きも速いので、半年後には先方の社内で判断が変わっている可能性もあります。定期的にそれとなく確認して、脱ハンコできるチャンスを伺っていきましょう。
7-2. 法的な有効性やセキュリティ上の不安を唱える人がいる
脱ハンコをするということは、電子的なシステムを使って契約書や電子署名のやり取りをするということになります。
そんなときに必ず持ち上がるのが「法的な有効性」と「セキュリティ上の不安」に関する問題です。多くの電子署名サービスは法的有効性があり強固なセキュリティで守られているため、その点をきちんと説明して納得してもらうようにしましょう。
7-3. 社員の IT リテラシーが低いと苦労する
電子署名のような IT 化を進める際には、会社や社風によっては拒絶反応を示す人がいる場合もあります。
IT リテラシーの低い社員はついてこられず不満に思い、そんな人たちから反感を買う可能性も。
また、利用する社員がIT技術をうまく使うスキルを持っていない場合は、導入後にも「うまく使えない」「操作がわからない」などの問い合わせが増えて逆に業務効率が落ちるリスクもあります。
そんなときは、電子署名サービス導入の前に自社の社員の IT スキルを高める研修等を行うなど、問題なく IT ツールを使いこなせるようにするためのステップが必要になるかもしれません。
8. 脱ハンコを実現するための便利なサービス2種
実際に脱ハンコを行う際には、目的に応じて 2 種類のサービスがあります。大まかに分けると、社内稟議など社内の書類を脱ハンコしたい場合は「ワークフローシステム」、社外との契約書を脱ハンコしたい場合は「電子署名サービス」を選ぶのが一般的です。
自社に必要なサービスを間違いなく選べるよう、それぞれの特徴を解説します。
8-1. ワークフローシステム
ワークフローシステムとは、社内業務の申請や承認の履歴を残して整理する仕組みを搭載したシステムのことです。
従来は申請者やその上長が紙に捺印をして回していた書類を電子化することで、大幅な業務の効率化を図ることができます。主に承認ルートが多く複雑になってしまっている、社員数が多い会社などで活用されていることが多いです。
ワークフローシステムの特徴 |
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ワークフローシステムの導入をおすすめする会社の特徴 |
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ただしこのシステムでは社外の書類は脱ハンコできませんので、社外の契約書等を脱ハンコしたい会社には、次に紹介する電子署名サービスがおすすめです。
8-2. 電子署名サービス
電子署名サービスとは、契約内容を記載した PDF などの文書に「電子署名」を行うことで契約を実施する「電子契約」をサポートするサービスのことです。
従来のように「紙で契約を行う」という方法では、双方の印鑑や手書きのサインをもって、本人が認めたという証明にします。一方で電子署名サービスを利用すると、双方が同じ電子文書にそれぞれ電子署名を行うことでその書類の内容を認めたということになります。そのため、紙がなくても法的に有効な契約を締結できるのです。
電子署名サービスの特徴 |
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電子署名サービスの導入をおすすめする会社の特徴 |
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社外との契約書締結業務の業務効率向上のために電子署名サービスの導入をお考えなら、Dropbox Japan の電子署名ソリューション「HelloSign」がおすすめです。「HelloSign」は、2011 年以来規模や業種を問わず、あらゆる企業で法的文書や契約書の承認作業を合理化してきました。
まずは自社に合うか試してみたいという方のために、30日 間無料トライアルもご用意しています。この無料プランをご利用されますと、1 か月に 3 件まで無料で署名依頼ができますので、ぜひご利用ください。
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9. まとめ
この記事では、脱ハンコのメリットとデメリットを中心に解説をしてきました。
脱ハンコのメリットとデメリットは以下の通りでした。
脱ハンコのメリット 5 つ |
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脱ハンコのデメリット3つ |
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さらに、以下についてもお伝えしました。
脱ハンコする場合 | 脱ハンコしない場合 | |
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生産性の向上 | ◯ | × |
システム導入の費用 | △ | ◯ |
無駄な費用の削減 | ◯ | × |
企業イメージ向上 | ◯ | × |
業務フロー変更による負荷 | × | ◯ |
このように脱ハンコには多くのメリットがあり基本的には推進すべきですが、新たな取り組みにはパワーが必要になるためなかなか実行できないという会社もあります。
そこで、現状のハンコ文化を維持することにも以下のようなリスクがあるということをお伝えしました。
< 現状のハンコ文化を維持してしまった場合のリスク >
- 取引先の脱ハンコに対応できず時代遅れの会社だと思われる
- 優秀な社員の離職が進むリスクが高まる
- 他社に仕事のクオリティで負ける
さらに、脱ハンコすべき会社としなくていい会社の特徴としては以下の通りでした。
< 脱ハンコすべき会社の特徴 >
- 本業の生産性を上げたい
- コストダウンをしたい
- テレワークを推進したい
- 優秀な人材を確保したい
- 環境問題への貢献をアピールしたい
< 脱ハンコの必要性が薄い会社 >
- 主要顧客が脱ハンコに消極的
- 社内の業務フローを構築するためのリソースが不足している
- 電子契約に対応できない書類を扱う業種
その他、脱ハンコする際の注意点や「ワークフローシステム」と「電子署名サービス」の違いについても紹介しました。
この記事を最後までお読みいただいたことで、脱ハンコのメリットとデメリットがわかり、さらに自社が脱ハンコすべきかどうか判断するための材料を入手していただけたのではないでしょうか。
紙という安心感、データに対する不安を持っている方はまだまだ多くいるでしょう。しかし、脱ハンコを行った会社の多くは業務効率が上がりコスト削減を実現しています。脱ハンコを実践することで、自社のビジネスに活かしていきましょう!