イラスト:ペドロ・デルコロ
共同作業が思うように進まないと感じることはありませんか?毎日最高のチームワークを発揮できるとは限りません。何に取り組むとしても、チーム メンバーにはそれぞれの考えがあり、スキルや性格も異なります。そうした違いで揉めたり、退屈で面倒な仕事を増やしたりしないためにはどうすればよいでしょうか?
いくらスマートなアプローチを追求しても、他のメンバーの気持ちを無視すると共同作業は崩壊しかねません。逆に、メンバーに合わせることに気を取られ、包括的な視点を欠いても、やはりうまくいかないでしょう。最高の共同作業は、IQ、EQ、CQ のすべてが調和している場合にのみ達成できます。その 3 つの要素を使ってチームとしての問題を解決するには、次のステップを実践してみてはどうでしょうか。
1. EQ(心の知能指数)による信頼の確立
意外に思うかもしれませんが、プロジェクトで最初に行うことは、メンバーとの絆を深めることです。最初のミーティングでは、席を回り、プロジェクトでどのような成果を挙げたいと思うのか全員の意見を聞きます。メンバーにとっての理想的な結果とは、どのようなものでしょうか?次に、懸念される問題や障害を 1 つずつ挙げてもらいます。
最初にこうした希望や不安を話し合うのはなぜでしょう?それは、期限が迫って皆がストレスを感じているときに、メンバーのモチベーションや懸念に共感しやすくなるからです。同僚のニーズを理解すればするほど、フィードバックに対応しやすくなります(たとえそれがネガティブなフィードバックでも)。また、メンバーの性格をよく知っておくほうが、意見が異なるときでも相手を尊重して協力しやすくなります。
2. IQ(知能指数)によるコンセンサスの確立
チームで「なぜ」を理解し合えたら、次は「何」に取り組みます。これを導くのは、論理と理性です。チーム内で信頼を構築するときに外交術に優れた人を頼るように、成功に向けた指標が必要なときは分析が得意な人の力を借りましょう。分析が得意な人は、データの見方やデータから数字以上のものを読み取る方法をチームに教えてくれます。お客様がチームに伝えようとしているストーリーや解決を求めている問題がどのようなものかを説明してくれます。
調査やフォーカス グループのデータを詳しく読み解くことで、重要な流れを押さえ、ソーシャル メディアのフィードバックでは十分に伝わらないような戦略にたどり着くことができます。大量のデータ分析に基づく情報によって、チームは「誰に」、「何を」話すべきかを合意しやすくなります。それを受けて、あなた自身は「どのように」話すかを決めることができます。
3. CQ(創造的知性)による問題解決
チームを把握し、目標で合意し、向かうべき先が見えたら中間地点を過ぎたということです。次はいよいよアイデアのブレインストーミングです。CQ には、文化的知性や集団的知性という意味もありますが、ここでは創造的知性と考えてください。鼎立理論を提唱したロバート・スタンバーグ博士は、CQ とは「異なる意見が出る中で、新たな状況を管理し、新たな解決策を見つける能力」と説明しています。
これは、個人にとっても難題ですが、チームにとってはさらに複雑な問題です。CQ についての著書があるブルース・ヌスバウム氏が指摘しているように、創造力は不確実性から生まれます。しかし、多くの人が馴染みのあるものに安心感をおぼえます。ただし、私たちはその不安を乗り越え、共同作業によって CQ を向上する方法を学ぶことができます。嘲笑を気にせず考えを声に出せるような信頼を築くには、いくらか時間と経験が必要です。しかし、それだけの努力を払う価値があります。なぜならチーム全体で好奇心を高めれば、アイデアの引き出しが増えるからです。
さいごに
誰にも得意、不得意があり、EQ、IQ、CQ はそれぞれ異なります。分析はアナリストに、創造力はクリエイティブな人にすべて任せたくなります。「餅は餅屋」だと思いますよね。しかし、次回、共同プロジェクトに取り組むときは、役割や領域にこだわるのをやめてみましょう。さまざまな可能性に心を開き、各チーム メンバーの協力を歓迎しましょう。創造的なエネルギーが流れているときは、どこからともなく優れたアイデアが生まれるものです。重要なことは、優れたアイデアが生まれているときにそれを捕まえられるように共同作業の方法を理解しておくことです。