分散した作業環境をサポートするコミュニティの構築

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皆さんもおそらく多くの人々と同じように、在宅勤務という新しい日常に適応しながらも、同僚との交流がないことを寂しく感じ始めているのではないでしょうか。

外出を控えて他者との接触を避けなければならない状況下で、何らかのコミュニティ意識を持つことは、これまで以上に重要に思われます。対面ほどではありませんが、家族、友人、同僚とオンラインでつながることである程度の孤独感は薄れるでしょう。

リモート ワーカーは、孤独感の他にも、新しいソフトウェア機能の習得やベスト プラクティスの確立といった新たな課題に直面しています。また、技術的な問題が生じたときに、隣の席の同僚に声を掛けて助けを求めることもできません。今、私たちの周りのあらゆる支援システムがバーチャルな形で提供されています。

そのギャップを埋め、同じように感じている人々とつながる場を提供するために、私たちは最近、Dropbox コミュニティのプラットフォームをリニューアルしました。

この際、単に製品サポートを集約するだけでなく、もっと大きな役割を果たすことを目指しました。徹底してユーザーのアイデアやリクエストをできるだけ多く取り入れたいと考えたのです。

アイデアを交換し、ヒントを共有し、新しいアップデートやリリースの情報を入手できる場所を新たに作るうえで、ユーザー テストが大いに役立ちました。Dropbox コミュニティとソーシャル ケア担当グローバル責任者のローレライン・ボワンに、その経緯を聞きました。

まず伺いたいのですが、あなたが率いるチームでは、分散した作業環境への移行にどのように対応していますか?

私たちの会社では幸い、インターネットがあればどこからでも仕事ができる柔軟な環境とツールが用意されています。ですから、仕事に関しては問題なく対応できています。Dropbox、Slack、Zoom を使って密につながりを維持するよう心がけていて、バランスもとれています。

Dropbox コミュニティのリニューアルは何が契機となったのでしょうか?

まず気づいたのは、探している情報を見つけられないユーザーが多くいることです。その多くは最終的に、直接サポートを必要とする場面でコミュニティにたどり着いていました。それで、情報構造の調査に乗り出しました。ユーザーが Dropbox のプラットフォームをどのように使っているかを理解し、効果的な部分と改善が必要な部分を特定するために、ユーザー テストを開始しました。現在は、継続的に改善を加えると共に、常にお客様を巻き込みながらプラットフォームの方向性を決定するよう努めています。

リニューアルした dropboxforum.com のスクリーンショット

ユーザーにとって、リニューアルしたコミュニティはどのような点が新しい要素となりますか?

私たちは、まったく新しいコンテンツの構築に多くの時間を費やしてきました。今後は、ユーザー事例などの魅力的なコンテンツを充実させる予定です。初めてのライブ イベント配信も実施しました。また、アイデアを出し合うためのプラットフォームの開発にも尽力しています。このアイデア出しのプラットフォームは非常に有用なものになると考えています。私たちは多くのビジュアル アイデンティティを生み出してきましたが、アイデア出しをより効率化する新しいコンポーネントも生み出しました。たとえば、アイデアへの投票数をユーザーが簡単に確認できるようになります。アイデア出しの場に移動するためのリンクがコミュニティのさまざまな箇所に表示されます。ユーザーのアイデアに耳を傾けてそれを実現しようという点で、徹底したお客様重視になると言えるでしょう。

これまでにアイデア出しのセクションから出てきたアイデアの中で、特に興味を引かれるものや有望なものはありましたか?

最近リリースしたものとしては、Paper Noir(Dropbox Paper の「ダーク モード」)と呼ばれるものがあります。アイデア出しの場でも非常に高いランクが付けられていました。実現に向けて進んでいるアイデアやリリース予定のアイデアもすでに登場しているのがわかります。本当にすばらしい効果だと思います。当社のプロダクト チームも、このコミュニティ内で注目していることが数多くあるようです。

Paper Noir はコミュニティから生まれたものなのですか?

コミュニティに参加しているユーザーからは、ずいぶん以前から要望されていたものです。Paper Noir の要望はおそらく多様なユーザー層で上がっていたのですが、そうした要望を集約する手段としてコミュニティが優れていたのです。私たちはアイデア出しのキャパシティを拡大する中で、早い段階でリクエストを可視化しようと考えました。そして将来的には、プロダクト チームやユーザーがアイデアについて意見をまとめるだけでなく、新しいアイデアを生み出すきっかけになればと願っています。

ユーザー テストのプロセスはどのようなものでしたか?

IT の知識が豊富なユーザーやまったくの初心者、あるいは、異なるバックグラウンド、年代、性別のユーザーというように、多様なユーザーに参加をお願いしました。コミュニティに特有のタスクをいくつか実行するよう依頼しましたが、サポートへの質問に関連するタスクもありました。

多くのケースで、タスクは Google から始まりました。多くの人がここから検索を始めるからです。Google 検索を行い、通常はそこでリンクを見つけ、その入り口からプラットフォーム内を移動するというプロセス全体を対象者が進め、私たちはその様子を観察しました。

答えが見つかるかどうかだけでなく、アクセスした先が「ユーザー同士がやり取りするコミュニティである」ということに気づくかどうかも確認しました。また、「相互交流要素」に気が付くかどうかも観察しました。これは、最終的に行き着いたページに基づいて、ユーザーが読みたい内容についてさらに多くの情報が得られるであろう要素のことです。こうした取り組みは、私たちがお客様の立場で考え、お客様が情報をどのようにして見つけられるかを明らかにするうえで、とても有益です。

ユーザー テストで何か意外な結果はありましたか?

