何事も、何度も繰り返していると、だんだん新鮮味が失われてしまうものです。同じ会議に出席し、同じ数字を見て、同じ相手にメールを送る。仕事も慣れたもので、特に考えずともこなしていける。特に問題がないようにも見えますが、ひらめきは消え去り、創造力はしぼみ、気がつくと好奇心と楽しさを失っている。この「好奇心」は実はとても大切な要素なのです。
研究によると、好奇心を高めるだけで、パフォーマンスの向上や職場での人間関係を良くするなど、自分のキャリアに大きな影響を与えることがわかっています。
好奇心をもっと仕事を行えば、仕事を楽しむことができるでしょう。多くの方が一日の大半を仕事に費やしています。仕事を楽しむことができれば、人生を楽しめるようになる可能性が高くなるのではないでしょうか。
今回は、好奇心が成果につながると言われる理由、そして、仕事に好奇心を取り戻すために何ができるかをご紹介します。
1. 好奇心は業務のパフォーマンスを高め、楽しさを増加する
「知性」と「努力」。これらはどちらも成功に欠かせない要素です。しかし、2011 年に実施された心理学の研究により、見落とされがちな 3 番目の要素が見つかりました。それが「知的好奇心」です。研究者らは、「知性」と「努力」、そして「好奇心」がすべて合わさることで、より優れたパフォーマンスが期待できるとし、たとえ知性に恵まれなかったとしても、好奇心と努力があれば十分に補うことができると結論付けています。
では、高いパフォーマンスのために好奇心が重要なのはなぜでしょうか?ある説によると、好奇心旺盛なビジネス パーソンの方が微妙なニュアンスに気付きやすく、複雑な事態にもうまく対処できると言われています。好奇心旺盛な人々は、先行きが不透明な場面でいらだったり、難しい状況で立ちすくむようなことは少なく、問題にじっくりと取り組んだり発想を切り替えようとします。進むべき道がはっきりしない場合でも、そこに可能性を見出そうとするのです。何かおかしなことがあれば、正しい答えを探すことに喜びを感じます。やがて、雇用主側も好奇心旺盛な労働者を信頼し始め、より高度で複雑なプロジェクトを任せるようになります。
ご自分に問いかけてみてください
- どうすれば、毎日のプロジェクトに新しい視点を取り入れることができるか?
- どうすれば、複雑な状況を何か新しいことを学ぶ機会として捉え直すことができるか?
2. 好奇心は他者とのつながりを生む
好奇心あるビジネス パーソンの方が、同僚とより早く、より良い関係を築くことは当然かもしれません。彼らは気軽に質問をし、多くの時間をともに過ごし、チーム メンバーの強みと弱みをすぐに把握します。結果として、好奇心旺盛なビジネス パーソンは、プロジェクトの共同作業、タスクの委任、特定の同僚のモチベーションを上げる最も良い方法を理解するのです。
しかし、好奇心を持つことのメリットは共同作業だけではありません。最近の研究により、好奇心旺盛な人々は社会的拒絶への対応力が優れていることがわかっています。これは新しい仕事環境や予測不可能な仕事環境では特に重要な能力です。その根底にある理由を特定するにはさらなる研究が待たれますが、好奇心旺盛な人々は、直接的な結果(自分は拒絶されるのではないか)よりも発想自体(ここから何を学ぶことができるか)を重視すると言えるでしょう。
ご自分に問いかけてみてください。
- 自分の同僚について常々疑問に思っていることは何か。また、誰にならそれを質問できるか?
- 社会的証明よりも、社会的な学びを重視するにはどうすればよいか?
3. 好奇心を持つと学びがスムーズになる
2014 年に実施された脳の活動に関する研究では、被験者にクイズを出しました。与えられたクイズに対して好奇心を持っているほど、回答を知ったときに被験者の脳から放出されるドーパミンの量が増加しました。後日、被験者がその情報をどの程度記憶にとどめているかテストしたところ、当然ながら、好奇心を持っていた情報の方がはるかに記憶に残っていました。ドーパミンは細胞レベルで脳神経のつながりを強化すると考えられます。
しかし、それよりも驚くべきことがありました。好奇心旺盛な被験者は、興味のない情報が興味のある質問の間にちりばめられている場合に、興味のない情報の方もよく覚えていたのです。ここから、一度好奇心が刺激されると、短時間であれば同じ心理状態が続くことが考えられます。職場に置き換えてみれば、興味を持てるタスクに最も時間をかけるようにし、雑務はいくつかに分けて、興味のある業務の合間に行うと効果的ということになります。
ご自分に問いかけてみてください。
- 今の仕事は自分の好奇心を刺激するものか?
- 興味を持てる仕事を 1 日の仕事時間の中に分散させるにはどうすればよいか?
4. 好奇心は創造力を解き放つ
グラフィック デザイナーであろうとソフトウェア開発者であろうと、最高の仕事が生まれるのはクリエイティブなブレイクスルーが起きた後であることが多いものです。ひらめきの瞬間を捉えることで、最終的に困難な問題を突破したり、プロジェクトに新しい視点にもたらすことができます。
しかし、その瞬間を逃さないためには、強い好奇心が必要です。誰でも、自分がその瞬間に没頭して、目の前の仕事に情熱を注ぎ続けられる仕事がしたいと考えています。そのためには仕事のやり方を変えて、頭を使わない仕事を減らすのもよいでしょう。あるいは、もっと好奇心を刺激する新しいプロジェクトを探すという方法もあります。自分が好奇心を持てる仕事をすることが、最終的には自分の創造力を維持することになり、次回のクリエイティブなブレイクスルーも早くやってきます。
ご自分に問いかけてみてください。
- 頭を使わずに仕事を処理することを止め、好奇心というアンテナを立てるにはどうすればよいか?
- 自分の創造力を最も発揮できるのはどのような仕事か?
最後に
昔ながらの作業ルーティンに戻りたいという衝動に駆られることもあるかもしれませんが、変化を取り入れる価値はあります。自分の好奇心に正直になるほど、仕事も学びもうまくいき、自分自身の成長にもつながるのです。