ユーザー同士で質問に答えるプラットフォームにアクセスしていることに気づかないユーザーがいました。こうした事実がデザインの刷新を後押しし、コミュニティ内で誰がどのような立場であるのかを明確にすることの重要性について考えるきっかけになりました。私たちは、Dropbox 社員が回答する場合と、Dropbox 社員ではないものの Dropbox のエキスパートである Super User が回答する場合を、はっきり区別したいと考えました。そして、より多くの情報を明確にすればするほど、コミュニティを閲覧していることをユーザーが認識し、そこではどのような話題でも話すことができ、Dropbox からだけでなく Dropbox コミュニティ全体から回答が得られるのだと理解することがはっきりとしました。一方で、Dropbox にメールで問い合わせることができる従来のような 1 対 1 のサポートの場だと期待しているユーザーがいました。残念ながら、コミュニティはそのような場ではありません。

ユーザーからのフィードバックをリニューアルに取り入れたプロセスについて教えてください。

まず実施したのは、プラットフォームについての意見を Super User に聞くことです。ユーザーがどこから流入してくるのか、どこでコミュニティから離れるのかといったデータ全体にも目を向けました。
たとえば、カスタマイズされた小規模なコンポーネントを作成しました。これは、ユーザーが使用している SKU やプランをチェックし、それに基づいて、そのユーザーが受けられるサポート内容を表示します。

そのコンポーネントは、ホームページでは使用されておらず、スレッド レベルのページで使用されています。なぜなら、多くのユーザーが Dropbox に関する疑問を Google で検索していることがわかったからです。つまり、ユーザーは最上層のホームページからではなく最下層のスレッド ページからコミュニティに流入します。ほとんどのユーザーがホームページからではなくスレッドからコミュニティに流入していることが明らかになり、また、そうしたユーザーの行動を観察することで、私たちはスレッドを入り口として捉えリニューアル全体を再検討することにしました。

このような理由から、ユーザーがスレッド ページを見ているときにコミュニティ内の関心のあるコンテンツや関連するコンテンツに戻ることができるように、検索機能を目立たせることを重視しました。また、ナビゲーションの一種であるパンくずリストをより目立つようにしました。一般に、ウェブサイトの構造は上層から下層に向けて考えるものです。しかし、ユーザーのほとんどはスレッドからコミュニティにアクセスしていたわけです。

お客様主体のデザインの原則として最も重視することは何ですか?

本当に重要なのは、ユーザーに目を向けて仕事を進めることです。ユーザーが望んでいることは何でしょうか?たとえば、ユーザーがサポートを必要としていて社員と話したいと望んでいる場合に、面倒な手順を踏ませたのでは意味がありません。必要と思われる情報にユーザーがたどり着けるようにし、担当者の手が空くまで待たせることなく情報を得られるようにするのが最善の形です。しかし、ユーザーが本当にサポート担当者と話したがっている場合は、スムーズにそうできるようにすべきです。また興味深いことに、インターネットを活用する新しい世代には、サポート担当者と話したがらないユーザーも多いのです。そうしたユーザーはオンラインで情報を探す方を好みます。この場合、できるだけ簡単に情報にたどり着けるようにすることが重要です。そのためには、検索結果にフィルターを適用でき、さまざまな種類のコンテンツを見つけられる、優れた検索機能が欠かせません。従来どおりのヘルプ センターの記事を用意することが重要なのは明白です。しかし、ユーザーにコンテンツを書いてもらい、ユーザー自身のヒントとコツを披露してもらうことも、ユーザーが読みたい内容であり、コンテンツとして利用したい内容であるかもしれません。つまり本当に重要なのは、ユーザーの利便性を高めることです。

今後さらなるリニューアルや機能拡張の予定はありますか?

はい、コンテンツを見つけやすくし、質を高めるためにも、コミュニティの改善を続けます。また、コンテンツの提供に重点を置くと共に、ユーザーが共同作業について話し、エコシステムの一部として Dropbox を利用する方法について意見を交わせる場としてのコミュニティを実現します。Dropbox を他のソフトウェアと組み合わせて利用する方法についてユーザーが話せるような場になればと考えています。社員さえも想像しないような方法でユーザーが Dropbox を使っている興味深い例はたくさんあります。ユーザーがプロダクトをどのように利用しているのかを理解し、ユーザーにとってベストなプロダクトを会社として構築できるように、ユーザーの声に耳を傾けたいと考えています。

Dropbox の使い方に関して不明な点がある場合、新しい使い方を知りたい場合は、Dropbox コミュニティにご参加ください。